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喧嘩、しちゃいましたか.... 協力するのか、それとももう敵と見做してしまうのか... 楽しみです!!🙌🏻💖
「じゃぱぱ、醤油とってくれる?」
「……」
「じゃぱぱ!!」
「え?ごめんなんて?」
「醤油、とってくれん?」
「はい、!」
俺の恋人の様子がおかしい。仕事から帰ってからずっとこんなだ。
「なあ、なんかあったん?」
「いや、なんでもないよ、!」
じゃぱぱは昔からそうだった。嘘はバレバレだが、人に迷惑をかけないように、と言っていつも1人で抱え込む。一体なんのために俺が同棲しようって言い出したのか、じゃぱぱは知る由もないだろう。
「ほんとのこと言って」
「…たっつんはすぐ気づくね」
「お前の嘘が下手なだけ」
「じゃあ演技する意味ないじゃん笑」
「近くにいるんやからさ、頼ってや」
「うん、ごめん。実はさ、ゆあんくんに、その、告白?みたいなのをされて…」
「え、まさか断らんかったん!?」
「まさか!!ちゃんと断ったよ。でも今後どう接すればいいかわかんなくて…もちろん、関われないのなら関わらないつもりだけど担任だし…」
「担任をはずれるのは…」
俯いてた顔をパッとあげ、それは嫌だと懇願してくる。
「もちろん、ゆあんくんや学校側にとってもそれが最善策なのは分かってる、でもこれ以上あの子たちの期待を裏切りたくない」
「このままじゃあの子たち、大人を信用出来なくなる。」
「…そうやな、それは、避けたいな」
もちろん、俺としても避けて欲しいとは思ってる。でも本音は今すぐにでも担任外してもらいたいしできれば近づいて欲しくない。俺は教師じゃないからこんなこと言えるんだろうが、じゃぱぱは教師だ。生徒を思っての判断だろう。分かってるが、俺より生徒を優先されたことに若干悔しさを感じていた。
「断った時、なんて言ったんや?」
「教師と生徒が恋愛なんてありえないって言ったのはそっちなんだからそっくりそのまま返すよって…」
「おお、すご」
ただてっきり断るだけかと思ってたがまさか自分の墓穴を掘らせるとは。やるなじゃぱば。
「その感じじゃ俺がいること、まだ知らないようやな」
「うん…あと最近青葉先生って人もよく話しかけてきてて…多分俺とゆあんくんの関係を探ってるんだと思う」
「なんで?」
「あの人疑り深いからさ、恋愛の方に発展しないか心配してるんだと思う。」
「その先生にはバレてるってことか」
「うん、ねえほんとにどうしよう。青葉先生がもしバラしたら…俺教師辞めさせられるかも」
「落ち着け、それは、じゃぱぱもその生徒のことが好きになった場合やろ?」
「それはない!!」
「そうやろ?だから、大丈夫。なんならバレてやばいのはあっちの方。下手したら謹慎とか食らうんとちゃう?」
「まあでもその青葉先生って人がばらすことはないと思うで」
「なんで?」
「だって、告白されたこと知ってるんやろ?だけど言いふらしてない。青葉先生が警戒してるのは両思いになった場合。だから大丈夫」
「そっか、それもそうだよね…」
「…あのさ、愚問なんやけど、…」
「ん?なに?」
「…いや、…うーん、」
「なに、言ってくれなきゃわかんないよ笑」
「…教師を辞めるって言う選択肢は無い、よな?」
「え?」
「あ、いや、すまん、まじですまん、忘れてくれ」
「…ごめん、たっつん、恋人より生徒を優先するのもおかしな話だけど、教師は前からやってみたいと思ってたから、それはちょっと…視野になかった」
「だよな、いや、こっちこそ変なこと聞いてごめん」
「でも」
「でも、たっつんがほんとに嫌だったら、学校は最悪変えてもいい」
さっきまで今の生徒たちは俺が裏切ったら大人を信じれなくなると言っていたのにこの覚悟。そんな覚悟を俺は受け入れることなんてできなかった。別にじゃぱぱを縛りたいわけやないから。
「無理させたよな、ごめんな」
