テラーノベル
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※依存のしすぎ、キャラ崩壊あり。
「君を泣くほど愛してる」
↓
「愛に触れると雨予報」
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今回(最終回)
の流れです。
是非、前作も合わせてどうぞ。
全身が痛んで辛い朝、目を覚ますとまだ早朝の五時半だった。
夏の蒸し暑くも涼しい部屋に、扇風機に当たりながらパンをちぎって食べている仁人が居る。
清潔で真っ白なTシャツに、緩めの短パン。
あの日から数ヶ月、少しずつ調子が戻りつつある。
「…おはよう。」
『ん、おはよ。』
「どう?しんどい感じ?」
『いや…マシかな。』
少し赤くて腫れた目をぱちくりと瞬きさせながらそう言った。
俺の休みが多くなってから効かなかった病院の薬も飲むようになったし、夜泣きも少なくなった。
まだ喋るのはしんどいみたいで、外には出られない。
でも数日前にメンバーが仁人のお見舞いに来た時はちゃんと喋ってちゃんと笑った。
前よりやつれた仁人の笑顔を見る度に胸が痛くなる。
笑い声も愛想笑いみたいだし、笑っても急に泣くし。
「仁人さぁ、もしもね。もしもだよ?」
『うん。』
「仁人が外に出られるようになったらさ、一回旅行行かね?」
『うーん…うん。』
「仁人が行きたい所でー、ホテルもめっちゃ良い所取って、晩御飯は…最高級のステーキとか!」
俺だけが勝手に舞い上がっていると、急に仁人は鼻を啜って泣き出した。
前みたいに叫びはしないが、深く俯いてすんすん泣くのだ。
「あっ…ごめん。この話はまたにしよっか。…仁人、今日何したい?」
『いやっ…もっと…はな、して。こっち…来て。』
「…うん。じゃあ未来の幸せな事だけ話そうよ!」
テーブルにあった昨日の水を一口、仁人の横にピッタリと座った。
仁人は涙を拭ってこんな事を話す。
『じゃっ、じゃあ、どこ、行く?』
「んー…俺は仁人とだったらどこでも良いなぁ。」
『おっ、れ、勇斗と…あの、ハワイっ、とか、ほっかいどっ、とか。』
「あぁ、良いね!国内も良いけどやっぱ海外かなー。…というか、それより先に鼻水拭いてくんない?(笑)」
『あっ、うん。』
もう空になりそうなティッシュ箱からシュッと取ってズビズビ言いながら鼻水を拭いた。
仁人が外に出られて、天気が快晴の時。
もし仮にハワイに行くなら、一緒にホテルの窓から海の景色を眺めて、穏やかな時間を過ごしたい。
仁人の心を少しでも癒せるなら、どこまでもお金を使いたい。
しくしく泣く仁人の横でボーッとそんな事を考えていると、急に体が締め付けられた。
「ん?あぁ…よしよし。」
仁人は何かを求める素振りも無しに、真っ直ぐに俺を求めてくれた。
抱き締めて数分は離れそうにないが、頭を撫でると俺の体に響く鼓動の強いのが少し弱くなる。
そんな仁人が愛おしくて愛おしくて仕方無くて、俺でもどうしようも無かった。
『はやっ、と、ごめん。ごめん…ごめっん…。』
「謝らないでよ(笑)仁人は何も悪い事してないでしょ?」
『いっ、や、勇斗っ、に、めいわっ…く、かけてるっ…。』
「何でよ〜(笑)仁人が今生きてくれてるだけで人生勝ち組なんだよなぁ…迷惑なんか全然かけてないからね。めいっぱい甘えてよ。」
そんな事言うけど、本当は仁人にもっと元気に、前みたいに笑って活動して欲しい。
でも、本当に仁人が生きてるのは奇跡だと思う。
もしも俺が居なかったなら仁人は今頃…。
…言葉にするのはやめておく。
『はやっ…と、あの…こんっ、びに、行こ。』
「えっ?嘘、行くの?ほんとに!?無理してないよね…!?」
『うっ、ん。』
「えっと…。とりあえず帽子とかマスクだけお願いね。」
『…ん。』
仁人はあの後泣き止んで無事にコンビニで買い物を終えた。
「仁人何買ったの?」
スマホを見るとまだ起きてから三十分しか経っていなく、二人でゆったり歩いていて車が通り過ぎる事は少なかった。
仁人は丁度コンビニで買ったアイスバーを食べている。
食欲もある程度戻って、一人でも一日待てるようになって、外に出られて。
他のメンバーが知らない仁人を立ち直らせたのは俺と仁人自身で、仁人は俺の事をどう思ってるのだろう。
恋人?恩人?俺は仁人の人生の半分になりたい。
『…どうしたの?』
「あぁ、いや何でも。」
『勇斗、あの…。』
「何?何でも言ってみ。」
『あ、ありがと。いつも。なんか…ありがとう。』
なんだそんな事かと思いながら帽子越しに仁人の頭を撫でた。
「いえいえ(笑)…こちらこそいつもありがとう。」
俺は万遍の笑みで仁人に答える。
あぁ、俺も何だか心が変わってきた。
『今日何する?』
「そうだなぁ…。一緒にご飯でも作る?久しぶりに仁人のご飯食べたいかも!」
『うん…良いよ。』
今までは仁人を愛してた。
でも、今ならそれを越えたものに出会える気がする。
仁人の少しニヤッとした横顔を見ながらそう思う。
仁人とこれからも一緒に居たいし、お互いに愛し合って、何事も一緒に乗り越えて…。
俺の人生の道をちょっと考えるのも良いかもな。
正直、仁人の人生なんかどうでも良い。
俺の思い通りに仁人が動いて、俺の人生になって欲しい。
そしたら仁人が俺に迷惑かけた分、俺の人生は快晴の晴れ予報が続く。
一生離したくないから、愛す。
仁人も一生離れられないから、俺を愛す。
そんな恋人なんだから、仁人の人生は見放そうよ。
「これからも一生よろしくね、仁人。」
『…うん。』
お前の人生、雨予報かもな。
コメント
4件
いつも読ませてもらっています( ; ; )どれも素敵な作品で最高ですт_т♡
「君を泣くほど愛している」めっちゃ大好きです!なので続きめっちゃ嬉しいです!笑