コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この世界はきっと、普通とはズレている。
この世界は昔は違ったらしい。今から六 十年くらい前は、人間は何の能力も持たずに普通に生活をしていたらしい。
ある日、原因不明の伝染病が流行し、現在に至るまで人間は『特殊能力』を使える体質になった。
伝染病の流行が収まらなくなり、この世界には、能力を持たない人間はいなくなってしまった。そのせいで犯罪や、世界各国を挟んだ争いが横行してしまい日本は、安全な国では無くなってしまった。
僕たち学生は、国にとって最大の武器になり得る存在であり、戦力になる逸材を国が目をつけないわけがなかった。……僕は国の裏側を知らずに今まで呑気に生きていた。
いつもと変わらない日常。ぼくは、それがずっと続くと思っていた。いつも通りに学校へ歩いて行っていた時のこと、後ろから誰かに後を付けられている感じがした。
…?何だか視線を感じる…。気味悪く感じ、走り出した瞬間体に電流が走り、気を失った。
目を覚ますとそこは、山奥にある謎の施設だった。手は拘束され、動かす事は出来なかった。
ちょっと!ここは何処なんですか?!この拘束を解いてください!!
僕は目の前にいた中年の男を睨みつけた。
黙れ!!ガキの分際で生意気な口聞いてんじゃねぇ!!大人しくしとけ!!
そう怒鳴られた瞬間頬に激痛が走り、殴られた事を理解した。
無理矢理引きずられ、施設の中に入った。
施設の中には、同年代くらいの子供達が沢山いた。お前はこっちに来い!!拘束を解かれ、投げ込まれたのは牢屋の中だった。
いたた…何なんだよ一体。僕は、意識が朦朧とする中、視線を牢屋の中央に向けた。
そこには口元が血で汚れ、血肉を喰らっている少年が居た。少年は前髪が長く、目がよく見えなかったが、僕の方に目線を向けている事は、
すぐに見て分かった。
っ……?!僕は声が出せず、恐怖で体が動かなかった。食い殺されると脳が意識してしまった。
何も出来ずにいると、少年が口を開いた。
お前…新入り?少年は、問いを投げかけて来た。新入り?どう言う意味?僕は少年に、聞き返した。
お前、見知らぬ奴に無理やり連れて来られただろ?
うん…多分ついさっきこの施設に、着いたばかりだと思う。
お前スマホとか持ってないのか?
確か制服のポケットに入れてたと思うけど、
僕は、制服のポケットの中に手を突っ込んだ。
あれ?スマホ…無くなってる。
はぁ…やっぱりアイツらに取られたか。
あいつら?どう言う事?僕は状況が飲み込めずに、少年に問いを投げかけた。
此処は、能力が優れている奴や、戦力になりそうな奴が連れて来られる施設だ。簡単に言えば、俺たちはこの施設に拉致監禁されたって事だ。
え…?!じゃあもう僕たちの住んでいる所には帰れないの??
当たり前だろ。こんな犯罪行為してる施設の事をバラされたら施設側からしてもたまったもんじゃない。
そんな……これからどうすれば…
ただ、此処から出たやつも何人かいる。
え?この施設から逃げ出したって事?
いや多分消されたか、この施設が生み出した兵器にされたかのどっちかだな。
でも、こんなに子供が居なくなったら、大問題になって、捜索されるんじゃないの?
お前馬鹿かよ、年間に子供が何人行方不明になってると思ってるんだよ、少なくても900人は超えてるだろ。警察もこんな施設に拉致られたとは思わないだろうな。だから助けが来ることは無いと思った方がいい。
少年にそう告げられ、僕はひどく絶望した。
それよりそこに置いてある服に着替えろ、面倒なことになる前に。少年は斜め後ろを、指差した。
服…?指を指された方に、目線を向けると、薄汚れた長袖のシャツと、ズボンが置いてあった。
早く着替えろ、着替えないと殴られるぞ。
僕はそう言われて急いで着替えた。
今は、午後一時くらいだからもうすぐ戦いが始まる。心構えをしておけよ。
戦い!?何?どう言うこと??
この施設では、優れた能力を持った子供達同士で、戦って勝った方のランクが上がる。戦いに負けてランクが下がりまくった奴は処分されるんだ。ランクが高い奴は、国に売られる。
国にとっては最高の兵器になるからな。
処分って一体……??
殺処分の事だろ。国も戦力にならない役立たずは要らないからな。
ランクの1番上はS+、1番下はE-だ。
E-を取った奴は確定で処分される。とりあえずお前がやる事は、戦いで勝ち続けるだけだ。それ以外今は無い。
その…僕のランクは今どれくらい何だろう??
お前は入ってきたばかりだから…多分ランクはDだな。今日の戦いで、一度負けたら、Eになるから気をつけろよ。まあランクに関しては、お前の能力次第だな。お前何の能力を持ってるんだ?
僕の能力は、命の危険を感じたら毒を含んだガスを出すんだ。
毒の効果はどのくらいなんだ?
少し呼吸が苦しくなる程度かな。
うーん、まあ使えない訳ではないな。
毒は弱かろうが強かろうが役に立つ能力ではあるし。
君の能力は何なの?
また後で教える今は時間がないからな。
お互い無事だったら話の続きをする分かったな?
僕が返事をする前に、少年は牢屋の外に行ってしまった。