『1番のプレゼント』
※パクリ禁止
※緑黄
※下手っぴ注意報
※クリスマス
眩しいネオンに舞う、白い欠片。
この時期、『クリスマス』と言うだけで、街中は家族やカップルで騒がしくなる。
今日は特段冷える日だった。
時刻は既に8時過ぎ。
🍵(こさめちゃんの買い物に付き合うと、毎回帰り遅くなるんだよなぁ
ほんのり雪が降り積る歩道橋を渡りながら、彼からさっき来たメッセージを確認する。
🦈[今日は買い物付き合ってくれてありがとん♡]
🦈[今日クレーンゲームで取ったぬいぐるみと一緒に、後で自撮り送って]
とんでもない内容のお願い。
当然、承諾する訳もなく、
🍵[嫌だ]
🍵[もしするなら、こさめちゃんだけやって]
そう返信すれば、返ってきたのは、
[なんでやねん!]
の一言。
🍵 …ふふっ 笑
思わず笑ってしまう。
雪も少し強くなってきた。
急いで帰ろうと、家へと向かう足を早めた。
すべきことを一通り終わらせた、23時過ぎ。
あとは課題をするだけというところで、突然インターホンが鳴った。
🍵(…? 誰だろ…。
カメラの画面を確認したが、そこには誰もいないようだった。
🍵 …いたずら?
🍵(念の為、外も確認しておこう…
玄関へ向かい、ドアを開ける。
🍵 …え、
👑 ハッピー・メリークリスマス!
目の前にいたのは、赤い帽子に、赤い服。
所々に、白いふわふわが付いている。
所謂、『サンタクロースの服』というところだろうか。
今日って、ハロウィンだっけ…
考える時間も必要なく、すぐにドアを閉める。
👑 ええっ!? なんで閉めるん!?
1枚扉の向こうから聞こえる、驚いた不審者の声。
これ、警察に言った方がいいやつ…?
電話アプリを起動させたスマホを片手に、そんなことを考える。
👑 ねぇ、開けてや〜
👑 プレゼントを届けに来ただけやって〜!
そんなことを言われて、すぐに納得なんてできない。
🍵 …誰ですか?
👑 サンタよ!
…やっぱり、やばい人かも。
てか、今日まだ24日だし…。
🍵 あのっ、今すぐ帰ってください!
🍵 じゃないと、警察呼びますよ!
👑 …へ、?
👑 …分かった、、
軽い脅し文言を投げ付けると、
1つの返事と、少しの物音を残して、
再び辺りは静寂に包まれた。
🍵(…行った?
ドアスコープから、外の様子を伺う。
ドアの前には、もう誰も立っていなかった。
🍵 …はぁ〜
🍵(なんだったんだ…
🍵(今日はドアチェーン付けて寝よ…
翌日。
玄関を開けると、ドアが何かに突っかかった。
🍵 …え、
そこにあったのは、可愛らしいラッピングが施されたクッキーと、1枚のメッセージカードだった。
“ 昨日はごめんなさい。
これ、お詫びです!
体、壊さないようにね!”
🍵(これ、昨日の人…?
辺りを見回したが、もちろんあの格好をした人はいない。
🍵(え、てかこれ…
🍵(貰った方がいい感じ?
あの人のことは疑っていない、と言ったら嘘になるが、
このまま放置するのもなんだか気が引けるから、
とりあえず、玄関の棚に置いて、学校へ向かった。
終業式の今日、学校は午前中で終わった。
こさめちゃんと並んで歩く帰り道。
🦈 今日クリスマスか〜…
🍵 そうだね
🦈 今年もクリぼっちかぁ…
🦈 彼女欲しいなぁ…
🍵 それ、去年も言ってた
🦈 彼女が出来んのやもん
🍵 そりゃあ、男子校だしね
🦈 近くの女子校から出会いがあっても良くない?
🍵 夢見過ぎだよ 笑
🦈 …これだからモテる男は
🍵 俺、別にモテないし
他愛のない話をしていると、分かれ道の横断歩道に辿り着いた。
🦈 んじゃ、こさめこっちだから
🍵 またね
🦈 冬休みどっか遊び行こうね!
🍵 はーい 笑
軽い言葉を交わした後、背を向け歩き出したこさめちゃんを見送って、家へ向かう。
🍵 …なんで、
22時過ぎ
昨日より早い時間
窓の外から聞こえる物音が気になって、カーテンを開けると、
偽のサンタがいた。
👑 …こんばんは
🍵 …昨日から、何の用ですか
🍵 いい加減、不法侵入で警察に電話しますよ?
👑 …すちくん、
…は、?
なんでこの人、俺の名前…
👑 良かったら、一緒に来ない?
ベランダの手すりに腰掛けて、
微笑みを浮かべながら、
一体何をするかと思ったら、
そのまま体を後ろへと倒した。
🍵 …っ、ちょっと!
目の前で人が死にそうになっている。
反射的に手を伸ばして、彼の手を掴もうとした。
けど、1歩遅かった。
手が届く前に、彼の姿が目の前から消えてしまった。
🍵 …っ、
人が落ちて死ぬ音を聞くのが怖くて、思わず耳を塞ぎ、目を瞑る。
けど、暫くしても、大きな音は聞こえなかった。
🍵 …、?
