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ここ数日暇があればしかめっ面をしてスマホとにらめっこしているぺいん。警察署員達がどうしたのかと声をかけてもちょっとね、とはぐらかされる。
「プレゼント、プレゼント…これとか?でも使うかなぁ…うーん…?」
「俺はこれが欲しい。」
「うわぁっ!!!ビッ…クリしたぁ、成瀬くんか。やめてよ。」
没頭し過ぎて、頭を悩ませ過ぎて気付けなった。もう遅い事は分かっていてもさり気なく自分の身体に画面を押し付けて隠す。
「別に隠さなくても、最近ずっと見てんのそれか。」
「あー友達がさ!えっと、彼氏との1ヶ月の記念日に何かしたいって相談してきたから。」
「ハイハイ友達が、ね。でプレゼント探しという訳ですか。」
「そうだなんかアドバイスちょうだいよ!成瀬くんそういうセンス良いでしょ。」
あんまり頑なに隠しても逆に怪しまれるかと敢えて話を振ってみた。明らかな嘘に一切態度が変わらない成瀬、ぺいんは自分の事だとバレてるのかどうか分からなくて内心ハラハラしている。
「別にプレゼントに拘んなくても良いんじゃね?1ヶ月ってまだそんなに深く相手の好みとか把握できてないだろうし。」
「へ、じゃあお祝い的なのなんにもしないって事?」
「まぁそれは人によるだろうけど、例えばちょっと遠出して遊び行くとか奮発して豪華なディナーとか。そういうのは?」
「あーなるほどそういうのか…うーんどうかなぁ…」
「あんま張り切りすぎるのも重いって思われるぞ。」
「それも調べてたら出てきた、だからこんなに悩むんだよ。出かけるか…出かける、どこに…?」
「そんなに深く考えずとりあえずやってみたら?なんかアイツ一切の欲無さそうだし。」
「うーんそれもアリなんかなぁ……は、え、待って今なんて言った?」
あ、ヤベと小声で言って逃げようとする成瀬をなんとか捕まえて車に押し込んだ。とにかく人のいない所にと、パニックになりながら猛スピードで走る。あまりの迫真の表情に成瀬は口をポカンと開け黙って従う事しかできない。
「…この辺なら良いか、あのー質問しますね?」
「ハイナンデショウ。」
「えーっと…俺に付き合ってる人がいるっていうのは?」
「シッテマシタ。」
「………その人の名前は?」
「えー…ソレハシラナイナーダレカナー。」
「それが本当だったらな…はぁーーーどうしよう…マジでどうしよう。」
冷や汗が止まらず顔はずっと青いままだ。頭の中はどうしよう、どうしようと同じ言葉で埋め尽くされていてまともに考えられなくなっている。
「そんなに知られるのが嫌だったん?恥ずいから?同性だから?俺もエギと付き合ってるけど。」
「いやそういうのの前に、警察官とグレーな個人医が…ってヤバいでしょ。しかもこんな早くバレるなんて…」
「そっちか、別にいんじゃね?仕事に私情挟まなきゃ。ぐち逸をわざと逃がしたりとかしてないっしょ?」
「成瀬くんはそう思うかもしれないけど世間一般的には大問題だよ…」
「バレたのが俺で良かったじゃん、俺別に人に言いふらす趣味とか無いし。」
「………それはそうか、成瀬くん信じるね。ほんっっとにありがとう。」
ホッとしてやっと少し肩の力が抜けた。しかし心配事は山積みで今どうするべきか、これからどうするべきか悩んでまた頭を抱える。
「てかいつどこでバレた?」
「1週間ぐらい前だっけ、北のリサセン近くで手繋いで歩いてんの見た。」
「あーあの日ね、やっぱ外出歩くのは危ないか…」
「いやあの時間帯のあの場所なら平気じゃね、たまたま俺が近く通りかかっただけで。」
「そのたまたまがまたあったらって考えると怖いよ…そうだ本当にごめんなんだけどぐち逸にはぜっっったい言わないでほしい、責任感じて何しでかすか分かんない。」
「確かに想像以上の事しそうだなwもしなんかあったら協力するから遠慮なく。」
「なんでそんな優しいの?もしかして金か?…残念ながら俺航空機ディーラーより持ってるとは思えないけど。」
「見返りなんて求めてないってwあ、でもこれからこれでぺいんくんを釣れるな…」
ペンギンの奥の悪い顔が容易く想像できる程ニヤついた声で言われ、冗談だと分かっていてもぺいんは思わず身震いした。