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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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柘榴とAI

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久しぶりに、やらかしたなぁって気がしている。
いや、うん、私は結構普段からやらかしているんだけど。
でも今回は、お仕事関係も絡んでいたというのに……ここ最近、ずっと46leatherで遊んでしまいました。
6keyの方で、4cardからの訓練はちゃんと受けていたんだけども。
後半とかは、サブキャラがどうとか、極振りステータスが楽しいとか何とか。
そんな事ばかりを彼と話して結構時間を食いつぶしてしまった気がする。
とはいえ4cardもなんだか楽しそうに話に乗って来て、またサブキャラで一緒にやろうって笑っていたけど。
こんな毎日を送ってしまい、サブキャラの高速ダッシュとブーツの機能を試す事ばかりしていた結果。
何もせぬまま、来てしまいました。
賞金首の、オフショットイベント。
やってしまったぁぁぁ!
クラフト機能がどうとか、イベント中の予定を立てるとか。
色々全部すっぽかして、46leatherでガンサバの大地を駆けまわっていました。
だって、走るとめっちゃ速いんだもん……楽しかったんだもん、もはや別ゲーみたいで。
「はぁぁぁ……ホント、どうしよ……」
『夢月ー? 大丈夫かー? そろそろイベント開始時間だけど』
VRゴーグルの中から、お兄ちゃんの声が聞えて来る。
今回はサポーターの皆様も徹底的に此方を観察する姿勢、なのだが。
なるべく自由行動となる為、ゲーム中は無線を繋がない方針なんだとか。
前のチーム戦みたいに。
休日みたいに過ごせって言われているのに、ずっと通話してたら変だもんね、そうだよね。
私からすると、常に兄に相談出来る環境の方がありがたいのだが。
他の賞金首達も、皆ソロ気分でイベント参加するみたいだし……こればかりは仕方ない。
という事で、6keyのアカウントを選択して、あとは街中へログインするだけの所まで来てから……もう一度、大きなため息。
ガンサバなのに、戦闘以外をしろと言われましても。
そして休日って、普通は皆何するんですか。
私は家事やって、食材の買い出しとか行って、あとはゲームしてます。
それでは、駄目ですか……。
早くも泣きたくなって来たけども、時間は待ってくれず。
イベント開始時間を告げるアラームが、しっかりとお知らせして来るではないか。
期間の日数はそれなりにあるし、毎日キッチリ全部の時間ログインしろって言われている訳じゃないし。
何もやる事が見つからなかったら、今日はある程度の時間でログアウトする事にしよう、そうしよう。
そんな意志の元、諦めてフィールドログインを開始。
さぁて……私は、何をすれば良いんだろう~……。
◆
プレイヤーの交流掲示板に、多くのスクリーンショットが公開されていく。
各賞金首の名前でスレットが立ち上がり、イベント内で撮影されたソレらを妥当する場所にアップロード。
その写真に対しプレイヤー同士で評価し合ったり、運営側が評価して“特別賞”を狙うという今回のイベント。
「リーダーはやっぱ“シックス”狙い? 装備パックも即効で買ってたし。もしも賞に当選してまた貰えるよってなったら、それこそどうすんのさ」
「うるせ、そんときゃ予備って事で保管しておけば良いんだよ。ついでに言うと、リアルの方のモデルガンも通販でポチってある。今週中には届く筈だ」
以前アイツとイベントでも遭遇し、そしてそれ以外でも“彼に負けた”俺達。
仲間達はどうなのか知らないが……俺に関しては、間違いなくファンになっていると言って良い状況なのだろう。
他のプレイヤーを狩っている時に襲撃した俺達に対して、シックスは此方を無力化するだけでトドメを刺さなかった。
相当な実力差が無いと、そんなの無理だろって話なのに。
実際にアイツはソレをやってのけた。
ソレが……めっっっちゃくちゃ、格好良かったのだ。
という事で、今回俺が狙うのはシックスのオフショット。
リアルタイムで更新される掲示板の情報を探り、彼が現れた場所を探っていれば。
早速、一枚目の写真が上がって来たではないか。
『シックス発見。ホテルから出て来た瞬間、めっちゃため息ついてた』
だそうで。
いつも通りの無表情だったが、なんだか気怠そうな雰囲気のシックスが写っているではないか。
よし、場所は特定した。
そんな訳で、仲間達と一緒に現地に急行してみると……とても、不思議な光景が広がっているではないか。
「あぁ~なるほど。“良い写真”を撮る為には、警戒させない事って訳か……」
そこら中にプレイヤーが潜みながら、スマホのカメラを構えている。
者によっては、馬鹿でかいカメラを構えていたりもするが。
傍から見ると、物凄く色んな所に武装集団が隠れているというおかしな光景なのだが。
ある一か所からは見えない様にと、どうにかコソコソしているみたいだ。
そして、俺等もそっちに視線を向けてみると。
「マ、マジで居た……」
「そういうイベントだって分かってるつもりだったけど……普通に賞金首が街中に居る光景、慣れねぇ~……」
シックスが真っ昼間の街中を、普通に歩いている。
なんかもうこの時点で、違和感が凄い。
いつだってアイツが現れるのは夜で、ハッと気がついた時にはそこに立っている様な。
常に“死”というモノの雰囲気を全身に纏っていた様な殺し屋が……ごく普通に、居た。
いやうん、これこそこのイベントの醍醐味なんだよな? そうだよな?
