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紅
650
330
#糸師凛
りー
242
24
「ダンジョン? 一応十七層まではできたわよ。二十層までは拡張する予定だから順調に進んでいるけど」
夕食を作って落ち着いて食べながら、ダンジョンの進捗について相談。その結果アカネからそういう言葉をかけてもらった。今日のご飯もそこそこおいしかったらしく、アカネが吸い込む神力の量はそこそこだった。
「お、そうか。さすがに今回は二十層まで往復するまで待って……というわけにもいかないだろうから、十七層まで一度潜る必要もある……が、それよりもエネルギーボルトの予備をもう一つ持っておきたいところだな」
「誰かの分? それとも自己強化用? どちらになるかによってはそれなりに日ごろの努力で何とかなりそうだけど」
「誰かの分、だな。少なくとも俺はマジックミサイルをレベル21まで上げてしまっているし、それをそのまま成長させておくほうが確実に強さという点では担保できる。ただ、課題と今後の研究で必要になりそうなんだよな。そのために30万とはいえ、二枚分は保持しておいていざとなったらいつでも渡せるようにはしたい。そのためにはちょっと一回六層まで潜ってくる必要があるかな」
「じゃあ、今から行くの? 六層まで行くとなるとそこそこ時間かかるわよ」
「明日一限ないからちょうどいいかな。ちょっと遅くてもいい感じだ。しっかり稼いで帰ってこよう。ついでに他の【体捌き】や【剣術】とか出てくれると便利だけどな……ついでにオーク肉の補充もするか。オークチーフにも久々に会いに行くか。通り抜けるだけでも一個ぐらいは落ちるだろう」
装備品は……ケンタウロス装備三セットの効果のほどを試してみるとするか。浅い階層で試しに戦ってみて、前の装備との違いを比べてみよう。
あとは十五層の上半身だけ、か。いっそのこと買うほうが早かったりしそうだが……それも経費で買えそうだし、いっそのことそっちの方向で考えておくのもありだな。善処しよう。
さて、さっそく食事が終わったらさっそくケンタウロスの装備セットのうち、手持ちにある上半身以外を着込んでみる。すると、普段よりも体が軽くなったように感じる。これがケンタウロス装備三セットの身体能力向上効果か。
ふむ、悪くない。ただ、今まで腕防具と呼べるようなものがなかった分、少し違和感があるし、靴もそうだ。今までとは履き心地が……うん、前のより履き心地いいな。下手な安全靴よりも足になじむな。
これは四セットそろえてどこかの部位が壊れてセット装備が崩れても、三セットを維持する、というためだけに四セット持っておく、というのも十分ありだな。本来は槍も併せて五セット、というところだろうが、【槍術】を今からかき集めて体をなじませるのもちょっと面倒のほうが大きい。武芸百般に通じる理由もないし、このまま弓だの槌だの槍だの暗器だの鞭だの……といろいろ種類はあるんだろうが、正直そんなに使わなくていい。
どこかで決定的に剣とスキルでは戦えない、という状況が訪れた時にまた考えることにしよう。それまでは現状維持と現行スキルを伸ばしていくことに力を籠めるほうがおそらくは効率的。
風呂を沸かしておいて、帰ってきたらすぐ入れるようにタイマーにしておくと、荷物をできるだけ空っぽにしてそのまま専用ダンジョンに入っていく。
一層に入るのは多々あるが、一層からそのまま三層方面に抜けるのは久しぶりだな。ここでもしっかりモンスターを倒していく、というわけではない。できるだけ短縮していきたいので、【威圧】を充分に効かせてゴブリンやレッドキャップが近寄らないようにしながら進む。レッドキャップについては【忍び足】狙いで倒していく方法もあるが、今日に限ってはそれを望んで戦うわけではないので今日は放置だ。
しっかり途中経過をスルーして、三層にたどり着いた。ここからはそこそこ戦いながら行くのでモンスターには出会ってから【威圧】をかけて動けなくなっている間に倒す、といういつもの手順でオークをどんどんと倒していく。ついでにオークチーフにも挨拶をして、運が良ければオーク肉塊をドロップしてくれるのでしっかりと倒していく。
オークチーフは相変わらずの吠えっぷりだが、もはや威圧をするのは向こうではなくこちら。ぎっちりと睨み付けると、オークチーフがだんだん小さくなっていくような感覚すら覚え、そのまま動けなくなったオークチーフを手短に倒してさしあげると、予感通り肉塊をドロップしてくれた。これでしばらくおいしい思いはできるな。
できれば【威圧】のレベルをもう一段階上げてみたかったところだが……まあ仕方ない。そのうち出るものが出るようにさせてもらおう。急ぎじゃない限りはまた休みの日にでも一日使って威圧をしっかり集めておくのも大事だからな。
1万円分のオーク肉を手に入れた後、そのままリザードマン、レッサートレントといいテンポで倒していったが、不必要なドロップ運を使って槍を手に入れたりとか樹液を余分に手に入れたりということはなかったらしい。これで一安心といえばいいのか、それとも……まあ、どちらでもいいだろう。余分な荷物はないほうがいい。今日の目的はエネルギーボルトだ。二兎を追ってどちらも得られない可能性だってある。