ゆっくりと目を開けると、目の前には
🍵 …は?
👑 …すごいでしょ?
絨毯に乗って、宙に浮かんでいる、あの人の姿があった。
🍵 …は、え、?
意味が分からない。
浮いてる?
どうなってるの?
👑 乗る?
🍵 …嫌ですよ
🍵 落ちたら怖いし
👑 落ちないから、大丈夫だよー
👑 ほらっ!
そう言って、思いっきり手を引っ張られる。
🍵 …っ、まっ、!
*…*ふわっ
🍵 …っ、
今までに感じたことの無い感覚。
ほんとに、浮いてるんだ…。
👑 どう? 怖くないでしょ?
🍵 …まぁ、慣れれば
👑 良かったー
👑 …じゃあ、行こっか
🍵 え? どこに?
👑 みんなのところ!
絨毯に乗って、街の夜空を散歩する。
12月も下旬。
雪も降ってるし、風もあるから、制服のままでは少し寒い。
悴んだ手に息を吐けば、それは白く空中へと消えていく。
今夜も冷えそうだった。
🍵 …何ですか?
さっきから、横に視線を感じると思い、視線の元に尋ねる。
👑 あ、ううん…
彼は曖昧に返事を返した。
まじまじと見れば、偽のサンタは同い年ぐらいの身長と見た目だった。
このくらいの年齢って、
サンタを信じてる人と、
信じてない人の両方がいそうだけど。
🍵 …サンタって、誰からプレゼント貰うんですか?
👑 俺達もサンタから貰うんよ
🍵 サンタなのに?
👑 …俺にとってのサンタはすちくんなの! //
🍵 え?
🍵 俺、何もあげてないですけど
👑 いいの…!/
👑 一緒に入れるだけで、十分なプレゼント!//
🍵 へぇ…?
👑 …着いた
🍵 …ここは?
着いたのは、1軒の家の前だった。
👑 ここの家の子にプレゼンを渡しに行くんよ。
🍵 …へぇ
🍵 プレゼント、どこにあるんです?
👑 あ、えっと…
👑 …この中、!
彼が指さしたのは、ポケットの中から出した、小さな巾着袋だった。
🍵 えっ、そんな小さい中?
👑 …うん、!
👑 俺、行ってくるから!
焦ったように立ち上がり、そのまま玄関まで歩いていく。
🍵(ドア、開いてないけど…
🍵(…!
次の瞬間、彼は吸い込まれるように、玄関を通り抜けて行った。
🍵(すご…
サンタって、こんなもん…?
てか、よくよく考えたら、
サンタって、インターホンとか
鳴らなさいよね。
あの後、何軒かの家を回って、そのまま家へ帰った。
🍵 …ふぅ
👑 ごめんね、付き合わせちゃって
🍵 いや、大丈夫、です…
玄関の時計を見ると、時刻は既に、日を跨いで1時半を過ぎていた。
👑 …あのっ、
👑 これっ、!
差し出されたのは、小さなプレゼントボックスだった。
🍵 …?
🍵 何ですか?
👑 プレゼント…
👑 あげる…!
🍵 え、俺にですか?
👑 うん
🍵 …ありがとうございます
差し出されたプレゼントボックスを受け取り、リボンを解こうとする。
🍵 中、何が入ってるんですか?
🍵 開けていいですか?
👑 ダッ、ダメ!
👑 まだダメ!
でも、全力で止められた。
🍵 まだ?
👑 …家、入って、明日以降、
👑 ほんとうに欲しいものができた時に開けて
🍵 分かりました…
👑 …じゃあ、さよなら
🍵 あ、はい…
🍵 …さようなら
気のせいかな。
『さようなら』の言葉が、
悲しかったのは。
まだ、この人と一緒にいたいと
思ってしまったのは。
サンタと別れて、玄関の鍵を閉める。
片手に収まるくらいの小ささの、
プレゼントボックス。
…本当に、欲しいものが手に入るなら
🍵 ……
心を決めて、赤色のリボンをゆっくりと引っ張る。
👑 …っ、わぁ!?
🍵 わっ!
白い光に包まれたかと思えば、
ボックスの中から、
会いたかった人が出てきた。
🍵 …あ、
👑 …痛った〜っ
当の本人は、勢いよく尻もちをついたらしく、痛そうに顔を顰めている。
🍵(…ほんとに、手に入るんだ
もう一度、手元のプレゼントボックスに目を向ける。
👑 …あれ、俺なんでここに!?
🍵 俺が呼んだ
👑 …へ?
状況が未だに理解できないと言った顔つきの彼。
そんな彼に、顔を近づける。
👑 …え、//
大きな瞳と、ほんのり紅潮した頬と、
🍵 ねぇ、サンタさん
👑 え?
🍵 …俺、サンタさんとお友達になりたいな
👑 あ、、ぇ…?
じっと見つめていれば、すぐに目を逸らす。
今はまだ、友達から。
いつか、君にとっての1番のプレゼントが、俺になるように。
1年後も、5年後でも、
この日を楽しみにしてるからね、
🍵 …おかえり 笑
👑 …ただいま、?
アラ〇ン入れちゃった…。
なんか絨毯って、いいなぁって(?)
最後はもう訳分からん!
てか、季節外れすぎよね。
もうすぐ6月で、12月のお話って…
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