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学パロ snjn 中編
「佐野先輩ってめっちゃイケメンだよね」
「わかるー!」
「しかもサッカー部のキャプテンだって!漫画みたいだよね!」
「あたしサッカー部のマネージャーやりたいなぁ」
「佐野先輩狙いでしょ絶対」
「あ、バレてた?」
行間休み、次の授業のため移動をしていたらきゃあきゃあと前を歩く同学年の3人組の女子はえらく楽しそうに会話をしていた。
聞いていてざわざわと胸が騒いでとてもいいものではなかった。それと同時に少し優越感。誰も知らない、人気者の勇斗と過ごすあの楽しい秘密の時間。
「おい、いってぇな」
「あっ、」
今日は会えるかななんて、そんな浮かれたこと考えていたら前から歩いてきた制服を着崩した、自分がつるむことなんてないようなやんちゃな人たちのうちの1人とぶつかってしまった。最悪だ…
「あ、じゃねぇよ。ぶつかってきたんだから謝れよ」
肩をドンッと押される。
力加減なんて感じなくって痛い。
3人に囲まれて、廊下の壁に追いやられる。恐らく3年生であろう、高圧的な態度、自分と身長差や体格差が全然違うことでつい萎縮してしまう。
「…ご、ごめんなさい」
「お前1年?名前なんつーんだよ」
「……っ」
怖くて、体が震える。逃げたい。
怖がってる自分を見てニヤつく先輩たち。そばを通る生徒たちは、チラチラこちらを見てくるが助けてくれない。手助けなんてしたらどうなるかわかってるからだろう。
「言えねーなら無理矢理吐き出させるしかねぇか?」
胸ぐらを片手で制服をぐっと掴まれた。
苦しい。でもそれ以上の恐怖心。
「……ぃや、」
今度は手首を掴まれた。
精一杯抵抗してるつもりなのだが勝てるはずもない。ふいに顎を掴まれ、強制的に視線を合わせられる。
「可愛い顔してるなぁお前」
ゾワッと全身に鳥肌が。
勇斗と言われた同じ言葉なのに、気持ち悪い。
「ーーーーおい」
「あ?」
ふいに聞こえてきた低い声。
声の方へ見ると、そこには瞳から光が消え、静かな怒りを感じる表情をした勇斗が立っていた。見たこともないような彼に自分も少し怖くなった。
「なんだ佐野か」
「手、離せよ」
「は?お前関係ねぇだろ」
「いいから離せよ、聞こえてねぇのか」
「ーー……おい、行くぞ」
なにかを感じたのか、先輩たちは逃げるようにその場を去って行った。
腰が抜けてその場に座り込んでしまうと、すぐさま勇斗が駆けつけてくれる。
「仁人!大丈夫か?!」
「…ぁ、…」
「とにかく、こっちきて」
腕を引かれて、立たせてもらう。
そのまま向かった先は保健室だった。
「おーい先生?……っていないか」
消毒液等の独特の匂いがする保健室。
だが養護教諭は不在のようだった。
勇斗は慣れた様子で歩いてベッドの方へ仁人と誘導した。カーテンを閉め、ぽふんと促してベッド端に座らせる。強く握られていた手首は薄らと赤く握った痕が残っており、勇斗はそれを見て舌打ちをした。
「あいつら…」
「……ごめんなさい、迷惑かけて…」
「仁人はなにも悪くないよ、大丈夫」
「でも、」
「静かに」
すると、痕に勇斗が口付けをした。
柔くあたたかい唇の感触に身震いをする。
一瞬の出来事でだったが、それだけでも顔に熱が集中してくるのがわかった。
チラッとこちらの様子を見て妖しく笑う。口から心臓が出てきそうなほどばくばくと激しく脈打つ。
「仁人」
「…ひゃい……」
「ふふっ、ひゃいってなんだよ」
「だって、恥ずかし…」
「……もっと恥ずかしいこと、する?」
勇斗の大きな手が仁人の制服のネクタイに触れる。しゅるりと器用に解いてベッドの上に置く。両肩に手が伸びて、やがてゆっくりとベッドへ倒された。
至近距離で勇斗の顔がある。
逃さないというような視線をつい逸らしてしまう。
「目、見て、仁人」
「……ッあ、……」
