テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
はい!山本×乾でございます!!!
あ、先に言っておきます心中エンドです
苦手な方はゴーバック!(^◇^)
【注意!】
・キャラ崩壊してるかもです
・口調迷子です
・解釈違いかもです
・フォントの大きさめっちゃいじってるので見にくいかもです
・誤字・脱字・誤用に注意です。見つけたらご報告お願いします
・これを読むことによっての被害について、ヌッシは一切責任を負いません
・もうなんでもいい。なんでもこい。受け止めてあげるから(?)の人だけお読みください
QuizKnockのオフィスは、夕方を過ぎると独特の静けさに包まれる。
昼間の賑やかな喧騒や、撮影機材の慌ただしい片付けの音が嘘のように、残された編集作業用のデスクには数えるほどの明かりしか灯っていなかった。
他のメンバーやスタッフが「お疲れ様」と言い残して次々と帰路につく中、僕は一人、パソコンの画面に向かって動画のカット編集を続けていた。
作業の合間のほんの少しの息抜きに、僕はスマートフォンの画面をスクロールする。
流れてきたショート動画の音声が、静まり返った室内に小さく響いた。
画面の中では、洗練された手つきのパティシエが、滑らかなチョコレートの海を大理石の上で美しく成形していた。
『――チョコレートに含まれるココアバターは、冷やし固める際の温度管理によって、Ⅰ型からⅥ型までの6種類の異なる結晶構造を作ります。その中で、私たちが普段「口溶けが良くて美味しい」と感じるV型(5型)の結晶は、人間の体温よりわずかに低い「約33.8℃」で溶けるように作られているんです。この繊細な温度調整をテンパリングと呼び、これを失敗すると手の体温ですぐにドロドロに溶けてしまったり、逆に口の中でロウのように残ってざらついたりします。逆に言えばね、その33.8℃という温度に達するまでは、どんなに滑らかそうに見えても、外側からは絶対に壊せない「固形」として完璧な形状を保ち続けているんです。物質の融点には、非常に明確な境界線があるんですね』
「33.8度、か……」
僕は動画を止め、その数字を口の中で小さく転がした。
人間の体温よりも、ほんのわずかに低い温度。
その目に見えない境界線を越えた瞬間に、どれだけ頑なに形を保っていた固体であっても、跡形もなくドロドロに融解してしまう。
(まるで、今の僕みたいだ)
画面を消した暗いディスプレイに、自分の冴えない顔が映る。
僕にとって、同じオフィスで働く先輩であり、QuizKnockの顔でもある存在
――山本祥彰という人は、常にその『境界線』の向こう側にいる人だった。
尊敬する偉大な先輩。
圧倒的に優秀なクイズプレイヤー。
そして、対等であるべき仕事仲間。
どれだけ親しく言葉を交わそうとも、どれだけプライベートで笑い合おうとも、その確立された枠組みから一歩でもはみ出すことは絶対に許されない。
自分の心の中にいつの間にか芽生えてしまっていた、先輩への恋情という名の狂おしい熱を、僕は必死に「冷やし固めて」隠していた。
自分の形を崩さないように、周囲に迷惑をかけないように、ただの都合のいい「後輩」として、強固な固い殻を被ったままで。
しかし、当時の僕はまだ、何も気づいていなかったのだ。
僕が必死に守っていたその固い殻を、山本さんがどれほど愉しげに、そして冷徹に見つめていたかということに。
「……乾、まだ残ってたんだ」
不意に、背後から鼓膜へと滑り込んできた声に、僕の肩が小さく跳ねた。
慌てて振り返ると、いつの間にか山本さんが僕のすぐ後ろに立っていた。
いつも通りの、カメラの前で見せるような、太陽みたいに眩しくて人当たりのいい笑顔。
けれど、その瞳の奥だけは驚くほど静かで、僕のすべてを冷酷に値値踏みするような、奇妙な鋭さが宿っていた。
「あ、山本さん。お疲れ様です。帰られたと思ってました。動画の構成でちょっと気になるところがあって……でも、もうすぐ終わります」
「そっか。頑張るねえ、乾は。……ねえ、ところでさっきの動画、面白そうだね。33.8度で溶ける境界線の話」
「え……」
見られていた。
心臓がドクンと嫌な音を立てて脈打つ。
山本さんは僕のデスクの端にゆっくりと腰掛け、長い足を組んで、僕の顔をじっと覗き込んできた。
逃げ道を塞ぐようなその距離感に、喉の奥が乾いていく。
「物質の融点には明確な境界線がある、か。……ねえ、乾。乾はさ、僕との間に作っているその境界線を、いつまで保っていられると思ってるの?」
