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藤澤サイド
隣の元貴を見ると、僕の胸に顔を埋め、静かに深呼吸をしていた。
纏う雰囲気が、悲しくて苦しそうなものに変わっている。
励ましたい。
ボロボロになってしまった元貴を、なんとかして励ましたかった。
「元貴、…あの、さ」
「ん、…」
「お散歩、いかない、?」
できるだけ優しく、元貴に問いかけた。
元貴の目はまだ潤んでいて。
黒目が静かに揺れている。
「いやなら、いいけど、」
「んん、行くっ、」
元貴は僕の服の裾を引っ張る。
その行動は、可愛がってもらおうとする猫の行動によく似ていた。
元貴は僕の手をぎゅっと握る。
二人で外に出てゆっくり歩く。
家の周りはまばらに人が通っていたけれど、元貴の顔色はだんだん明るくなっていった。
纏う雰囲気も明るくなる。
よかった、と思う。
「ぁ、…犬…」
「わぁ、チワワだね、可愛いねぇ」
「ぁ、蝶々、…」
「なんの蝶々かなぁ、綺麗だね」
他愛もない話をしながら、手を繋いで歩く。
誰かの家に咲いている綺麗な花。
目の前を飛んだ小さな蝶々。
お爺さんが散歩させている可愛いチワワ。
密かに立つ、パスタが美味しそうなカフェ。
綿菓子みたいで美味しそうな大きい雲。
塀の上で寄り添って寝ている二匹の猫。
小さいけれど、元貴とみつけた、沢山の景色。
お互いに「綺麗」「可愛い」と言い合いながら歩く。
穏やかで、幸せで、暖かい、時間。
でも、その時は突然終わりを告げる。
「ん、元貴と、涼ちゃんじゃん、」
後ろから声を掛けてきたのは、他でもない、
若井滉斗だった。
♡&💬よろしくお願いします
コメント
6件
ほんとにまだあったのか嬉しいゾ クズ井さん
うぁ〜ッ遂に出会ってしまった…!! クズ井さんに邪魔して欲しくない微笑ましい雰囲気だけど、、邪魔してぐちゃぐちゃにして欲しい願望が…(( 最高すぎていいねめっちゃ押しちゃった☆
クズ井と出会ってしまぁっったぁぁぁ⤴︎ ⤴︎これからどうなるのか…。二人でお散歩かわいいね🫠