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大森side
「君、僕のところ来る?」
2人揃ってキョトンとする。
「え、えぇ!?お、大森さん今なんて!?」
スタッフの〝木村さん〟と女の子がほぼ同時に勢いよく僕を見る。
「え……あ、いやだから、僕のところ来るかって」
木「えぇ、ちょっ!……大森さん、それ……マジですか!?」
「マジです」
木「えぇ……あぁ…………えーっと……うん…………はい」
木村さんが言葉を失うのはよく分かる。でも、僕は本気だ。それしかないと思ってる。いや、それしかない。
と、誰かに肩を掴まれた。
ひ「元貴……今、なんて言った……?」
若井だ。殴られた腹を痛そうに抑えながら、涼ちゃんの肩に掴まっている。
「え、だから……」
り「その子、元貴が育てるつもり……?」
涼ちゃんが不安そうな顔で話す。
「……うん。もう、決めたことだから」
ひ「なあ……元貴、本気か……!?」
若井が僕の手を強く握った。
り「助けたい気持ちは分かるよ……!!…………でも、でも……」
「……分かってるよ!!!」
分かってるよ……!言われなくてもそんなの……
つい、声を荒げてしまった。
ひ「元貴……!それはっ、それはちゃんとその子に聞いた事なのか!?」
「っ…………!」
そういえば、この子に何も聞いてない。僕の助けたいって気持ちだけの、自己中だ。
2人と目が合った。……と思ったのもつかの間、若井は僕を通り越して、僕の後ろにしゃがんでいる女の子に向かって喋りだした。
ひ「君はどうしたい?」
雨音side
「君はどうしたい?」
若井さんの優しい声が響いた。
どうしたいって……
分からない。
……でも、大森さんに迷惑がかかるなら、絶対嫌だ。
「……大森さんに迷惑がかかるなら、私は嫌です」
ひ「……そっか」
若井さんの目線が大森さんの方に変わる。
ひ「言い方悪いけど、迷惑はかかると思う」
やっぱり……そうだよね。
「じゃあ……」
ひ「でも、元貴の目、本気だった。分かるよね?」
今度は大森さんから私へ目線が向いた。
目は良く見れてないけど、声を荒らげるほど本気だったってことは分かる。
「((・・*)コク」
ひ「ふふ……」
さっきまで大森さんと声を荒げて必死になっていた人とは思えない、優しい微笑みだった。
ひ「木村さんはどう思います?」
木「へっ!?わ、私ですか!?」
私のそばにいてくれたお姉さん、木村さんに話題が移る。
うーん……としばらく唸っていたが、恐る恐る口を開いた。
木「私は……うーん……私がどうこう言えることじゃないんですけど……」
ひ・あ「「( *・ω・))コクコク」」
木「……若井さんと藤澤さんが言うように、子供を育てるということは、ほんとうに大変なことだと思います。」
木村さんが一息つくと、何かを決心したような目付きに変わった。
木「でもさっき、大森さんの意思……?を聞いたんです。やっぱり、若井さんが言う通り、あの言葉は、目は、気持ちは……本物でした!」
木「だから……私は」
「大森さんの意見を尊重したいです!」
木村さんの目も、眩しいほどに輝いていた。
後は……私だけだ。私が、本当にどうしたいか。
遠慮とか、一回考えるよやめよう。
今までの事があって、私は今、どうしたい?
私は……
「……大森さん」
しっかりと息を吸う。
大森さんと目が合った。
「助けてください」