『 …… ごめん 、 こんな中途半端で … 』
『 … だけど 、 ……… だけど !!! 』
『 来世は絶対 、 ここに来て 、 お前を助けに行くから !! 』
『 絶対 、 ……… 長生きしろよな 。 』
『 ……… 今まで 、 ありがとう 。 』
そう言い 、 少年は目を瞑る 。
赤い赤い村の中で 。
小柄な少年達が手を繋ぎあっていた 。
約束を交わし 、 幸せそうに抱きしめて 。
少年達は炎の中に包まれたのだった。
🌸「 …… 戦争 ? 」
モブ「 簡単に言えば 、 だけど 。 」
モブ「 昔のこの町には 、 所謂『 悪魔 』って存在が居て 。 」
モブ「 その悪魔を倒す為に戦ったんだって 。 」
モブ「 でもね 、 その悪魔にも生き残りがいるらしくて 。 」
モブ「 この町唯一の大きい神社 。 」
モブ「 彼処の蔵の中に封印されてるらしいよ 。 」
モブ「 大体 ……… 500年くらい前から ?? 」
🌸「 … そんな前から ……… 」
🌸「 …… 何か 、 可哀想だな 、 」
モブ「 まぁ 、 その悪魔が特別何か悪い事をしたって情報も無いし 。 」
モブ「 これだけ聞いてれば確かに可哀想だな〜 。 」
引っ越しをして半年が経った頃 。
この町には過去に大きな戦争があった事を告げられる 。
こんなにも豊かで暖かい町でそんな事があったなんて 。
俺はビックリして目を見開いていた 。
引っ越してから毎日通るようになった通学路 。
その神社は通学路にあるので毎日見ては何だろうかと考えていた 。
🌸「 …… 明日 、 何かお供えしに行くか …… 」
翌日 。
俺は昼頃に神社へお供え物を持って向かう 。
実際に近くで見るのは初めてだった 。
その神社の大きさに少し驚く 。
…… 初めて 、 なはずなのに 。
何故かその景色が景色が懐かしく感じる 。
理由は分からなかった 。
蔵の前に着き 、 お供え物を置く 。
ボロボロで 、 所々に焦げ目が付いている 。
近づけば近づくほど大きく見えた 。
そんな時 。
沢山貼ってある札のうちの1つが剥がれそうになってた 。
沢山貼ってあるから1枚くらい取れても平気だろう 。
そんな軽い考えで札を剥がした 。
もうボロボロだし 。 近くのゴミ箱へ捨てようと思った 。
後ろへ振り返った瞬間 、 黒いオーラで包まれた 。
🌸「 … な 、 何 …… っ !?!? 」
ビックリして腕で顔を覆う 。
目を瞑っていたら突然腕ががっしりと掴まれる 。
力が強いせいで抵抗ができない 。
何が起こっているのか分からなく怯えている俺を引っ張って蔵の中へ強引で入らされる 。
その時に頭を打ったのか 、 強い衝撃で俺は気を失ってしまった 。
🌸「 …… ぅ 、 」
目が覚める 。
少し眩しい太陽の光が目にあたる 。
目を擦れば少し頭がズキっと痛くなり押さえる 。
再び目を開ければ見知らぬ男がちょこんと座っていた 。
「 あ 、 良かった 。 」
「 さっき強引に引っ張りすぎちゃったみたい 。 」
「 痛むよね 。 大丈夫 ?? 」
そこにはもふもふな尻尾を揺らして起きた俺を微笑む男 。
蘇芳色の目が輝いて綺麗に風が髪になびいている 。
よく数えたら尻尾の数が異様に多い 。 9本くらいある 。
これが所謂九尾なのか ? と首を傾げる 。
「 …… あのね 、 真面目な話 。 」
「 俺はずっと君の事を探してた 。 」
「 500年前から 、 蔵の中で1人で君の事を 。 」
🌸「 … 俺の 、 事 ? 」
「 … やっぱ 、 生まれ変わったから覚えてないか 。 」
🌸「 …… なんか 、 ごめんな ? 」
「 ううん 、 君のせいじゃない 。 」
