テラーノベル
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「先生のこと、好きになっちゃった」
言うつもりなんてなかったのに、俺の口は勝手に動く。分かってる、OKされるはずなんてないってわかってるのに、なんで自ら傷つきにいくんだろう。
「……そんなこと、冗談でも言っちゃだめだよ」
返事すらされない。なんなら冗談と流され去っていく。その光景に俺は黙って見ていられるはずもなく再度先生を引き止める。
「嘘じゃない!!」
「俺は、本気だよ」
止まってはくれるが俺の方を向いてはくれない。
「ゆあんくん言ったよね、教師と生徒が恋とか有り得ないって」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
そう言い、スタスタと去っていく。そんな言葉を吐かれ、さすがの俺でももう引き止める余裕はなかった。
「なんだ、OKするのかと思った」
どこからか聞いていたのかいつの間にかうりがいた。
「これで分かっただろ、教師と生徒が繋がることなんかないんだ」
「…嫌だ」
「は?」
「諦めたくない」
「お前…!!そろそろいい加減にしないと…!」
「もういい、お前が今後まだ一ノ瀬先生にアピールするようなら俺はほかの先生に言う」
「諦めるなら今のうちだ」
誰に相談しようがきっと言われるセリフ。今なら駆け落ちした生徒の気持ちが分かるかもしれない。
「勝手にしろ」
そう吐き捨てその場を去る。今の俺に、先生を忘れろという言葉など通用しなかった。
まさか本当にたっつんの言う通りだっただなんて。たっつんの言われた通り、”俺には婚約相手がいる”といえば良かったのに、相手だって同性を好いているのだから言えたはずなのに、
「なんで言えなかったんだろ、」
それより、こんなことがほかの生徒や先生にバレてはならない。そのためには俺は彼を一時的に避ける必要がある。
「早く諦めてよ、」
どうせ叶わない恋なんだから。
最近、僕の中で気になる先生ができた。一ノ瀬先生だ。前まで授業に来ることなんてなかった生徒を彼は呼び出すことに成功させた。そんな彼が気になって仕方なかった。嫌われているというのは何となくわかるがなんとなく放っておけなかった。
「あれ、」
授業をするためにクラスに向かおうとすると月城くんと一ノ瀬先生が何か言い争ってる所を発見した。遠くて声は聞こえなかったが月城くんが引き止めてるようだ。
「やっぱりあの2人絶対に何かある…」
僕の予想通りなのであれば、そんなのあってはならない。話を聞いた感じ、アピールしている方はどうやら月城くんの方だ。一ノ瀬先生が振り向くとは思わない、叶わぬ恋だ。
「やはり本人と話さなければだめか」
一ノ瀬先生ではダメだ。彼は鈍感だ。自分に好意をもたれてるなんて想いを伝えられないと気づかないだろう。
「それでは授業を始めます」
何事も無かったのように始めているが、俺にはわかる。いつもの先生より少しテンションが低いことくらい。
「この前の小テストを返すので出席番号順に取りに来てください」
「秋山くん、安藤さん、──────」
「月城くん」
自分の名前が呼ばれ席を立つ。他の生徒には目を合わせて渡していたが俺には目もくれない。パッとプリントだけ渡し、すぐ次の人の名前を呼ぶ。
「避けられて当然か…」
当たり前のことなのに、でも俺があそこで告白なんかしなかったら先生はいつも通りみんなと同じ対応を俺にもしてくれただろう。それもそれでいいがやはり先生に意識してもらいたい。
「まあポジティブに捉えるなら意識してもらってはいるか…」
ボソボソと独り言を喋っていたので周りから変な目で見られたがそんなのどうだって良かった。
「はい、全員返されたね?今回のテスト30点満点で平均が20点もあったよ。みんな頑張ったね」
そういえばテストの点を見てない、と思い点数を見ると27点だった。採点つけたのが結構前なのだろう、先生の字でvery good!!と書かれていた。
「…もしも俺が満点とったら先生は褒めてくれるかな」
なんて考えても現実は虚しい。そんな事起きずに終わるだろう。
「そういえばもうすぐ体育祭なので来週から体育祭に向けて練習が沢山入ります。水筒必ず持ってきてください」
水筒持ってこなかったら先生の貸してくれないかな。さすがにキモイな。やめよう。
「先生〜体育祭ではなんの競技やるんですか?」
うりがそう質問する。
「えっと、借り物競争と、クラス対抗リレーと綱引き、あとは大縄跳びと騎馬戦の計5種目です。」
「学年ごとにやる競技は1年生は台風の目、2年生は因幡の白兎、3年生は大玉転がしです」
その言葉に教室中がザワつく。
「1人2種目か3種目出てもらいます」
「それをできれば今週中に決めたいんだけど…これやりたいとかってありますか?」