「な、何の話ですか……? 僕は別に、そんな……」
必死に平静を装い、いつもの後輩らしい困り笑いを作ろうとする僕の声を、山本さんはフッと柔らかい笑みで受け流す。
その絶対的な余裕の笑みに、背筋が凍りつくような恐怖を覚えた。
「気づいてないフリをするの、もう疲れたよ、乾。乾が僕を見る目、他のメンバーに向けるものとは全然違うことくらい、とっくに分かってる。僕が不意に近づいたとき、触れられてもいないのに、乾の呼吸が浅くなって、耳の裏まで赤くなること。……全部、最初から知ってたよ?」
山本さんの言葉は、あまりにも静かで、完璧な確信に満ちていた。
僕が何ヶ月も、何年もかけて、夜も眠れないほど苦しみながら必死に隠し、冷やし固めてきた醜い秘密。
それを山本さんは、とうの昔にすべて見透かし、楽しそうに手のひらの上で転がしていたのだ。
「僕に対して、誰も入れない透明な壁を作って、必死に『ただの後輩』のフリをしてる。必死に固形を保とうとしてる。……ねえ、乾。僕にここまで言われても、まだ僕のことを『ただの先輩』だって言い張るつもり? 早くその口から、本当のことを言ってよ」
山本さんは、決して自分から「好きだ」とは言わない。
僕の逃げ道をジワジワと言葉で塞ぎ、僕のプライドをへし折り、僕の口から、僕自身の意志で、その境界線を踏み越えさせようとしている。
その精神的な支配の仕方が、圧倒的に、恐ろしいほどに「一枚上手」だった。
僕の心は、今や「過冷却」の状態そのものだった。
本来なら凍りつくような冷徹な理性を保っているように見えて、その実、極限まで張り詰めた液体のように、山本さんの完璧な言葉の罠という刺激によって、一気に崩壊を始めていく。
「……山本さんは、本当にずるいです」
ぽつりと言い放った僕の声は、自分でも驚くほど低く、怒りのように震えていた。
「え? なにがずるいの?」
山本さんは、すべて分かっているくせに、小首をかしげて嬉しそうに僕の次の言葉を促す。
その残酷なまでの純粋さに、僕の理性は完全に焼き切れた。
「いつもそうやって、僕の気持ちを全部知っているくせに、僕に言わせようとして……! 僕がどれだけ必死に、あなたの前で普通の『後輩』でいようと、理性を保とうとしてるか、知ってるんでしょ……! あなたが好きだって、そう言わせたいだけでしょ……!」
僕は視線を床に落とした。
握りしめた拳が、爪が手のひらに食い込むほどに激しく震えている。
完全な降伏だった。
自分の負けを認めた瞬間だった。
そんな僕の惨めな姿を見届けると、山本さんは満足そうに、ゾッとするほど美しく、狂気に満ちた笑みを浮かべた。
そしてデスクから下りると、僕の両肩を、もう二度とこの世界から逃がさないというように、痛いほどの力で強く掴んだ。
「うん、知ってたよ。乾の口から、その言葉が聞きたくて、ずっと待ってたんだ。……おめでとう、乾。これでようやく、僕たちは両想いだね。……でもさ、乾」
山本さんは僕の頬を両手で包み込み、その目をじっと見つめる。
冷たいオフィスの空気の中で、山本さんの親指が、僕の唇を強く、まるで自分の所有物としての印をつけるようになぞった。
「両想いになっちゃったってことは、もう、今までの『綺麗な先輩と後輩』には戻れないよね。僕たち、これからどうするの?」
「それは……」
またしても、言葉に詰まる。
僕たちのこの仕事は、常に何十万人、何百万人ものファンに見られ、評価され、清廉な「理想のキャラクター」として形を保ち続けなければいけない。
もし、この歪な感情や、男同士の狂った関係が外に漏れれば、QuizKnockとしての日常も、僕たちが命をかけて守ってきた居場所も、すべてが崩壊して社会的に抹殺される。
「怖いでしょ? 誰かに見つかるのも、僕たちの関係が周りのくだらない環境のせいでバラバラになっちゃうのも」
山本さんは、僕が頭の中で必死に巡らせていた恐怖を、すべて先回りして見透かしていた。
その囁くような優しい声が、僕の思考力を完全に奪い、彼の論理へと支配していく。
「テンパリングされたチョコレートみたいに、ずっと周りの目を気にして、無理して理想の『僕たち』を演じ続けるなんて、僕には耐えられない。……乾が他のメンバーと楽しそうに喋っているのを見るだけで、僕、本当は頭がおかしくなりそうなんだから。いつか誰かに、乾を奪われるんじゃないかって、毎日毎日、吐き気がするほど考えてるんだよ」
山本さんの指先が、僕の髪を愛おしそうに、けれど決して離さないというように強く絡めとる。
その独占欲の深さと異常さに、ゾクりと強烈な鳥肌が立った。
