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# 感想 今回の実験シーン、めっちゃワクワクしながら読んだよ〜!魔石くずのエネルギー抽出と連鎖反応の検証、現実の研究みたいでかっこよかったし、途中で「やめとくか?」って迷う幹也の感じがリアルだった😂 彩花との掛け合いも可愛くて、特に「誰に向かってしゃべってるわけ?」のツッコミがツボでした。最後の買い物&料理デートもイチャイチャしてて最高…!主夫モードの幹也、尊い🥺💕 実験の成果をレポートにまとめる真面目さと、日常の甘さのバランスが絶妙でした!
さっそく、ゼミの中で比較的片付いていると思われる一角を発見し、魔石の山……小さめのコンテナ一杯に詰め込まれている魔石を発見する。これが全部魔石くずかな……?
とりあえず二、三個手に取って、机の上に並べておく。本物の魔石と違って隅っこにちょこっとばかり残っている魔石の色の量からして、使っている途中、というイメージがあるので、魔石くずで間違いんだろうな。
「これをちょっと拝借するか。とりあえずスマホで撮影して……エネルギーの消費量はちょっと多めにして、魔石くずの中でも小さい奴……多分この大きさからしてスライムの奴だろう。これなら勝手に使っても、撮影という記録を取る以上学生の自主活動として目を伏せておいてくれるはずだ」
「誰に向かってしゃべってるわけ? 」
「こういう記録映像には事前にレクチャーや事前文や雑談が入ってるもんだ。というわけで今から行う実験の説明をします。やってみたいことは、エネルギーボルトの付加により活性化した魔石くずの近くに、エネルギーボルトの直接付加を行っていない魔石くずを置いてみて、反応が連鎖するか、という簡単な議題です。ですが、これを確かめないでおくのは少々問題が発生します。いざ、魔石くず発電が開始された時に、魔石くずに連鎖反応が起きなかった場合、一つ一つの魔石くずにエネルギーボルトを仕掛ける必要が出てくるので、その分だけ人件費と手間がかかる、という点です。これが大きな魔石相手ならまだ解るでしょうが、スライムの魔石などの小さい魔石でこの現象が発生してくれないと、発電コストよりも人的コストのほうが上回ってろくな結果をもたらさないだろうという懸念からです。では、早速始めたいと思います」
ぱちぱちぱち……と撮影役の彩花の手拍子が入る。
「まず、私の手の中に魔石くずとしてスターターの魔石くずを用意します。これにエネルギーボルトをかけると、ここまでの実験で判明しているように、魔石くずの中の残ったエネルギーを抽出して更に電力を絞り出すことができます。では、実験を開始しましょう……って、どうすればいいんだ?俺が右手からエネルギーボルトを発射するから後から乗せてもらえればいいとかそんな感じになるのか? 」
「そこまで考えてはいなかったのね。じゃあ、エネルギーボルトを使って魔石の中のエネルギーを吸い出し始めたら合図してもらって、その時に私が手のひらに乗せればいいのかしら? 」
「とりあえずそれで実験してみるか。このやり方ではうまくいかなかったとしても、うまくいかなかったという結果が残ってくれるから次回別のやり方を試せる。失敗を積み重ねて成功まで持っていくのが目的なんだから今回のこの実験は立派に失敗してもいい実験だとも言える。本来なら自己保持回路の稼働中に燃料としてさらに追加したものが無事に働くかどうかを試す方がより確実なんだろうが……うん、そのほうが確実に合理的で経済的な実験になるような気がしてきた。やめとくか? ここまでお膳立てして貰ておいてなんだが、この実験必要あるのかどうか悩ましくなってきたな」
うーん、しかし、これで片手に乗せてもらってもしこっちの魔石くずが発動しなかった場合、自己保持回路に組み込まれた状態でも同様に現象として発電中の魔石くずに追随して他の魔石くずも発電を開始するなら、多分自己保持回路でも同様の現象が起きるんじゃないか、と見込みを立てることができるからやっぱり必要な実験と言えるんじゃないだろうか。
「……よし、やるだけやってみよう。もしこれで魔石くずが連動しなかったら、自己保持回路に魔石を組み込んでも連動しない可能性も出てくるはずだ、それが行われる可能性が小さくなるための実験ということにしよう」
「何事も積み重ねってことね。じゃあとりあえず屋外に出て、危険のないところでやりましょう」
スマホのカメラを回したまま移動していく。とりあえず三粒の誘導用魔石くずと、一粒のスターター魔石くずをそれぞれ俺と彩花で握り合って、ゼミの裏庭の何故か焦げた跡のある芝生のところまで来る。
「では、まずエネルギーボルトを使って、誘導電流のように魔石くずからのエネルギーを誘発させます」
よわよわエネルギーボルトを放って、魔石くずからのエネルギーを取り出す段階まで進める。しばらくすると、体からエネルギー的な何かが抜けていく感覚が外れ、そのままエネルギーを使い続ける状態になる。これで魔石くずからのエネルギーを消費している状態になった。
「はい、ぱっと見ではわからないかもしれないけど、今俺の体を通して放たれるエネルギーボルトではなく、魔石くずからエネルギーボルト用の魔石内エネルギーが吸い出されている状態になっています。この状態で新しく、エネルギーボルトを使っていない状態の俺と、それからまだエネルギーボルトによる誘導電流をかけていない状態の魔石を置いてもらって、その魔石が感化されて同じように発動していくか、という実験の本題に入ります」