みんながざわついて押し付け合いが始まる。そんな中1人が迷いもせずこちらに向かってくる。
「お前、リレー出ろよ」
「は?なんで俺が…」
「だってお前足速いだろ」
「別にそこまで速くねえよ」
「月城、お前タイムなんだよ?」
クラスメイトに尋ねられ、これは盛ってもバレるなと思い本当のタイムを言う。
「…6.8だけど」
「月城出てくんね?陸部が全員出るとしても足りねぇから」
「…分かったよ」
嫌々OKしたが、俺の奥底にはリレーで先生にかっこいい姿を見せたいという気持ちもあったのだろう。去年だったら絶対嫌だと言っていたが今年は抗えなかった。そこからは時間いっぱい話し合い、大半の人は決まることが出来た。
「チャイムなったのでそこまで。だいたい決まったかな?また金曜に話し合う時間設けるのでそこで決めてください、では号令」
みんなが礼をし、まだ話し合っている所はあったが俺は一直線に教卓に向かい先生に話しかけようとする。だがその想いも虚しく、先生はそそくさと帰ってしまった。
「…諦めた方がいいんじゃねぇの?」
「うるさい」
此奴の言葉なんて聞きたくない、と思い教室を出て窓から外を見る。
「はぁ、…どうすれば良かったんだよ…」
どうしようが俺の気持ちは受け取られないことには変わりないと思い、ならば気持ちを伝えられただけマシか、と思うことに。
「月城くん」
馴染みのない声でそう呼ばれ振り返るとそこには青葉先生がいた。
「…なんすか」
「最近ちゃんと授業真面目に受けてるって聞いたよ、成長したね」
「はぁ…」
急に話しかけてきてなんだと思ったらそんなことか。早く話切り上げて教室に戻ろう。
「じゃ、俺用あるんで…」
「今後、一ノ瀬先生と二人きりで話すのを控えてもらえませんか?はっきりいって迷惑してるようですよ。彼、そういうこと言えるタイプじゃないので僕から伝えてくれ、と」
先生が俺と話すのが迷惑?なんで?確かに最近青葉先生とよく話しているところを見かけていたが、まさかそれを相談して…?
──────
「ゆあんくんの成長見てるとこっちまで嬉しくなる」
「前から思ってたけど、ゆあんくんって普通の人が考えないような発想するよね、ゆあんくんの考え俺は好きだよ」
──────
嫌いな生徒相手にあそこまでやるか?それとも教師だから致し方なく今まで関わってきたのか?そうは思えない。だって、あの先生の瞳は、今までの先生とは違って、輝いてて、未来に希望を持ってるようなそんな瞳だった。
「──くん、─き──ん」
「月城くん!ぼーっとしてたけど、大丈夫?」
夢中になって頭で先生のことを考えてたからちっとも彼の言葉なんて聞こえなかった。
「…それ、本当に一ノ瀬先生が言ってたんですか」
「そうですよ」
「本人に聞いてもいいですか」
「だから、本人はもう2人きりであまり話したくないと…」
「青葉先生の言葉だけじゃ信じられない」
「あ、ちょっ!!」
その場を走り出し、先生の元へ向かう。避けられている、それは分かっているがあの先生の感じが本当だとしたら前から相談してたことになる。なのに態度が変わってしまったのは俺が想いを伝えてから。
「はぁ…」
恋した者はみんなああなるもんなんですかね。何故恋人でもない人を必死で追いかけられるのか。
「僕には理解できませんね」
ましてや教師だなんて…やはり月城ゆあんは一ノ瀬じゃぱぱに恋している。
「青葉先生でも無理なんすね〜」
「君は…月城くんとよく一緒にいる、霧島くん」
「先生でも、って霧島くんも知ってるんですね」
「うりでいいですよ〜そうです、俺が一番最初に知りました、止めましたけどね」
止めた、というのは多分いざこざの内容だろう。
「ということは、あのいざこざの内容は一ノ瀬先生関連ですね?」
「はい」
「先生、ゆあんの暴走止められませんかね」
「恋は盲目って言いますからね。今はその状態でしょう。いずれ忘れますよ」
「そうですかね」
まるで、僕の回答に納得してないかのような疑問を飛ばしてくる。
「そうですよ、絶対に」
「一ノ瀬先生、振り向きませんよね?」
「振り向きませんよ」
「ちなみになんでそう思うんですか?」
「彼、恋人いますよ、多分」
「え」
「だから振り向くことはないかと」
「…女ですか?」
「さぁ、性別にどうこう言いたくないので僕はこれで」
恋人がいる。
僕の予想でしかないが多分当たっているだろう。朝の感じを見ると、
「…一ノ瀬先生も同性愛者か」
なんだか嫌な予感がするのは僕だけじゃないはず。
コメント
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神です!!!! ほんとに私の癖でしかなくて..!!! 勉強疲れにほんとに効きますありがとうございます!
ここまで読ませて貰いました❗️ 内容好みど真ん中でやばいですね、、🫠 癖が全て詰まってて最高です!😖互角フォロー失礼します!😭