スクールシャツの1番上のボタンがプチっと外される。そして2つめ、3つめのボタンを迷うことなく外していくごとに露わになっていく仁人の色白い肌に勇斗は興奮して目が離せなかった。
「……は、はやと…」
「大丈夫、俺に任せて」
仁人の首元に唇を寄せて、軽い口付けをした。その瞬間、ピクッと小さく体が跳ねる。鼻腔をくすぐる甘く香る仁人の匂いに頭がくらくらする。自制が効かなくなりそうなほど、目の前で震えてる仁人をめちゃくちゃにしたくなる。
「……勇斗は、恋人じゃない人でも、こういうことするの?」
仁人から目尻からぽろっと涙が溢れた。
突然の問いかけに動きをとめた。
「……じん、」
名前を呼ぼうとした時、予鈴の鐘が鳴った。我に帰ったように仁人は急いではだけた部分をスクールシャツを片手で隠す。置いてあるネクタイも持ってベッドから急いで降りて何も言わずに、こちらを一切見ずにカーテンの向こう側へ消えた。
やがて保健室から出て行ったのか、ドアが閉まる音がした。
「……やっちまった……」
※
授業中、押し倒した時の眉が下がり不安げな瞳の仁人を思い出していた。
きっと嫌だったよな…と自分の気持ちを優先してしまった行動に後悔した。
色白い肌がとてもきれいであの首筋に噛みつきたい気持ちになってしまった。
先生にバレないようにこそっとスマホを出し、仁人から返事がきてるか確認した。いつものように昼休み一緒に食べようと誘ったがいまだに既読がついてなくて小さくため息をつく。
仁人が言っていた言葉。
『恋人じゃない人でも』
そんなわけないのに。
俺は仁人がーーー……
※
保健室での一件以来、ここ数日勇斗のこと避けるようになってしまった。
思わず泣いてしまったのは押し倒したのが嫌だからではない。むしろ期待してしまって、もっとして欲しいと思ってしまった自分がいる。手首に、首筋に口付け
された感触を思い出す。あたたかくて、気持ち良い。それ以上先の行為を想像しただけで恥ずかしくて頭を抱えた。
勇斗が言っていた「もっと恥ずかしいこと」をもう自分以外の誰かと済ませているのかと考えたら、泣いてしまったのだ。きっとかっこよくて優しいから、彼女もいたことあるだろうし……胸に渦巻く黒いどろどろした気持ちに嫌気がさす。
メッセージが何通も勇斗からきてるのは気づいていた。でもどうしても今の気持ちのまま会うのはどうも気まずくて、既読をつけられずにいる。
自分と勇斗はどういう関係性なのか。
友達?
ただの先輩と後輩?
よくわからない。
勇斗のことは好きだけど、勇斗は自分のことどう想ってくれてるのだろう。
※
放課後、課題に必要な資料を借りに図書室に居た。部活に所属していないため、時間があるので少しここで課題を進めようと窓際の勉強できるスペースに座っていた。パラッとページを捲る音が人が少ない静かな図書室に響く。
1階にある図書室は窓際からグラウンドがよく見える。窓の向こうを横目で見れば、サッカー部が練習試合をしていた。勇斗はキャプテマークをつけているので見つけやすい。表情は距離があるからあまり見えないが、ユニフォームを着て走る姿すらかっこよく見えてしまう。
(…好きだなぁ)
広げてあるノートに突っ伏してしまう。
全く課題が進まない。
間違いなくこれは恋だ。
中編 終
コメント
3件
続き待ってます ♫♡
後半楽しみにしてます!
うわ、すごく切ない回だった……。仁人の「恋人じゃない人でもこういうことするの?」のセリフ、胸がぎゅってなった。勇斗が後悔してるのも仁人が避けてるのも、二人ともちゃんと想い合ってるのにすれ違ってるのがもどかしいよ。最後の図書室で「好きだなぁ」って思う仁人の気持ち、すごくわかる。この重くてじわじわ来る感じ、好きだなあ。続きが気になるよ〜🥀
はるか
945
abc
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