「 … 初めは唯の似た人かなって思った 。 」
「 蔵の前で見た君の笑顔 、 俺が失った人とそっくりで 。 」
「 もしかしてと思って札を剥がしたのと同時に引っ張って抱きしめた 。 」
「 その時確信した 。 」
「 触り心地も 、 腕の細さも 、 温かさも 、 全て同じだった 。 」
「 君 、 名前は ? 」
🌸「 … 桜 、 遥 。 」
「 …… やっぱり 。 」
「 会いたかったよ 。 桜裙 。 」
「 俺は蘇枋隼飛 。 」
「 前世の君の …… パートナー的存在 。 」
🌸「 ぱーとなー …… 」
理解は出来てなかった 。 全てが急すぎて 。
頭がついて行っていない 。
そんな頭でも分かるくらいその蘇枋とか名乗る狐は喜んでいて 。
喜んでいるならそれでいいか 。
そんな軽い思いだった 。
🫖「 ちゃんと 、 助けに来てくれたんだね 。 」
🫖「 待ってた甲斐があった 。 」
🫖「 記憶が無くなっても 、 札を剥がして助けてくれた 。 」
🫖「 凄く嬉しいよ 。 」
🌸「 … なら 、 良かった ? 」
🫖「 桜裙は今は学生だよね 。 制服を着て歩いている所よく見るよ 。 」
🫖「 制服姿も凄く可愛かった 。 」
🌸「 な 、 !! ///// 」
🫖「 学生って事は 、 一緒に住むことは出来ないのかぁ … 」
🌸「 … 住む ? 」
🫖「 『 来世もずっと一緒に居よう 』 って桜裙言ってたよ ? 」
🌸「 それは前世 ? だろ !!! 」
🫖「 ん〜〜 、、 」
🫖「 …… じゃあさ 、 」
🫖「 学校帰りに毎日此処に寄っていきなよ 。 」
🌸「 … は 、 」
🫖「 500年も此処で1人だったんだ 。 君と再開したら離れるの寂しくなっちゃって 。 」
🌸「 …… でも 、 」
🫖「 俺寂しいなぁ〜 、 解放されてからも1人なんて 。 」
🌸「 …… 〜〜ッ 、 !!!! 」
🌸「 分かった !! 寄ってやるから !! 」
🫖「 やった ^^ 」
少し我儘だなとは思っていたけど 、
パートナーを失って500年 。
ずーっと1人だと伝えられると胸がぐっとなる 。
学校の帰りは殆どの奴が部活等で忙しくて一人で帰っていた 。
帰ってからも暇なだけだし 。
気分転換には丁度いいと思いその提案を受け入れた 。
前世とかよく分かってなかったが 、 思い出が深い様で一から全部話してくれた 。
何日か経てば話すのにも慣れてくる 。
「 俺がいない間は何をやっているのか 。 」
「 500年間閉じ込められてて暇じゃなかったのか 。 」
そんな軽い質問にも淡々と答えてくれる 。
「 今は戦いの無い平和な世界だからね 。 強いて言うなら黙想かな ? 」
「 傷の治りが想像より遅くてね 。 ずーっと寝てたから暇ではなかったかな 。 」
会話も楽しくなり始めた 。
終いには帰る時には蘇枋が恋しくなっている程だった 。
だけどそれを続ければ違和感を覚えてくる 。
最初はあまり気にしていなかったが 、
蘇枋は異様に愛が重い気がする 。
気づき始めたのは帰りに神社へ通い始めてから2ヶ月くらい経った頃 。
少しずつ 、 だけど帰る時間が遅くなっている事に気づき 、
「 そろそろ帰るな 。 」
前日よりも早い時間で帰ろうとすると 、
「 何で ? 昨日はもっと遅かったじゃん 。 」
「 もしかして飽きちゃった ? そんな駄目だったかな ? 」
「 そういう訳じゃないけど 、 日が暮れるの早くなってきたし 。 」
「 遅くなっても親に申し訳ないし 。 」
「 …… そんなの 、 気にしなくていいじゃん 。 」
どうしても帰って欲しくないと思っている蘇枋からポロリと小さく出た一言 。
