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しかしみんなの目には、私ならそう言ってくれると思っていた、と書いてあった。
(また…やっちゃった。ほんとは残業なんて嫌なのに。)
きゅっと唇を噛み締め、自分の作業を進める。自分の言葉を繰り返す度に心臓が強く痛む。
あんなの、全部自分の気持ちじゃない。嘘ばっかり。だけど、必要とされたことに喜びを感じている。
そんな自分が大嫌いだった。
『朝礼を始めます。』
その時、マイク放送がきこえる。もうそんな時間か、と私は拭いていたタオルをバケツに入れてから朝礼の始まる場所に向かう。
もうすでにそこには様々な部門の人が集まっていて、身だしなみチェックをしていた。
私も慌て自分の爪や制服を確認する。しばらくすると、気の抜けた声がした。
「はい。では、朝礼を始めまーす。お願いしまぁす。」
ここの店長だ。私は真っ直ぐにその人を見つめる。寝癖がついているボサボサの髪に、締まらない表情。
顎にはうっすらと髭が生えている。
本名、代田昭之(しろたてるゆき)。年齢は私より二回りも上。店長とは思えない風貌だ。
しかし仕事に関してはとても真面目。何より、部下の話をちゃんと聞いてくれて、人柄もいい為、みんなから慕われている。
私は大して、接点もないけど。