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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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大広間へ繋がる扉が開かれ、いよいよダンスパーティーが幕を開ける。開扉と同時に列は進み、大広間へ入って奥へ広がった。キャンドルに照らされた広間はロマンチックな雰囲気を醸し出し、演奏される音楽は生徒たちが踊るのを待ち侘びているようだ。

有古くんと手を繋ぎ、列に続いて広間へ入場する。奥へ進んだところでその足を止め、向き合う形で全員が入場を完了するまで待つ。

ダンスが始まる合図があると、皆は一斉にダンスのポーズをとった。優しい音色が奏でられ、ゆっくりとステップを踏んでいく。

ステップ……

ステップ……

ターン……

決められた順序で繰り返す。

ステップを失敗することなく、1曲目が終わった。

イ「すごく上手!」

有古「君もだ。」

イ「次も踊ろうか?それとも、少し休憩する?」

有古「…あぁ……少し、外の空気を吸いに行っても…?」

イ「もちろん!じゃあ私は何か飲み物持ってくるね」

有古「ありがとう」

1曲目を終えた私達は、1度休憩を挟むことにした。有古くんは外の空気を吸いにバルコニーへ出たため、私はテーブル席の方へ行って飲み物を貰いに行った。

テーブル席には着飾っている見知った顔がいくつかあった。

イ「谷垣くん!楽しんでる?」

谷垣「…イヴァンナ!ああ、楽しんでるよ。」

イ「…!そちらの方は?」

谷垣「インカラマッだ。」

マッ「初めまして、インカラマッと申します。」

イ「初めまして!イヴァンナです」

マッ「素敵な方ですね。お相手はどちら様?」

谷垣「俺も気になってた。誰と来たんだ?」

イ「有古くんだよ!向こうから誘ってくれたの!」

谷垣「イポプテが!?…あいつ、やるな…」

マッ「まぁ!こんな素敵なお嬢さんを誘うだなんて、勇気のあるお方なんですね」

イ「いえ、そんな……私も感謝してるんです。」

2人は次の曲を踊るようだったので、楽しんで、と一言交わして後にした。

???「イヴァンナか!?」

背後から声をかけられ、驚いて振り向くと

鯉登「やはりイヴァンナか!」

鯉登くんの姿があった。

イ「鯉登くん!タキシード素敵!」

鯉登「ふん、そうだろう!そういうお前もなかなか似合っておる!」

イ「ありがとう!…鯉登くんは誰と?」

鯉登「!紹介しよう!○○だ!」

○○「初めマシテ。○○デス。ボーバトンから来ましタ」

イ「!ボーバトンから!初めまして、イヴァンナです」

○○「あなた、とってモbeautifulネ」

イ「ありがとう!あなたもとても素敵!2人とも楽しんで!」

鯉登「ああ、お前もな!」

皆各々楽しんでいる様子で、こちらも嬉しくなった。

シャンメリーの注がれたグラスを両手に持ち、バルコニーへ向かった。

そこにはジャケットを脱いで夜風に吹かれる有古くんの姿があった。バルコニーは夜の涼しい風が吹き抜け、空は満点の星空だった。

_____

イ「おまたせ!はい、これどうぞ」

有古「あ、ありがとう」

キラキラとゴールドに輝くシャンメリーを1口飲んで、空を見上げる。

イ「いい夜だね…」

有古「……ああ」

深い意味は無いのだろうが、それでも大袈裟に捉えてしまう。彼女が好きだから。星空を見上げる瞳、少し紅潮した頬、艶めいた唇。彼女の全てに、俺は心惹かれた。

いつかこの気持ちを伝える時が来るとしたら_

イ「少し歩かない?ここにいると、凄く楽しいんだけど、熱くなっちゃって…」

熱冷ましに外を歩かないかと提案され、それに頷いて彼女の隣を歩く。想いを伝えるなら、きっと今が最高のチャンスなのだろう。

大広間を横に抜けて、渡り廊下を歩く。2人を照らすのは、建物から漏れた微かなあかりと、繁く輝く星だけだ。暗がりのせいで彼女の顔はよく見えないが、今はそれがありがたかった。きっと今の俺は、真っ赤になって情けない顔をしているだろうから。

時折触れる手と、甘い香りが、彼女の存在を証明していた。息遣いも、少し上がった体温も、彼女の隣を歩いているのだ、と俺をその気にさせた。

歩いている間、多くは話さなかった。星が綺麗だの、風が涼しいだの、話すことといえばそのくらいだ。それでも俺は、彼女と交わす他愛のない会話が好きだ。彼女と手を繋ごうか迷っているうちに、湖畔へ辿り着いてしまった。

イ「みて、水面がキラキラ光ってる」

有古「本当だ、綺麗だな」

空の星を映し出す鏡のような水面は、風に吹かれてゆらゆらと揺らめいている。

沈黙が焦燥を掻き立てる。意を決して彼女に問う。

有古「イ、イヴァンナ」

イ「んー?」

顔さえ向けないものの、彼女はこちらに意識を向けた。

有古「…本当に、今日君が来てくれるとは思わなくて、その……すごく、嬉しかった」

イ「私も、有古くんとパーティ行けて嬉しかったよ?」

有古「実の所は…期待してなかったんだ、なんというか…君は俺に釣りわあない。君は、高嶺の花だから…」

イ「……?」

俺の言いたいことが伝わらなかったのか、彼女は体ごと顔をこちらに向けて、真っ直ぐに俺を見つめた。

有古「っ…すまない」

彼女は少し怪訝な顔をして見せた。

イ「……じゃあさ、私を誘ってくれたこと、期待してもいいかな、」

有古「…ああ、好きに取ってくれて構わない」

恥じらう瞳。思わず俺は彼女の頬に触れた。程よく熱を持つ、陶器のような白い肌と、滑らかな肌触り。触れられた彼女は、少しばかり目を見開いて、俺の手の上に彼女の手を重ねた。

そして少しずつ顔を寄せる。彼女は今から起こることを全て覚ったかのように、瞳を閉じた。

ああ、どうかこのまま___

唇から彼女の体温を感じた。同時に、身体中の熱が顔に集中する。

ちゅ、と小さなリップ音が聞こえたあとで、彼女はゆっくりと目を開いた。

有古「好きなんだ、君のことが」

彼女は驚いたような顔をしたあとで言った。

イ「ありがとう。私_____」

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