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第4話、読み終わりました。すごく気になる展開ですね…。 柔太朗が朝起きて「7月1日」を見た瞬間の違和感、そのまま流れるような日常の描写が逆に不気味で。勇斗が「安心する」って言うのも、お互いに同じ夢を見た気がするって言うのも、何か大きなループやリセットの匂いがします。 救急車のサイレンでフラッシュバックする赤い光と悲鳴。これは絶対に伏線ですよね。この「また始まった感」と切なさが、次の話への期待をすごく高めてくれました。続きが気になります!
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ぴざぶどう。
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蝉の声が聞こえる。
耳の奥で鳴り続けるその音に、ゆっくりと意識が浮かび上がった。
重たい瞼を開ける。
見慣れた白い天井。
窓から差し込む朝日。
カーテンが風に揺れている。
🤍「……朝?」
まだ眠気の残る頭を押さえながら体を起こす。
不思議だった。
何か、とても大事な夢を見ていた気がする。
胸が苦しい。
理由も分からないまま、心臓だけが早く脈打っている。
🤍「……なんだったっけ」
思い出そうとしても、霞がかかったようにぼやけてしまう。
確か――。
夏祭り。
夜空いっぱいに広がる花火。
そして。
勇斗の、泣きそうな顔。
🤍「……はやちゃん?」
無意識に名前がこぼれる。
その瞬間、胸が締めつけられた。
どうしてあんな顔をしていたんだろう。
何があったんだろう。
思い出せそうで、思い出せない。
頭の奥がじん、と痛んだ。
柔太朗は小さく首を振り、枕元のスマホに手を伸ばす。
画面を見た瞬間、その動きが止まった。
7月1日 6時31分
🤍「……え?」
思わず画面を見直す。
7月1日。
何度見ても変わらない。
🤍「おかしい……」
昨日は。
昨日はもっと暑くて。
夏祭りの日で。
……そこから先が、どうしても繋がらない。
🤍「俺、昨日何してたっけ……」
考えれば考えるほど、頭の中は真っ白になっていく。
その時だった。
ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴る。
聞き慣れた音。
毎朝、この時間に鳴る音。
🤍「……はやちゃん」
自然と名前が浮かんだ。
制服に着替え、急いで一階へ降りる。
玄関のドアノブに手をかけた瞬間。
胸がざわついた。
何だろう。
開けなければいけない。
でも、少し怖い。
そんな気持ちになる理由が分からない。
ゆっくりと扉を開く。
そこには。
🩷「柔太朗!おはよう!」
太陽みたいな笑顔で立つ勇斗がいた。
その瞬間。
柔太朗の時間が止まる。
🤍「……」
勇斗は少し首を傾げた。
🩷「柔太朗?」
何も言わない柔太朗を不思議そうに見つめる。
🩷「寝起き?」
その声を聞いた瞬間だった。
柔太朗は一歩前へ出ると、勇斗の腕をそっと掴んだ。
温かい。
ちゃんと、生きている。
鼓動がある。
その温もりを確かめるように、ぎゅっと力を込める。
🩷「わっ、ど、どうした?」
勇斗が驚いて目を丸くする。
柔太朗は黙ったまま勇斗の顔を見つめた。
傷もない。
血もついていない。
笑っている。
そのことが、どうしようもなく嬉しかった。
自然と肩の力が抜ける。
🤍「……よかった」
小さく呟く。
🩷「え?」
🤍「……ううん」
柔らかく笑って首を振る。
勇斗は少し困ったように笑った。
🩷「今日の柔太朗、なんか変。」
🤍「そうかな」
🩷「うん。でも……」
勇斗は少しだけ照れくさそうに笑う。
🩷「なんか、嬉しそう。」
その言葉に、柔太朗は少し目を伏せた。
嬉しい。
その通りだった。
理由は分からない。
だけど。
今、勇斗がここにいて笑っている。
それだけで胸がいっぱいだった。
🩷「行こ!」
勇斗が歩き出す。
柔太朗もその隣へ並んだ。
いつもの通学路。
いつもの朝。
いつもの蝉の声。
何一つ変わらない景色。
なのに。
柔太朗だけが、どこか違う世界にいるような感覚だった。
少し歩いたところで、勇斗が空を見上げる。
🩷「今年の夏も暑くなりそうだなぁ。」
その何気ない一言に、柔太朗は立ち止まりそうになる。
今年の夏。
その言葉が、妙に胸へ引っかかった。
