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「……今夜は、まだ時間があるだろうか?」
「ええ、時間でしたら……」
カウンターから見えるガラス窓の外に目を移すと、辺りは日が落ちてもう暗くなってきていた。
「そうか……」
頷いて、ショートカクテルの一杯をぐっと飲み干すと、
「……ならもしよければ、ホテルで部屋を取って、飲んでくれないか? 他に人がいる場では、あまりうまく話せそうにもないから」
彼はそう言って、私をじっと見つめた。
そんなにも言いにくいことだなんて、やっぱりこちらの気持ちに気づいていて、断りを入れようとしてるんじゃないのかなと勘ぐった。
それならしっかりと言ってもらった方が、自分も諦めがつくだろうし、今ここで聞いておいた方がいいだろうと、
「……わかりました」
と、心を決めた──。