申し訳ないが聞こえちゃっていて 。
この頃は「 まぁ寂しかったんだし仕方ないよな 」くらいにしか思っていなかったけども 。
日に日にエスカレートしていった 。
それからしばらく経ったある日 。
その日も学校帰りに蘇枋の神社に寄る 。
でも分かってからは「 忙しいから 」と言い訳をして2日に1回 、 3日に1回等 、 寄る日を少しずつ減らしていた 。
蘇枋も「 仕方ないよね 。 」と理解はしてくれているそう 。
最近はどうも蘇枋が怖く感じていたから申し訳ないけど少し身が軽くなった感じがした 。
だけど 、 どうやら俺は油断していたみたいで 。
🫖「 …… 桜裙 、 最近はやけに忙しそうだね 。 」
🌸「 …… ま 、 まぁ …… ?? 」
🫖「 何だか申し訳ないな 、 忙しいのに来てもらっちゃって 。 」
🌸「 … いや 、 寂しいかなって …… 」
🫖「 …… そう 。 」
🫖「 ……… ま 、 知ってるけど 。 」
🌸「 …… え 、 ?? 」
ド ンッ !!! ( 床に押し倒す )
🌸「 ぅ “ っ 、 !! 」
🌸「 …… 蘇枋 、 ?? 」
🫖「 全部知ってるよ ? 」
🫖「 どれだけ君の事を追っていると思ってるのさ 。 」
🌸「 …… 何 、 が ? 」
🫖「 俺が怖いんでしょ ? 」
🫖「 帰りが早いのは 。 」
🌸「 …… な 、 」
🫖「 だってわざとだもん 。 」
🫖「 俺は桜裙にしか着いて行かなかったから人間なんてよく分からない 。 」
🫖「 でも桜裙はどんな俺でも愛してくれたから 。 」
🫖「 今もそれは変わらないんじゃないかって思ってた 。 」
🫖「 残念だなぁ 、 俺はこれ程に君を愛しているのに 。 」
🫖「 今の君は術も効かないみたいだね 。 」
🌸「 …… 術 、 」
🫖「 ずっと前 、 休みの日に来てくれた時 。 」
🫖「 昼寝している君の頬にちょっと仕掛けたんだ 。 」
🫖「 前世の記憶が蘇りますようにって 。 」
🫖「 でも全く変わらなかった 。 」
🫖「 君は前世と同じ超能力者かな ? 」
🌸「 な 、 は 、 どういう __ 」
🫖「 … ま 、 分からないよね 。 」
🫖「 ……… だから 、 」
🫖「 分からせるしか …… 無いよね ? 」
昔の人ってよく分からない 。
無理矢理ってのも分からないし 、
こんな歪んだ愛 、 許される訳が無い 。
これがよく聞く『 偏愛 』というものだろう 。
でも 、 だけど 、
俺はいつの間にか 、 それを快楽と思い始めて 。
妖怪と人間の恋なんて許されるのだろうか 。
否 、
俺は蘇枋にしかついていけないから 。
これだと 、 蘇枋より俺の方が化け物らしくて 。
他の人間共の恋愛が可哀想に感じてくる 。
これがもしも夢だとしたら 、 夢の中の出来事だとしたら 。
一生覚めて欲しくない 、 恋物語だ 。
🫖「 俺は未熟だったからさ 。 」
🫖「 君を守れるくらい力がなかったからさ 。 」
🫖「 俺は君を殺すしか 、 君と幸せになれる手段が無かった 。 」
🫖「 だけど 、 もう離さない 。 」
🫖「 死んでも 、 君の事は離さないからね 。 」
🫖「 俺の愛おしい陰陽師様 。 」
# コ ン テ ス ト 『 二 次 創 作 部 門 』 作 品 。
コメント
4件
わ~ぁ~っ!(?) 設定が~っ好きぃ~っ!
ねぐちゃの書く物語って設定とかしっかり作り込まれてて凄いよね…
初めての7000文字作品 ‼️‼️ 伝えたい事詰め込みまくったらめっちゃ長くなっちゃった ‼️‼️ 最後の方適当になっちゃいました 😖 ちなみに前世の🌸くんは陰陽師って言うより呪禁師寄りの人間です 😌