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僕は今日珍しく任務がなかった
それもそのはずだって僕は今日ロールアウトしたばかりなのだから
前回の任務で僕は記憶領域やデータ各種の復元ができなかったらしくこれから少し先まではメンテナンス係になったりバンカー内での仕事を担当するらしい
よっぽど僕は機体の損傷が激しかったんだろうな
それにしても…
9S「任務がないって暇だなー」
ボソッと独り言を呟きバンカーの廊下を歩いている
ポッド153「推奨、次の降下作戦で同行するであろう機体との打ち合わせ」
9S「えぇー?」
9S「それはまた今度でよくない?」
ポッド153「推奨、暇ならば行くべき」
9S「うーん…」
正直会合は嫌だ
ただの会議という名のお話会に興味はない
それならオペレーターさんのお説教でもされてた方がよっぽどマシだ
9S「一応聞くけど誰がいるの?」
ポッド153「機体名1D、2B、3B、7E、8B、22B、11B」
9S「隊長クラスの機体が2機も…?」
ポッド153「1Dは着陸前後で破壊されるリスクが高い」
9S「それは…ディフェンダーだからってこと…?」
ポッド153「肯定、8Bは1Dが戦闘不能状態及び隊長引き継ぎ時のサブリーダーとして配属される予定」
9S「ふぅーん?」
それより…2号機B型………
何故か目を惹かれる
9S「ねぇポッド」
9S「この機体…2Bって僕とどこかで会ったことが…ある……?」
ポッド153「…前回の9S機体の調査任務の同行者と記録が残っている」
9S「この人だったんだ…」
9S「…」
9S「ポッド…2Bのデータを調べたい」
ポッド153「質問、何故?」
9S「次降下作戦に一緒に配属されてるんだから少しくらいは2Bの戦闘スタイルだったり蓄積データ情報を持ってた方が支援が楽になるでしょ?」
ポッド153「了解…では私室に戻りサーバー内記憶端末へのアクセス」
9S「うん、ありがとうポッド」
僕は私室へと軽い足取りで歩みを進めていった
固いベッドに横になりデータ空間へと意識を移動させる
9S「ポッド僕にヨルハのメインサーバへのアクセス権限を付与して」
ポッド153「了解」
ポッド153「ポッド権限でヨルハ機体9号S型のメインサーバへのアクセス権限を付与」
目の前にぽんっと現れたカードキーはメインサーバへのアクセス権限だろう
見たことがないはずなのに既視感を覚えるこの状況に少しの不信感を抱きながらも僕はデータを漁り始めた
9S「これは…人類会議の通信ログ…?」
僕は気になってしまった
目に留まってしまった
気づいてしまった
僕は…そのデータに手を伸ばし、アクセスした
9S「空のタンクがなんでこんなにも月面に送られているんだ…?」
9S「どうして…こんな無意味なこと…」
データを閲覧し気になる項目があった
人類会議との通信ログだ
9S「司令官と人類会議の通信ログ……」
9S「ヨルハ…計画……?」
9S「ヨルハ計画…概要……全ての機体は…破……棄される…予定…」
9S「…これ…は…どういう…こと…なんだ……」
息が詰まって何も考えられなくなりそうだった
9S「月面の人類会議は…人類が生きているという嘘を創り上げるだけの……ダミー…?」
9S「ヨルハは全て…実験体…?証拠隠滅の為に…ヨルハ専用データ同期ポート内の…バックドア」
9S「E型…処刑モデル部隊の実装…裏切り者や真実に気付いた者を…破壊…する……機体?」
僕はデータへのアクセスを強制終了した
9S「…なんで……こんなこと……っ」
9S「嘘だ……絶対…そんなわけ…ない……よね…?」
9S「…」
脳内にノイズが走る
「感情を持つことは禁止されている」
誰の…声だ……?
「君は感情を出しすぎ、でも…そういうところは嫌いじゃないよ」
僕の…記憶…?
「わかった、ナインズ」
僕を…そう呼んでくれたのは………
義体に意識を戻す
9S「ぁ…」
声が不意に漏れた
ポッド153「9S…」
9S「…どうしたのポッド…」
ポッド153「何故…泣いている」
9S「ぇ?」
ポロリと自身の軍服に水滴が落ちた
9S「えぇ…?」
自身の意識とは乖離されているのか無意識に水滴がこぼれ落ちる
手で拭う
呼吸が苦しい
どうして
どうして、どうして、どうして
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして
こんなにも…苦しいんだ……
感情が、心が、魂が、僕自身が叫んでいる
口が勝手に動く
9S「とぅーびぃー…」
何も覚えていない
何も知らないはずなのに
なんで
なんで僕は泣いているんだ
どうしてこんなにも彼女が恋しいんだ
彼女…?彼女って誰だ……?
僕は知らない
今の僕にはわからない
でも寂しい、悲しい、苦しい、辛い、会いたい
胸が張り裂けそうで、いっそこのまま消えてしまえればと思える
9S「ぽっど…僕を…シャッドダウンして……」
僕はもう一度ベッドに倒れ込み現実から…目を背けた