どうしてだろう。
まるで。
もう一度始まったような。
そんな気がした。
🤍「……うん。」
それ以上、言葉は続かなかった。
勇斗は気付かずに笑っている。
🩷「今年もいっぱい遊ぼうな!」
🤍「……うん。」
その返事だけは、少し強く頷いた。
今年も。
どうしてその言葉が、こんなにも切なく聞こえるんだろう。
柔太朗には、まだ分からなかった。
学校へ向かう道は、いつもと何一つ変わらなかった。
住宅街を抜ける風。
電柱に止まった蝉。
朝日を浴びてきらきらと光る川。
昨日も見た気がする。
……いや。
“昨日”じゃない。
もっと前。
もっと最近。
そんな不思議な感覚が、胸の奥に引っかかった。
🩷「柔太朗?」
勇斗が少し顔を覗き込む。
🩷「ほんとに大丈夫?」
🤍「え?」
🩷「さっきからぼーっとしてる。」
🤍「……そう?」
🩷「うん。」
勇斗は笑った。
でも、その笑顔の奥にほんの少しだけ心配が滲んでいた。
🩷「熱でもある?」
そう言って、おでこへ手を伸ばしてくる。
柔太朗は少し驚きながらも、その手を避けなかった。
その温もりに、胸が少しだけ軽くなる。
🤍「平気。」
🩷「ほんと?」
🤍「うん。」
勇斗は小さく頷いた。
でも。
そのまま手を離そうとして――
少しだけ、惜しそうに笑う。
🩷「……なんかさ。」
🤍「ん?」
🩷「今日は柔太朗に触ると安心する。」
その一言に。
柔太朗は目を丸くした。
🤍「安心?」
🩷「うん。」
勇斗は照れくさそうに頭をかく。
🩷「変だよな。」
🩷「理由なんか分かんないんだけど。」
🩷「今日は朝から、なんか嫌な夢見た気がしてさ。」
柔太朗の足が止まる。
🤍「……夢?」
🩷「うん。」
勇斗は少しだけ考え込む。
🩷「でも思い出せない。」
🩷「起きた瞬間は覚えてたのに。」
🩷「今はもう、全然。」
そう言って笑う。
🩷「変なの。」
柔太朗も、小さく笑った。
🤍「そうだね。」
でも。
胸の奥だけは笑えなかった。
自分も。
何か大事なことを忘れている気がする。
勇斗も。
同じように何かを忘れている。
そんな気がしてならなかった。
教室へ入る。
担任の声。
クラスメイトの笑い声。
黒板の日付。
7月1日。
柔太朗は、その文字をじっと見つめた。
やっぱり。
間違いじゃない。
本当に、7月1日だ。
「……」
胸の奥に、小さな違和感が積もっていく。
昼休み。
勇斗はパンをくわえながら笑っていた。
🩷「今日の数学、絶対赤点。」
🤍「まだテストじゃないよ。」
🩷「じゃあ予行練習で赤点。」
🤍「威張ることじゃない。」
二人で笑う。
その時間は、いつも通りだった。
でも。
柔太朗は何度も勇斗の横顔を見てしまう。
笑っている。
元気そうだ。
そのたびに、胸が少しだけ温かくなる。
放課後。
いつものように二人で学校を出た。
🩷「駄菓子屋寄る?」
勇斗がそう聞く。
柔太朗は少しだけ空を見上げた。
夕焼け。
オレンジ色に染まる街。
なぜだろう。
この景色を失いたくないと思った。
🤍「行こう。」
二人は並んで歩き出す。
駄菓子屋のおばあちゃんが笑って迎えてくれる。
「今日も仲良しだねぇ。」
その言葉に。
勇斗は照れくさそうに笑った。
🩷「幼なじみなんで。」
🤍「うん。」
駄菓子を買ったあと。
いつものように川沿いへ向かう。
土手に座って、アイスを食べる。
風が心地よかった。
しばらく黙って空を眺めていると。
勇斗がぽつりと呟く。
🩷「この時間、好きなんだ。」
🤍「俺も。」
🩷「ずっと続けばいいのにな。」
柔太朗は静かに微笑む。
🤍「続くよ。」
そう答えながら。
心の奥では、なぜか小さな不安が消えなかった。
その時だった。
遠くで救急車のサイレンが鳴る。
その音を聞いた瞬間。
柔太朗の胸が強く締め付けられた。
頭の中で。
赤い光が一瞬だけよぎる。
誰かの悲鳴。
眩しいライト。
そして。
勇斗の泣きそうな顔。
🤍「っ……!」
頭を押さえる。
🩷「柔太朗!」
勇斗が慌てて立ち上がる。
🩷「大丈夫!?」
🤍「……平気。」
息を整えながら笑う。
🤍「ちょっと立ちくらみ。」
勇斗はまだ心配そうだった。
🩷「今日、本当に変だぞ。」
柔太朗は苦笑する。
🤍「そうかも。」
でも。
心の中で、静かに思った。
何かが起きる。
その確信だけが、理由もなく胸に残っていた。
夕日が沈み始める。
その光は、まるで。
何かの始まりを告げるように、二人の影を長く伸ばしていた。