テラーノベル
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水曜日。
朝の教室。
「おはよう、玲くん」
「おはよう、セラ」
「……!」
星羅の顔が一気に赤くなる。
「学校でそれ言うの、ずるい……」
「嫌だった?」
「嫌じゃない」
むしろ。
嬉しすぎる。
ずっと隠していた名前を。
玲だけが呼んでくれる。
「じゃあ、今日はセラって呼ぶ」
「……うん」
星羅は嬉しそうに笑った。
それから。
二人の距離は、明らかに変わった。
昼休み。
「セラ、これ食べる?」
「え?」
玲が自分の弁当から一つ、唐揚げを差し出す。
「食べる?」
「……!」
星羅は固まる。
「……いいの?」
「ああ」
「じゃあ……」
星羅は少し恥ずかしそうに口を開く。
「……あーん」
「自分で取れよ」
「えー!」
「冗談」
玲はそのまま唐揚げを渡す。
「はい」
「……いただきます」
星羅が食べる。
「美味しい……」
「普通の唐揚げだぞ」
「玲くんからもらったから美味しいの」
「……そうか」
星羅は満面の笑みを浮かべる。
――幸せ。
こんな普通の時間が。
ずっと欲しかった。
放課後。
文化祭準備。
「玲、そこ押さえて」
「ああ」
「もうちょっと右」
「こう?」
「完璧!」
作業を終えると、星羅が玲の肩に寄りかかる。
「疲れたー……」
「お疲れ」
「玲くんも」
「ありがと」
星羅はそのまま離れない。
「……セラ?」
「もうちょっとだけ」
ひかり!
#オリジナルストーリー
みーさんからどっこしょ
3
「……分かった」
玲はそのままにしておく。
星羅は目を閉じる。
――玲くんの隣。
もう「秘密」じゃない。
それが嬉しくて仕方なかった。
「玲くん」
「ん?」
「私ね」
「何?」
「ずっと、こうしたかった」
「……」
「学校でも、玲くんの隣にいたかった」
「今いるだろ」
「うん」
星羅は笑う。
「だから幸せ」
そのとき。
「黒瀬!」
男子生徒が教室に入ってきた。
「今日この後、ゲームしない?」
「……」
玲が答える前に。
「ごめんね」
星羅が笑顔で言った。
「今日は私と帰るから」
「え?」
「ね?」
星羅が玲を見る。
「……ああ」
「ほら♪」
男子生徒は苦笑する。
「分かった。また今度な」
扉が閉まる。
星羅は笑っていた。
でも。
玲は少しだけ違和感を覚えた。
「……セラ」
「ん?」
「さっき、ちょっと怖かったぞ」
「え?」
「笑ってたけど」
「……」
星羅は黙る。
「ごめん」
「別に怒ってない」
「……よかった」
星羅は俯く。
「でも……」
「?」
「玲くんと二人でいたかった」
「……そうか」
「誰かに取られるみたいで……嫌だった」
正直な気持ち。
玲は少し考える。
「取られないだろ」
「……え?」
「俺はここにいる」
星羅の目が大きくなる。
「……玲くん」
「だから、そんな顔するな」
「……うん」
星羅は嬉しそうに笑った。
帰り道。
二人は並んで歩く。
「ねえ、玲くん」
「ん?」
「手、繋ご?」
「ああ」
今度は自然に手を繋ぐ。
星羅は嬉しそうに指を絡める。
「……ねえ」
「何?」
「これからも、ずっとこうしてていい?」
「飽きるまで」
「私は飽きないよ」
「そうか」
「一生でもいい」
「……重いな」
「知ってる♪」
星羅は笑う。
その笑顔は可愛らしい。
けれど――。
握った手には、少しだけ力が入っていた。
夜。
星羅は配信をしていた。
『今日はね、すごく幸せなことがあったの』
コメントが流れる。
『何があった!?』
『恋愛!?』
『彼氏!?』
『……秘密♪』
星羅は笑う。
でも。
心の中では――。
玲のことを考えている。
今日、手を繋いだ。
今日、隣にいた。
今日、名前を呼んでもらった。
その全部が宝物。
『私ね』
星羅は静かに話す。
『大切な人がいるなら、その人を絶対に幸せにしたい』
コメントが流れる。
『セラちゃん優しい!』
『理想の彼女!』
星羅は笑う。
そして。
『……たとえ、その人が私を必要としなくなっても』
一瞬だけ、声が低くなる。
『私は、その人のそばにいるけどね』
コメント欄がざわつく。
『怖いw』
『急にヤンデレw』
星羅は笑って誤魔化す。
『冗談だよー!』
でも。
本当は冗談じゃない。
配信が終わる。
静かな部屋。
星羅はスマホを握る。
「……玲くん」
優しく微笑む。
「私、絶対に離れないからね」
その言葉は。
誰にも届かない。
玲にも。
ファンにも。
ただ。
星羅自身だけが知っている。
自分の「好き」が。
もう普通の恋ではないことを。
コメント
3件
読み終えたわ。第18話「もう、隠さない」、めちゃくちゃ良かった。学校で「セラ」って呼ぶシーンで星羅が赤くなるの、尊すぎてやばい。あーんのやり取りとか、普通の幸せが積み重なってく感じが沁みた。でも最後の配信パートで“冗談じゃない”って笑う星羅の狂気じみた色気よ…。玲も違和感覚えてるし、このバランスどう転ぶか気になる。次の話が待ち遠しいわ🔥