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お嬢さんお待たせしました!
リクエストのkmtrです!
kmn×tr 不本意なプロポーズ
視点主→『』
その他→「」
キャラ崩壊注意
「タラんちゃ〜」
小峰の声に振り返った瞬間、銀色にきらっと光る小さな何かが飛んできた。
慌てて手を伸ばし、それをキャッチする。
『……なにこれ。指輪?』
手のひらに落ち着いたのは、装飾ひとつない、ごく普通のシルバーリングだった。
「そそ。それ持っててくれん?」
『……持ってるけど』
「そーゆー持ち方じゃなくてさ。なんていうか、つまむ感じで持っててほしい」
『はぁ……?』
また訳のわからないことを言い出した小峰に、思わず怪訝な目を向ける。
親指と人差し指で挟むように持てという細かすぎる指示に「?」を浮かべながらも、言われた通りに指輪をつまんで待機した。
すると、小峰がその指輪に自分の薬指をずいっとはめ込んできた。
「よっしゃ、タラんちゃから指輪はめてもらった〜♪」
『はい?』
人に持たせた指輪を自分で勝手にはめるという理解不能な行動に、ただただ困惑する。
「あ、タラんちゃにはこれやるよ。手ぇ出して」
いつの間にか、小峰の手にはもうひとつのシルバーリングが握られていた。
反応する間もなく手を引っ張られ、薬指にそのまま無理矢理はめられる。
『は? なんやこれ』
「タラんちゃがはめてくれたこの指輪とペアの指輪」
『いや、はめたも何も、お前が自分で突っ込んできただけやろ』
「でもタラんちゃがはめてくれたことには変わりなくない?」
……ダメだ。この男、話が通じない。
どうしたものかと頭を抱えていると、小峰が突然ケラケラと笑い出した。
「指輪には文句言うくせにさ、お前、薬指につけられてるとかペアリングしてるとか、そこは何も言わねーの? w」
『…あ、え?』
─────────
タラんちゃは、なぜか周りに恋人だとバレるのが嫌らしい。
外で手をつないだり、イチャイチャするのも禁止。
そんな感じだからペアリングなんてずっと断固拒否されてたんだけど。
勢いで押せば、案外なんとかなるもんだな。
「なに付けてくれとんねん! 外すぞ!」
『だーめ♡ せっかくなんだし、付けてくれても良くない?』
「いやだわ! なんでこんなイチャイチャカップルみたいなことする必要があるんよ…」
『俺はタラちゃんとイチャつきたいんだけどな〜』
そう言って、自分の柄でもない甘え方で上目遣いに擦り寄る。
ちなみにタラちゃんは俺の顔に弱い。
だから、この戦法はめちゃくちゃ効く。
「グッ……」
『俺、他のカップル見ると羨ましいな〜って思っちゃうんだよねぇ。…少しは見せつけても良いんじゃない?』
「……っだーっもう、わーった、わーった! コレだけやからな! これ以上は無しだぞ!」
結果はタラちゃんの根負け。
やっぱこいつ、俺の顔に弱ぇ。
嬉しさが抑えきれず、指輪をはめた手をそのまま恋人繋ぎでぎゅっと握る。
その瞬間、タラちゃんが顔を真っ赤にして慌てて手を振りほどこうとしてくる。
「離せっ……!恥ずかしいんやって!」
あまりにも可愛いから、俺はつい握る指に力が入る。
『え〜いいじゃん、似合ってるよ?』
「似合うとか似合わんとか知るか!外す!!」
そう叫びながら、タラちゃんは薬指の指輪を外そうするが…
「…ん?取れん……?」
『あ。気づいた?』
「…は?」
指輪を摘んで引っ張るタラちゃんの眉間に皺が寄る。
けどリングは微動だにしない。
『それさ、タラちゃんが絶対抜けないサイズで買ったの♡』
「おま………………ッッ!! お前ッ、最ッ低やろ!!」
真っ赤になって俺の胸ぐら掴んでくるタラちゃん。
『え〜だってタラちゃん絶対外すじゃん? なら外せないほうが良くない?』
「良くないわ! なんで恋人の指輪をロック機能つきみたいにしとんねん!」
『でも似合ってるよ?めっちゃ。 ほら、ほっそい指にちょうどいい感じで』
「褒めても誤魔化されへんからな!? え、ほんまに抜けん…どうしよ……」
パニックになるタラちゃんの手を、俺はそっと包む。
『大丈夫大丈夫。むくみもないし、痛くないでしょ? そのうち慣れるって』
「慣れるとかの問題ちがうわ!俺の人権どこ行った!?」
『タラちゃんの人権は俺が預かってるから安心して?』
「預けた覚え無いんだが!?!?!?」
完全に真っ赤になった横顔を見て、俺は思う。
……やっぱこいつ、俺のことめっちゃ好きなんじゃん。
リクエスト貰った日から間開けてしまって申し訳ないです…!