彩花がカメラから離れて、俺の手のひらに魔石が数個置かれていく。すると、魔石から放出されるエネルギーボルトの量が上昇し、俺自身には何の反応もないまま空中へどんどんエネルギーが撃ち放たれていく。
カメラはその様子をきちんと録画し、最後にエネルギーが使い切られ、魔石くずが本当のくずになるまでエネルギーを吸い出した後、エネルギーボルトが止まり、何もでなくなった。最後に、手のひらの上の魔石をカメラに接写させて、中身が綺麗に抜けてガラス細工のようになった魔石を映して終了となる。
「ふぅ、こんなものだろう。暇つぶしとはいえ、ちゃんと動いているところが見られたのは成果かな。これで自主勉強でこんな実験やってました、と映像で残すことと、映像の内容についてレポートをまとめればいい感じかな。そのころには戻ってくるだろうし、早速実験の結果をまとめよう」
◇◆◇◆◇◆◇
彩花と一緒にレポートをまとめていると、朝日奈が先に戻ってきた。
「あれ、先生は? 小さくて見えないとかじゃなくて本当に先生どこ置いてきたんだ」
「講義時間をオーバーするから先に帰れ、だってさ。僕この後別の講義があるから付き添えなかったんだよね」
「なるほど、そこまで気を使って先に向かわせてくれるなんて先生にしては気づかいが出来てるな」
「僕としては講義をサボってでも一緒にいたかったんだけどね。『私のわがままを突きとおした責任で今君はここにいるんだから、最後まで付き合う必要はない、だから先に戻って次の講義にそなえたまえ』といわれてね。そこまで言われたら講義をすっぽかすわけにはいかないからね。二人はその間何してたんだい? 」
「時間がないだろうから手短に済ませるが、ちょっとした実験をやっていた。レポートはこれ。本編の内容は動画にして保存してあるので、次回までには先生に確認してもらって自主勉強させてもらいました、と結果を提出しておくことにする。俺と彩花は次の講義が無いから、もう少しこの自主勉強課題について話し合う時間も暇もある。朝日奈は次の講義サボるなよ」
「わかっているよ。先生との約束だからね。じゃあまたね」
そういうと、朝日奈らしからぬ素直さでゼミを出ていった。あいつにも何かしら考える所があるんだろう。それに先生の言うことを素直に聞くというのもゼミの民忠を上げる行為に等しい。それでいいのだろう。
さて……レポートの体裁と内容、それと付加する動画と動画の紹介、各秒数でやっていること、それぞれの課題とその課題に対する結果についてはよし、と。後はやってくことはあるかな。
「なんか後はあるか? 付加するべき内容とかこれは書いておくべきだとかそういうの」
「うーん……エネルギーボルト使用者しての実感、とか感想みたいなものはあってもいいかもしれないわね。途中から魔石置き場にされたような気がして微妙な気持ちだったとか。後は、幹也から私に手で持つ役が変更されても同様にエネルギーボルトが撃ち続けられていたかどうか、何てのも調べるべきだったかもしれないわね」
「なるほど、それは確かに。次回暇なときにそれは研究するか、そこが気になったなら先生も気にし始めるだろうからな。それまでは置いておくか。今日はさすがに今から実験してレポートまとめて……というのは過重労働になる。まだ一回生の生徒の残業なんて許すとは思えないから、今日の自主実験のレポートがここに提出されています、とメモ書きをはさんで帰ることにしよう」
大泉先生のパソコンの机の上に……机の上はコーヒーをこぼした跡で一杯だ。よくこの汚さで平気で使っていられるなと思うがそこはいい、本題は今日俺と彩花が遊んでいたわけじゃないんだぞ、という証拠だ。
その成果物のサーバー内のアドレスを記述した付箋紙をモニタの横に貼り付けておくと、彩花の腰に手を当ててそのまま研究室を後にする。
「さて……今から何するか、ナニするか、それとも軽くダンジョンにでも潜ってその後夕食にするか。色々選べるのは悪くないな」
「幹也としてはどれがいいわけ? 夕食を一緒に取るのは魅力的ね。自炊にしても費用が浮くし、食べに行くにしても少なくとも二種類は楽しめるわ」
「そうだな……近くのスーパーに行って安いものを探して、それをメインに献立を立てる、というのが魅力的だな。今は何が安いんだろう……と」
スマホで近所のスーパーの値引き品セールの広告を見る。近所のスーパーは平成初期の古びたたたずまいなの割に、こういうところは近代化している。広告費を節約してその分品物の値段を下げて安く流通させることを目的にしているらしい。
「お、ジャガイモと人参が安い。これは何にでも使えるな。カレーでもシチューでも肉じゃがでもいいし、ゴマ和えで和風にしてきんぴらにもできる。これは料理の方向性は決まりだな。あとは……玉ねぎはそんなに安そうじゃないから、きんぴらの路線のほうが良さそうだ。それ以外は何が安いかなっと」
主夫モードに入り始めた俺を追いかけるようについてくる彩花と一緒に買い物へ行って、結局ジャガイモと人参のきんぴらを作って、二人で食べてイチャついて、門限を破る前に寮に戻らせた。ちょっと時間的に危なかったが間に合ったと報告は聞いたのでまあよしとしておこう。