※学パロ※
太乱
あの日から、私は朝早くから家を出て乱歩さんが来るのを待つようになった。
乱歩さんが来たからといって、特に喋りかける訳でもない。只─
カシャッ
シャッター音を鳴らした。最近の私の趣味はアナタの横顔コレクションを増やす事だった。
あの日、私に向けてない横顔がどうしても忘れられなくて、忘れたくなくて。だが、人間というものは、いずれ、大切な記憶だけを忘れてしまうもの。だからこうして、写真にして残している。何時でも、何処にでも持って行けるように。1枚のチェキ風の紙にプリントした。自分でも判っていた、この異常な行動は、普通ではない事を。でも私はこう思う。『“普通”とは何か教えて欲しい。』まあ、普通を教えられて直すか否かは判らないけど。
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今日の乱歩さんの横顔は電車を待ちながら棒付の飴を咥えていた。その表情はどこか真剣そうで、どこか幼かった。その顔も勿論プリントした。
これが私の毎日の生き甲斐で、唯一の楽しみだった。変わってほしくなかった。ずっとこのまま、近ずけなくてもいい、だから─ずっとこのままで─
そう思っていた。だけど、其の願いは叶わなかった。
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