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キルアと×××のお泊まり
お風呂でGハプニング⁉︎
×××の家でのお泊まり。
キルアはリビングでくつろぎながら、浴室から聞こえるシャワーの音をぼんやり聞いていた。
――そのとき。
「キルアー!!」
悲鳴に近い声。
「っ!?」
反射的に立ち上がって、キルアは浴室へ駆けた。
「どうした!?」
ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは――
シャワーを止め、震えながら固まっている×××。
「で、出た……っ」
「何が」
「G……!」
その一言で、キルアは状況を即理解する。
「は? マジで?」
×××は完全にパニックで、今にも泣きそう。
キルアはそんな様子しか見えていなかった。
「動くな」
そう言って、迷いなく×××を片腕で抱き寄せる。
「ここいろ」
自分の胸の方へ引き寄せて、×××を庇うように立つ。
「ひっ……!」
半べそ状態の×××を支えながら、キルアは視線だけでGの位置を確認し、
素早く退治した。
「……よし」
そう言った瞬間、
腕の中の×××が小さく息を吐く。
「……こわかった……」
その声に、キルアは少しだけ力を緩めた。
「もういねーよ。大丈夫」
――そこで、やっと気づく。
「……あ」
腕の中。
×××はお風呂上がりで、無防備な格好のままだった。
今さら理解が追いついて、
キルアの顔が一気に赤くなる。
「っ……!」
慌てて視線を逸らし、×××からそっと離れる。
「ご、ごめん! いや違、今のはその、心配で……!」
「……う、うん……」
×××も状況を理解して、顔が真っ赤。
「と、とりあえず! 早く出て! 服着て!」
そう言って、キルアは背を向けて浴室から逃げるように出ていった。
⸻
リビングで待つ間。
(……細かった……)
(……いや何考えてんだ俺)
(……冷えてて、柔らか……いや違う違う!!)
一人でぐるぐる思い出してしまい、
キルアは完全に赤面して頭を抱える。
(最悪……!)
そこへ、着替え終えた×××が出てくる。
「……キルア」
「……ごめん!!」
即座に謝る。
「見たとか、そういうつもりじゃなくて! ほんとに心配で……!」
×××は一瞬きょとんとして、
それから、少しだけ笑った。
「知ってる」
「……え」
「キルア、Gのことしか見てなかったでしょ」
そう言って、照れたように視線を逸らす。
「……でも」
少しだけ、意地悪な笑顔。
「後から赤くなってるのは、分かりやすかった」
「っ……!」
キルアは顔を覆う。
「言うな……」
×××は小さく笑って、そっと距離を詰める。
「……助けてくれて、ありがとう」
その一言に、キルアは観念したように息を吐いた。
「……もうG出ても、俺呼ぶな」
「なんで?」
「心臓に悪い」
そう言いながら、頭を軽く撫でる。
「でも……まぁ」
小さく付け足す。
「守れてよかった」
二人ともまだ赤い顔のまま、
その夜はいつもより少し静かに、でも近い距離で過ごした。
夜。
部屋の電気は落として、間接照明だけがついている。
ソファに並んで座っているはずなのに、
キルアはどこか落ち着かない。
(……見るな、俺)
そう思うほど、視線が勝手に×××を追ってしまう。
×××が少し身じろぎするだけで、
さっきの出来事が脳内で勝手に再生される。
(やめろ……!)