目的の六層へついて、まずはデブスケルトンとガリスケルトンに、久しぶりに出会う。ああ、久しぶりだなあ、という感覚があるが、あれ以来スキルも増えたしレベルも上がった。俺も頑張ったんだから、その分だけ倒すのはより楽にはなっているはずだ。武器も代わったしな。今ならデブスケルトンもガリスケルトンも、同じところ狙って刀を振り切るだけで倒すことができる。
それぞれのスケルトンがランダムにスキルスクロールのドロップをくれるものの、さすがに一目見てそれがどのスキルスクロールなのかを見定めるほどの実力はないし記憶力もまだない。ただ、まだ雷スケルトンと出会っていないのでエネルギーボルトは出ていないのはわかる。
このあたりのスケルトンは【体捌き】とか【剣術】、【槌術】に【弓術】ぐらいが関の山だろう。この辺はベーススキルとしてもあまり強くない部類に入るが、おろそかにしてはいけない大事な部分でもある。しっかり数だけは集めておこう。
さて、肝心の雷スケルトンは……いたいた。こちらに向かって杖を掲げてエネルギーボルトの発動を目指してくるが、こちらが近づいて切り飛ばすほうが早い。ここは手早くいこう。二時間ほど駐留するつもりでじっくり素早く的確に雷スケルトンだけを倒していきたいところ。
しかし、この専用ダンジョンでは完全ランダム。固まって生息する場所があった駅前ダンジョンのほうが特定のモンスターを探して稼ぐ、という意味では合っていたのだろう。ただ、ドロップ率の効率からすればこっちで一時間で外での10倍稼げる。ここで一時間稼いで二枚ぐらい手に入れられるなら、それでよしとすることにしよう。とりあえず今日のノルマは雷スケルトンから三枚かな。
◇◆◇◆◇◆◇
二時間みっちり稼いで、雷スケルトンからのドロップは6枚になった。全部がエネルギーボルトだとかなり美味しいことになるが、そうじゃなかった場合は……とりあえず一枚彩花に覚えてもらって、その残りのうち二枚は朝日奈と大泉先生用、残りはどうしようかな。自分で覚えても仕方ないから、とりあえず予備の予備というつもりで残しておこうか……でもその気になればすぐ手に入るしな。
よし、そうと決まればとっとと帰ろう。五層四層三層と順調に戻りつつ樹液もスキルスクロールも手に入れて、帰りのオークチーフでスキルスクロールも手に入れた。今日はなかなかいい日だな。
レッドキャップも帰り道についでにシバキ倒していったが、そうそう何かが出るほど甘いドロップ率でもなかった。やはり専用ダンジョンとて限度はある、ということだろう。
無事に帰還してさっそくスキルスクロールの鑑定を行う。スキルスクロールの鑑定ついでに、今日入手した分の魔石を全部換金に持っていくことにするか。着替えずにそのまま拾ってきたオーク肉を明日の分は冷蔵庫に、肉塊は細かく切り落としてから冷凍庫にいれて保管しておくことにしよう。
スキルスクロールを鑑定すると……オークチーフからは【威圧】が出てくれたらしい。これで……メモ帳どこ行ったかな……あった、レベル19だな。
あとは……剣術が三枚、エネルギーボルトが六枚。……ここで今日の利用分が終わってしまった。残りのスキルスクロールの鑑定は後日だな。とりあえずエネルギーボルトはおいといて、剣術は覚えてしまおう。残りのスキルは【体捌き】や【槌術】の可能性が高いが、エネルギーボルトの分だけは別にして残しておこう。
【剣術】を三枚、覚える……と。もしも、エネルギーボルトが市場から枯渇していて覚える余裕がない、といった時のために残しておくことにしよう。今のところ現金には困ってないからな。そのまま枚数残して……よし、エネルギーボルトはおいといて、それ以外のまだ未鑑定のスキルスクロールは今から持っていって、ついでに鑑定してもらうことにするか。
さっそくスキルスクロールと魔石、ドロップ品を背負って換金所に向かう。ちゃんと大学ダンジョンの前を通ってから換金所へ向かうことにした。念のためだ。一応は大学ダンジョンから出てきました、という様子で出てきたし、家から身支度をしてないので、表向きはダンジョンから出てきて一狩りしてきた様子には見えるだろう。
さて、覚えるものは覚えて、覚えないものは売る。【体捌き】なら覚える。あとは……まあ、金になるもんは金にしてしまおう。今はいくら金があっても困らないし、税金分さえ残しておけば生活費に困ることもないだろう。最悪三層のオークチーフ相手にお百度参りをして【精力絶倫】を複数枚手にいれて換金すればいい。
なんともイージーモードな探索者もいたもんだな。自分で選んだ道とはいえ、こうも簡単に稼げてしまうと少しばかり人生が楽に見えてしまうが、それに慣れてしまうのもよろしくない、ということで、今日も換金に励むのだ。
ちなみに、出てきたスキルスクロールは【体捌き】二枚と【槌術】二枚だったので、【槌術】は売り払って資金にした。全部で128000円ほどになった。なんだかんだ、スキルスクロールの稼ぎ分は大きいといったところだろう。
コメント
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おお、安定の稼ぎっぷりだなあ……!エネルギーボルト6枚とか笑うしかないわ。オークチーフからの【威圧】もレベル上がってるし、装備のセット効果も試せて良かったね。この主人公、頭の回転速くて好きだわ。ただ、タイトルの「インチかセンチか」ってどういう意味だろ?気になる(笑)