「このまま生きていれば、いつか絶対に、僕たちのこの形は壊される。そんなの嫌だ。乾が僕以外の誰かに目を向ける瞬間なんて、一秒もあってほしくない。僕の目の届かない場所に、乾が生きていること自体が許せないんだ」
山本さんは、カメラの前でいつも見せるような、非の打ち所がない、太陽みたいに眩しい、完璧な笑顔を浮かべた。
僕たちを最も美しく、最も完璧に保つための、究極のクイズの答えを思いついた、と言わんばかりに。
「ねえ、乾。――一緒に死の?」
言葉のピースが、あまりにも滑らかに、僕の絶望的な未来のパズルにはまった。
心中という、最悪で破滅的な提案。
…のはずなのに。
僕の胸には、不思議なほどの納得感と、恐ろしいほどの恍惚が広がっていた。
山本さんの圧倒的な知性と、底知れない歪んだ愛に、心が完全に満たされていく。
「死、ですか……」
「そう。クイズでも歴史でも、いろんな人の最期を僕たちは見てきたでしょ? 死ってね、人生っていう舞台で一番輝ける時なんだよ。 誰にも邪魔されず、その人の物語が一番純粋な形で、永遠に固定される瞬間なんだ」
山本さんの笑顔は少しも崩れない。
むしろ、難解な問題の正解を導き出したときのように、生き生きとしていた。
「生きていたら、またいつか周りのせいで、すれ違って、壊れちゃうかもしれない。でも、いま、一番綺麗に想い合っているこの瞬間にすべてを終わらせれば、乾は永遠に僕だけのものだし、僕たちを誰も壊せなくなる。乾も、僕だけに閉じ込められたいでしょ?」
山本さんの言葉は、過冷却だった僕の心に、最後の決定的な衝撃として完璧に突き刺さった。
僕は自分の意志で、山本さんの底なしの執着という名の深海に溺れていくことを選んだ。
「……山本さんがそこまで言うなら、僕に拒否権なんてないです。あなたの手で、僕を終わらせてください。あなたのものとして」
僕もまた、静かに微笑んだ。
山本さんの狂気に、自分のすべてを委ねる。
これこそが、僕がずっと求めていた本当の救いだったのだ。
「ふふ、ありがとう、乾。やっぱり乾は、僕の最高のパートナーだね。誰にも渡さないよ」
山本さんは嬉そうに微笑むと、持っていたトートバッグの中から、透明な液体の入った二つの小さな薬瓶を取り出した。
まるで、最初から僕がこの答えを選ぶことを確信し、この瞬間のために用意されていたかのように。
僕たちは並んで、誰もいないオフィスの冷たい床に腰掛けた。そして、互いの片手を強く、骨がきしむほどに、お互いの存在を確かめ合うように握りしめ合った。
もう片方の手で、同時にその冷たい瓶を口に含む。
ひどく苦い液体の感覚が喉を通り過ぎたあと、僕たちの意識の輪郭は、ゆっくりと、しかし確実に溶けていった。
「あ、乾。……ちょっと寒くなってきたね」
「僕もです。……33.8度、下回っちゃいましたかね」
「そうだね……。でも、乾を永遠に僕だけのものにできたから、僕はすごく幸せだよ……」
視界がゆっくりと暗転していく。
山本さんの狂おしいほどの力で握られた手の温もりだけが、最後に残った世界のすべてだった。
人生という舞台の、一番美しい幕引き。
僕たちの身体は冷たく動かなくなっていくが、山本さんが望み、僕が受け入れたその魂は、永遠に二人だけのものとして、二度と誰にも触れられない、歪で美しい結晶へと姿を変えるだろう。
【参考文献】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcrsj/56/5/56_319/_pdf
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/science/quest/research/post-17.php
https://rdc.mayekawa.co.jp/column/02-19.shtml
はい尊い!
やっぱ山本サマはヤンデレが似合いますねグヘヘ(((殴
乾サマの口調があっているのかどうか不安ではありますがまぁいいでしょう\(^o^)/
ばいちゃ!
コメント
15件
うわっ……読んでて背筋が冷たくなったわ(震え) チョコレートのテンパリングと感情の融点を重ねる比喩が天才的すぎる。 33.8℃で溶けるって知識、めっちゃ刺さった。山本さんの「一緒に死の?」って台詞、狂気と優しさが混ざってて鳥肌立ったわ……でも乾さんがそれを受け入れる納得感もあって、歪な美しさがガチで尊かった。心中エンドと聞いてたけど、この終わり方なら納得……いや、納得しちゃいけない気もするけど、でもこの歪なカタルシスは癖になるわ🔥