キルアはわざと天井を見つめる。
「……キルア」
「ん?」
呼ばれて、反射的にそっちを見る。
「……!」
一瞬で目を逸らした。
「……なに、今の」
「いや、なんでもない」
声が若干早い。
×××は不思議そうに首を傾げて、
少し距離を詰めてくる。
それだけで。
「……っ」
キルアの思考が一斉に停止する。
(近い近い近い)
「……キルア、変じゃない?」
「変じゃねーし」
即否定。
でも目は合わない。
×××は数秒じっと見つめてから、
何かを察したように、ぱっと顔を赤くした。
「……もしかして」
「違う」
被せ気味。
「絶対違う」
「……忘れてよ」
×××は小さな声で、照れながら言う。
「さっきのこと……」
「忘れられるかよ……」
思わず本音が漏れて、
キルアははっとして口を押さえる。
「……あ」
沈黙。
×××は耳まで真っ赤になって、
でも怒るでもなく、ちょっと困った顔。
「……意識しすぎ」
「誰のせいだと思ってんだ」
そう言いながらも、声は低くて柔らかい。
キルアは少し間を置いて、そっと距離を詰める。
でも触れない。触れないギリギリ。
「……安心しろ」
小さく囁く。
「変なことは考えてない」
一拍。
「……たぶん」
「たぶんってなに」
「人間だし」
×××は思わず吹き出して、
それから小さく笑う。
「もう……」
そう言って、肩が軽く触れる距離まで近づく。
「じゃあ、忘れるまで見ないで」
「それは無理」
即答。
「だって好きなやつだし」
その一言で、×××は完全に黙ってしまった。
静かな夜。
二人とも照れたまま、同じ方向を見つめる。
近いのに、触れない。
でも、離れもしない。
キルアは小さく息を吐いて、心の中で思った。
(……今日はもう、これ以上近づくな俺)
そう決めたのに、
腕は自然と×××のすぐそばにあった。
部屋は静かで、時計の音だけがやけに大きく聞こえる。
×××もキルアも、さっきから同じ体勢のまま。
近いのに、どこか不自然。
(……意識しすぎだろ、俺)
キルアは軽く咳払いして、わざと普段みたいな口調に戻そうとする。
「……しかしさ」
「な、なに……?」
×××がこっちを見るだけで、また心臓が跳ねる。
「思ったより細かったな」
ぽろっと出た言葉。
言った瞬間、
キルアは(やべ)って顔をするけど、引き返せない。
「抱き上げたときさ。軽くてびっくりした」
からかうように言ったつもりなのに、
声が少しだけぎこちない。
「……っ!」
×××は一気に顔を赤くする。
「わ、忘れてって言ったのに……!」
「忘れるとか無理だろ」
キルアは肩をすくめて、視線を逸らす。
「急に悲鳴あげるし、震えてるし」
少し間を置いて、ぼそっと。
「守る側としては、印象強すぎ」
「……からかわないで……」
「からかってる」
即答。
「じゃないと俺の方が恥ずい」
×××は一瞬驚いた顔をして、
それから小さく笑った。
「……キルアも、意識してるじゃん」
「……してねーし」
「してる」
即ツッコミ。
そのやり取りに、二人とも黙る。
沈黙。
でも、嫌じゃない。
キルアは少しだけ距離を詰めて、
触れないギリギリで止まる。
「……悪かった」
小さく、珍しく素直に。
「でも、無事でよかった」
×××は照れたまま、うつむいて答える。
「……助けてくれたのは、嬉しかった」
その一言で、
キルアの照れは限界を迎える。
「……もう寝る」
「え、急」
「これ以上喋ると余計なこと言う」
そう言って横になるけど、
腕は自然と×××の近くに残ったまま。
お互いに目を閉じても、
意識だけはしっかり相手に向いている。
眠るまで、
たぶんしばらく時間がかかりそうだった。
しばらく沈黙が続いたあと、
キルアは先に目を閉じた……はずだった。
「……なぁ」
低くて、眠そうな声。
「なに……?」
×××も目を閉じたまま答える。
一拍置いて、
キルアはわざと何でもないみたいに言った。
「さっきさ」
「……」
「細いって言ったけど」
×××の肩が、ぴくっと揺れる。
「……?」
キルアは口元だけで笑う。
「意外と抱き心地よかった」
「っ……!!」
一瞬で×××の顔が熱くなるのが、暗闇でも分かる。
「ちょ……! それ言わないって……!」
「言う」
即答。
でも声は、少しだけ小さい。
「忘れろって言われたから、逆に印象残った」
「……意地悪……」
「今さら」
そう言い切ってから、ほんの少しだけ声を落とす。
「……でも安心しろ」
「なに……」
「今日は思い出すだけ」
余裕ぶった一言なのに、
キルア自身の心臓も全然落ち着いていない。
「おやすみ」
そう言って、今度こそ目を閉じる。
×××は何も言えず、
布団の中でぎゅっと手を握った。
静かな夜。
二人とも、絶対すぐには眠れない。
——けど、それでいい夜だった。
to be continued….