「ううん、そんなことない。もちろんさっきも言った通り、生徒も大事だけど、1番大事なのはたっつんだよ。それは変わらない」
「それが聞けただけで満足。その代わり、なにか起きたら絶対俺に言って欲しい」
「分かった。約束する」
「じゃあこの話もうおしまい!なんか疲れたわ、先風呂入ってくるな」
「あ、うん」
「それとも一緒に入る?」
「たっつん変なことするからやだ、一人で行ってきて」
「あれは酔ってただけやって笑」
「いいから入ってきて!着替えは俺が準備しとくから」
「…そういえば忘れてないよな」
「…うん、忘れてないよ」
「予定入っとらん?」
「入れてないよ」
「…期待していいからな」
「…!」
「…うん、」
こういう時にしかじゃぱぱの照れ顔は見れない。
それで得られる栄養はたくさんある。
さて、昨日たっつんにちゃんと言えたものの、そういえば肝心のゆあんくんとどう対応すればいいかをあんまり聞けてないことに学校に着いてから気づく。
「まじでやらかした」
「何をですかー?」
「…いや来るとは思ってたけど、なんでそんな俺に構うんですか」
「だいたい分かってるでしょ」
「やっぱ俺とゆ、月城くんの関係疑ってますよね?言っときますけどまじで俺が振り向くことないんで」
「知ってますよ」
「ああなんだ知ってんのか」
「いやなんで分かってんだよ、そっちの方が怖いわ」
「一ノ瀬先生恋人いますよね?」
「いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいよ笑」
そこまでバレてんの?なんで?というか職員室にほかの先生いなくて本当に良かった。
「質問なんですけど、同性ですか?」
こりゃ完全にバレてる。この人の前で嘘つくなんて無理だ。さすがに俺も疑いの目をかける。
「…なんでそこまで知ってるんですか」
「勘ですよ、別に同性愛を否定するつもりなんてありませんから、そんなに怯えないでください」
「それより、あれから月城くんと話しましたか?」
この感じ、”あれから”というのは告白された後の事だろう。一体どうやって情報を仕入れているのか。
「話してませんよ」
「…本当ですか?」
「本当です、昨日はすぐ帰りましたから」
「…嘘ついているようには見えないな、」
「何を疑ってるんですか」
「いや昨日僕から言っておいたんですよ、今後一ノ瀬先生と2人きりで話さないようにと。そしたら本人に確認する!って言い出して走り去ったんですけど」
「…その様子じゃほんとに話してなさそうですね」
「ちょっと待ってください、俺そんなこと頼んでないです。これは、俺と月城くんの問題です」
「でも貴方1人で解決できる問題ですか?無理でしょ」
「いっその事担任を外してもらった方が…」
「いい加減にしてください!!」
「これ以上、あの子たちを不安にさせるような行動取りたくないんです!分かってます、それが最善策なのは。でも、あの子たちが大人を信じなれなくなる…!」
「教師は、生徒たちを守る立場です。なのに今彼らを傷つけている、そんなの許されるわけないんですよ」
「俺はこの学校のやり方、まだ認めてませんから」
人に対してこんなに起こったのはいつぶりだろうか。彼の勝手さに流石に俺も黙っていられなかった。そう、この学校では最悪な手段を選んでいる。家庭環境が悪い人、成績が悪い人、問題行動を起こす人。そんな人たちを一クラスに集めてたった一人の先生に押し付ける。普通はそういう人たちをクラス別々にさせ一人一人の担任の負担を減らすのだがこの学校はお構い無しだ。担任が居なくなれば、次に配属される先生をそこに入れればいい。そういう考えしか上にはなかった。何が残念かって、それを教育委員会が決め、実行しているから俺たち教職員に抗う権利は無いというところだ。
「どこまでも汚い奴…」
あの人にどれだけ文句をぶつけようが変わらないことはわかっている。だがあの言われ用はさすがにないだろ。
「生徒が可愛くないのかよ…」
こんなことを言っておきながら何も出来ない自分にも心底腹が立っていた。