ふふ──
キミも
〝善と悪〟って言葉が好きなんだね?
いや、好きというより
きっと〝安心する〟んだろうな。
物事に白黒つけて
自分は白の側に立ってるって
思いたいからさ。
でもさ、ボクに言わせれば──
善と悪なんて
都合の名前を付けただけの
〝結果論〟だよ。
たとえば
飢えた子供にパンを与えれば〝善人〟で
子供を売り払って金に変えれば〝悪人〟
──まぁ、表向きには、そうかもしれない。
でも、その子が生き延びたあとに
どうなるかなんて⋯⋯
誰にもわからないだろう?
パンを与えられた子供が
やがて犯罪者になれば──
〝善行〟だったことは
ただの自己満足に過ぎない。
逆に
〝売られた子供〟が
どこかで生き延びて力を持って
人を救うようになったならば──
ボクらのした〝悪行〟は
〝運命の導き〟に変わるかもしれない。
要するにさ。
その瞬間にとっての〝正しさ〟なんて⋯⋯
未来で簡単に塗り替えられるんだよ。
だから、ボクは〝正しさ〟で動いてない。
美しさで動いてる。
ボクが記憶を改竄するのも
ボクが人を生かすのも、消すのも──
全部〝整えている〟だけなんだ。
世界が綺麗に回るように
心の歪みや汚れを
上手に〝見えない棚〟に仕舞ってあげてる。
善だとか、悪だとか、ボクは決めないよ。
そんなものは、時也がやればいい。
アリアの横に立って
苦しそうに正しさを抱えてくれてればいい。
ボクはただ
その舞台の背景を塗り替えるだけ。
誰もが神父の優しさに安堵しながら
その奥にボクが居ると気付かないまま──
眠るように支配されていく。
ね?美しいだろ?
それが、ボクの──
〝善悪の定義〟さ。
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