# 第二話 幽々子に会いに行く!
幽冥楼閣の玄関をくぐると、妖夢はさっそく声を張り上げた。
「幽々子様ー! ただいま帰りましたー!」
彼女の声が屋敷中に響き渡る。
「少し話したいことがあるので、居間に来てくださーい!」
後ろを歩く夜空夢は、ふと気になって尋ねた。
「妖夢、幽々子さんって、妖夢から見てどんな人なの?」
妖夢は少し驚いたように振り返り、でもすぐに笑みを浮かべて言った。
「私の主で、とても温厚で優しいお方だよ」
「そうなんだ……」
夜空夢は、微笑みながら頷いた。
「妖夢は……そんなに慕っているんだね」
「そうだね!」
妖夢は胸を張って誇らしげに答えた。
「とりあえず、居間に行こうか」
「分かった」
二人は並んで廊下を進み、しばらくして広い居間にたどり着く。妖夢はまた声をかけた。
「幽々子様ー? いらっしゃいますかー?」
ふわりとした気配とともに、柔らかな声が返ってきた。
「どうしたの、妖夢?」
ふすまが開き、西行寺幽々子がゆっくりと姿を現した。
「妖夢が“話がある”なんて珍しいわね……もしかして――」
彼女は夜空夢の姿に目を留めて、にこりと笑った。
「妖夢の後ろにいる人についてのことかしら?」
「はい、そうです」
妖夢は頷き、横にいる夢へと視線を向けた。
「幽々子様のお客様でもあります……夢、ほら、挨拶して」
夜空夢は一歩前に出て、顔を上げた。
「久しぶりだね、幽々子さん!」
その言葉に、幽々子はふわりと笑った。
「あら! 本当に久しぶりじゃない」
彼女の目は懐かしさと喜びに満ちていた。
「元気にしていたの?」
「まぁ……元気にはしていました」
夢は少し照れくさそうに笑った。
「幽々子さんは……お元気そうで何よりです」
「まぁ、私はいつも元気よ」
幽々子は優雅に扇を広げながら、笑みを深めた。
その瞬間、空気が柔らかくほどけていくような、温かな空間が広がっていた。
夢の帰還は、静かに、しかし確かに、幻想郷に波紋を広げていく――。
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