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「やっ……」
「あなたが私をそう見ているのなら、望み通りに振る舞ってあげましょうか?」
肩をつかむ手の力がぐっと強まり、押さえ付けられた身体は動かすことさえままならなくなる。
「……人を悪魔のようだとは……そんなことが、よくも……」
ギリッと肌に爪が突き立てられ、深く食い込んだ。
「痛っ……」
「痛みくらい、我慢しなさい」
冷たく切れ上がる眼差しを、私へじっと合わせると、
「わからせてあげますから……私があなたの言うようであるなら、どうあなたを魅了し、どうやって落とすのか……。そうして誘惑に堕ちればいいんです……」
本物の悪魔さながらの冷酷さで、そう言い放った──。
「君にはもう、拒めない……」
座っているソファーに、ゆっくりと背中が倒される。
「……私に、抱かれたいですよね?」
彼が目の前でメガネを外すと、艶めいて妖しく輝く、美しいまでの瞳がそこにあった。
「私を拒む気持ちなど、捨ててしまいなさい」
首筋にひたりと唇が触れると、「あっ…」と、声が漏れた。
「……あなたをその気にさせることなど、たやすいのですよ……」
首筋から耳へと這い上がった唇が、
「……今宵、君は、私の虜になるのです……」
薄い笑いとともに、密やかに告げた──。