コレはゲームだが、もしもリアルで彼の様な人物が居た場合。
その人にも生活がある訳だから、普通の行動は絶対に取る。
だからこそ、戦闘とはまた違った雰囲気の写真を収めろって事で良いんだと思うのだが……何度も言うけど、違和感が凄い。
「とりあえずカメラ起動して……あのさ、普通に歩いてるだけでも、違和感の塊過ぎて賞貰える気がして来るんだけど」
「だ、だよなぁ……」
仲間達とそんな会話をしながらも、此方のチームもシックスへのストーキングを開始するのであった。
今思ったんだけど、ポリスは通常通り動くらしいし。
このシーンが見つかったら、プレイヤーまとめて逮捕されるんじゃねぇの?
◆
「さぁて、弟も“別の目的”でイベントに参加したみたいだし……こっちはのんびり他の奴等を観察させてもらいますかねぇ」
『9Kさん、ログインしないんですか? 他の賞金首は、ほとんどの人が開始と同時にゲームを始めてくれましたよ?』
繋いだままの通話から、ウチの担当の声が聞こえてくるが。
だまらっしゃい。
参加時間は自由だって言われてるんだから、最初から最後までずっとログインして無くても良いだろうに。
いやまぁ、仕事しろよって言われるかもしれんけども、俺も顔を出すつもりでは居るんだけども。
周りに見られるのが前提で休日過ごせって言われても、俺だって困惑する訳よ。
だからこそ他の賞金首の動きとか、プレイヤー達の反応とか。
そういうのをしっかり見極めてから、どうするかを決めようって魂胆なのだが。
「ブッ!」
掲示板の方に張り出されている写真を、適当に眺めていれば。
早速出て来たのは、シックス。
そこにアップされている写真と共に、寄せられるコメントを読んでいくと。
『かれこれ、十数分歩き続けるシックスの図』
『趣味、ウォーキングかな?』
『スーツ革靴でやるなよ、せめてスニーカーにしなよ。靴擦れ起こすよ』
『もしかしたら次の現場の下見かもしれん』
『それはあるかも。とか思ったけどすげぇフラフラ歩き回ってんだよなぁ……もしかして、シックスは歩いてる姿しか撮影できない? 他の賞金首で賞狙った方がよさそ?』
アイツ、全く予定とか決めずにログインしたな?
相も変わらず無表情だが、向こうの性格を知っていると「どうしようか……」とか考えていそうなのが分かる。
その後。
『カップケーキを買った模様』
『甘いもん好きなんかな、意外だ』
『公園のベンチで一人、カップケーキを食うシックス』
『やめてくれ、ゲーム内で急にボッチ飯始めないでくれ。雰囲気も合わさって、心が痛ぇ』
『俺……偶然を装って隣で飯食って来ようかな……』
『やめとけ、殺されるぞ』
『シックス、なにやらカップケーキに思う所があったのか、食いかけをガン見』
『無表情過ぎて、何考えてるかわかんねぇよ! なんでそんなにケーキ見つめてるんだよ!』
もはや、爆笑してしまった。
通話を繋いでいた担当から「ど、どうしました?」とか言われたので。
今見ている所の画面を共有してやれば、俺の担当もちょっと笑いを堪えている様子。
内部事情を知っている人間からすると、多少違った一面に見えて来るが。
一般プレイヤーからすると、アイツの行動は意味不明というのがまた面白い。
絶対あれだろ、旨かっただけだろその反応。
表情トレースオフだから、真顔のおっさんがカップケーキ見つめてるのはちょっとオモロいけど。
今回のイベント、想像以上に面白いのかもしれない。
主に、周りの反応が。
やべぇ……今回参加断わって、見る側に回り続けたくなってきた。
『9Kさん、あのですね。なんか6keyさんも結構暇そうというか……アレなので。この際、合流してみては?』
「俺も一緒にピエロになって来いって?」
『まぁ、そういうイベントですし。ここは一つ、二人で更に意味不明空間にして盛り上げて頂ければな、と』
俺には人を笑わせる才能とかねぇぞ。
しかも素でこれだけ周囲を困惑させる奴の隣に行けとか、ウチの担当は絶対鬼だ。
とはいえ、俺もずっとログインしないとあっては報酬そのものが無くなる可能性もあるので。
「へーへー、行ってきますよ。ぼっちでオヤツ食ってるおっさんの隣に、地味な格好したおっさんを増やして来ますよ」
『よろしくお願いします、期待してますので』
いや期待はすんなよ。
なんて言いたくなったが、俺……賞金首の中でも全然目立ってないしな。
いい加減人気を上げないと、戦闘とは違う所でお払い箱になりそうで怖いわ。
そんな訳で、大きなため息を零してから。
こちらもまた、VRゴーグルを被るのであった。
スナイパーが目立ってどうすんだよって話だけど……まぁ、こればかりは仕方ないわな。
いっちょ、ガワだけおっさんの女子高生と休日を過ごしてきますかね。
コメント
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くろぬかさん、第70話読みました! いやもう、シックスの「やらかした」感がめっちゃ伝わってきました(笑)。サブキャラで遊びすぎて何も準備してないままイベント突入……しかも街中を無表情でウロウロしてカップケーキ買って食べてるだけっていう。あの「カップケーキガン見」の写真とプレイヤー達の困惑コメント、最高でした。9Kが後から合流する流れも気になりますね!