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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

1 - 第1話<薔薇の香りが私を不安にする>

♥

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2023年09月01日

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「ごめん今日も残業なんだ、土日は有佳とゆっくり過ごしたいからさ、仕事を残したくないんだ。でももうすぐ残業しなくていいようにするから、先に寝ていていいからね」


賢也がやさしく微笑みながら片手を挙げてマンションを出ていった。


結婚して2年になる。

異性との交際は賢也が初めてで、それまで何人かには交際を申し込まれる事はあったが尻込みして一歩を踏み出すことが出来ずにいたが、紳士的な賢也には安心して身を任せることができた。


だから初めての人は賢也であり、賢也しか知らない。



その香りに気がついたのは、普段は正体不明になるほど飲むことがない謙也が二ヶ月ほど前にあった会社の飲み会でひどく酔って帰ってきた。

多分その頃から毎週金曜日は残業と言って帰りが深夜になった。

賢也は深夜だろうと必ずシャワーを浴びてからベッドに入ってきたので気付かなかったが、朝、洗濯カゴからこぼれたワイシャツが床に落ちて放置されていた。

何気なく拾い上げて洗濯機に入れようとしたら薔薇の強い香りがした。




男性用の香水では無い香り




会社の誰かから移ったんだろうかと思ったが、これほどの移り香はかなり近付かないとつかない気がした。


それから香りが気になり賢也が帰宅するとそっと近づいて匂いを確認してみたが、あの香りがすることがなかった。


ところが金曜日の深夜に帰って来た賢也がシャワーを浴びている時に、こっそりとワイシャツに手を掛けるとあの強い薔薇の香りが鼻についた。



賢也は金曜日の疑惑以外は優しくて結婚生活に何の支障もないし、側から見れば羨ましい仲良し夫婦に見えるらしい。現に私も賢也に大切にされている実感もあったし自分は幸せだと思っていた。


そして今夜も、金曜日の残業をして帰宅するとすぐにシャワーを浴びてベッドルームに入ってきた。

寝たふりをしている私に小さな声で「おやすみ」と言ってベッドの中に入ってきた。


夜の営みはそれなりにある。

いつも賢也からそれとなく始まるが、そういえば金曜日は無いような気がする。

自分から誘うなんてしたことがないからどうすればいいのかわからないがそれでも、誘わずにはいられなかった。





不安を消して欲しいから




「賢也起きてる?」


「どうしたの、眠れない?」


「うん・・・その・・・したい」


「え?!」

予想以上に驚く賢也に私の邪な気持ちがバレてしまったのかと恥ずかしくなった


「えっと・・・ごめん、残業で疲れていて」


勇気をだしたのに拒否されたことと、自分から誘ったことに急に恥ずかしくなってベッドを出た


「ごめん」


賢也の顔を見ることができない。

「うううん、そうだよね残業してきて疲れているのに。すこしテレビを見てから寝るね」


いたたまれなくて、ベッドルームから逃げるようにリビングに行ってテレビのスイッチを入れた。

クッションを抱きしめながらソファに座って深夜番組を見始めたが、何をやっているのかもわからない。


緊張でカラカラになった喉を潤すためにキッチンに向かう途中、ダイニングテーブルに置き忘れた賢也のスマホにお知らせが届いた。

そこには、今夜も楽しかったね、来週も楽しみと言う言葉が表示されていた。


ワイシャツから香る匂いはまだ不安の域だった。






でも、これは裏切りを示している。




テレビではお笑い芸人がひな壇に座ってトークを繰り広げ、笑いが起きている。

そんな画面をぼんやりと眺める。


賢也はなにも言ってこない。

疲れたことをしてきたから、本当に眠いんだろう。

私がどんな気持ちでいるかなんてわからないのかも知れない。


途中ウトウトと記憶がなかったが気がつくとカーテンから光が漏れ完全に夜が明けたことがわかる。

時計を見ると縦に一直線になっている。


もう中途半端な時間だし、朝食を作ろう

結局、賢也は声を掛けてくれなかった。


それどころか自分はよく眠れたってことだよね・・・


「有佳、おはよう」


「おはよう、食事できてるよ」


「今日もうまそうだね、顔を洗ってくるよ」


休日の朝、賢也はいつものように優しい。


ソファに二人並んで映画を見ていると「これ、有佳が見たかったやつだよね」と言って賢也は肩に腕を回して顔を近づけてきたがそれを避けるように「飲み物を持ってくるね」と言ってソファから立ち上がった。


一瞬驚きの表情をした賢也が「あっ、うん。じゃあコーヒーで」という言葉に「分かった」と答えて逃げるようにキッチンへ向かった。


その後は少し距離をおいて座った。

昨夜のことがしこりのように胸に残っている。


その日の夜「有佳」とささやきながら背後から抱きしめられた。

これが昨日なら良かったのに・・・・




「ごめん、ちょっと」

そう言って書斎に向かった。

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