「元貴、なんか、っ、大嫌いっ…… 」
その一言を放ち、元貴の家を飛び出した。
「……っ、、」
また同じ夢を見て目を覚ます。
元貴の家の玄関を勢い良く飛び出し、じめじめとした雨の中を駆け出し、現実から逃げた「あの日」の夢。
枕をびっしょりと濡らし、
シーツにも染みを作る朝は、
きっと、2ヶ月前から、何も変わっていないルーティンと化していた。
2ヶ月前、俺らは一流企業に勤めながらも、所謂「セフレ」とやらになっていた。
不定期で元貴の家に呼ばれ、ただただ体を重ねる。
別に欲を満たせれば何でも良い。
そんな簡易的な酔いからの感情は今となっては大問題だ。
会社では同僚。
家ではセフレ。
屑すぎる日常に、少しだけ背徳感を感じさせた行為だった。
ただ、問題だったのは、
俺が、セフレ以上の感情を
元貴に求めてしまったこと。
やりくりを思い出すだけで
目の奥がじんわり熱くなる。
「さみしい……」
口から出てしまえば元も子もないのだか、
そんな寂しさを埋める人は、
自分によって消し去ってしまったことを痛感させた朝だった。