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攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある。
乙女🔝注意報第三弾。
今回もかなり捏造すごいです。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
俺には姉がいたからかもしれないが、小さい頃から身の回りには所謂女の子向けのものが当たり前のようにあった。少女向けのアニメや絵本はたくさんあったし、もちろん俺のために男の子の遊び道具もあったけど。それでもなんでも姉の真似をしたがっていた俺は、姉の読んでる絵本をよく読んでいた。
そこには自分のは遠い世界の話がたくさんあって、でも大体王子と姫が結ばれるものが多かった。俺はいつもそのハッピーエンドが好きで、最後の部分を何回もお母さんにお願いして読んでもらっていたのを覚えている。姉も一緒になって聞いていた。当たり前かもしれないが、姉はいつも絵本に登場するお姫様に憧れていた。
「いつかわたしも、こんな可愛いピンクのドレスきて、かっこいい王子様と結ばれるんだ」
それが姉の口癖だった。そのせいか、俺もいつの日かそう思うようになっていった。自然と、いつか白馬に乗った王子様が俺を迎えに来るのかと。自分が男であることは分かっていたし、別に女になりたかったわけでもないのに、いつも絵本に感情移入するのは女の子の方だった。小さかったせいもあり、それを家族もなにも咎めなかった。そうだね、と肯定されて育ってきた。
自分が他の男の子と違う、と気付いたのは小学校に入ってから。周りに言われて、たしかに俺はどちらかというと王子側の人間なのだと気付かされた。
「いや、お前男じゃん。おかしいでしょ。普通迎えに行くほうだよ、可愛い女の子をさ」
そう笑われ恥ずかしい思いをしたのを今でも覚えている。
(俺は、間違ってるのか?)
もちろん女の子は可愛いと思う。小さくて柔らかくて、触れたら壊れてしまいそうだから優しく守らないといけない存在。
(じゃあ、俺は?)
どちらかといえばしっかりとした体格で、顔も男らしい。年齢が上がるにつれ身長も伸びた。一時期はそれについて悩んだことだってある。
なんで俺は、男なんだろう、と。なんで守られるようなか弱い存在じゃないんだろう、と。
「……ん、」
ゆっくりと意識が浮上した。眠たい目を擦って開けると、隣にはジヨンが気持ちよさそうに寝ていて思わず笑ってしまう。そういえば今日は1日オフで、昨夜外で飲んだ帰りにその場のノリと勢いで、久しぶりに2人でラブホテルに入った。いつもはどちらかの家に泊まるのだが。
『久しぶりにさ、どう?』
光る看板を指さしながらジヨンがニヤリと笑った。たしかに、たまにはホテルも悪くないな、なんて。俺も笑いながら頷いた。
綺麗なシーツに広いベッド。男2人で受付を済ませるのは恥ずかしいと思いながら入ったが、今は全部機械がやってくれるらしい。久しく来てなかったからから知らなかった。そんなことにさえ2人で笑った。
チェックアウトまでにはまだ時間がある。もう一眠りしようと布団を被り直して、隣の彼に擦り寄るように身体を寄せた。ジヨンはその振動に一瞬起きた素振りを見せたが、結局俺を抱きしめてまた寝息を立て始めた。彼の温もりに触れて、あったかくて気持ちいい。はずなのに。
「……」
再び眠気が襲ってくることはなく、むしろ目が冴えていく。
(……夢、)
懐かしい夢を見たからだろうか。
小さい頃の、姉と一緒に夢中になって絵本を読んでた頃の。さすがに大人になった今は、あの感情に蓋をして、あのときはまだ小さかったからと思えるようになった。
けど。
ジヨンを一目見たとき、俺は一瞬にして恋に落ちた。俺よりも華奢でどちらかと言えば俺の方が男らしい見た目だったけど。それでも”男として”彼を好きになった。両想いだと知ったときは夜も眠れない程昂った。付き合い始めて彼は想像以上に完璧な彼氏だったし、初めて彼に抱かれた日は今でも覚えてるほど。
そんな中、蓋をしていたはずの感情がいつしかまた現れて、気付けば俺は小さかった頃の俺と変わらず。もちろん俺は正真正銘男だし、絵本に出てくるような王子様とお姫様の物語を今でも夢見ているわけではない。
それでもジヨンを運命の相手だと思って疑わなかった。
気持ちよさそうに眠る彼の胸に顔を近づかれば、規則正しい心臓の音が聞こえてきて安心するはずなのに。それでも眠れない。心がザワついて落ち着かない。なんだかわからない不安がじりじりと迫ってくる気がして、項のあたりがちりちりする。
(……なんだか、嫌な予感が、する)
理由もわからない。説明もできない。
でもこういう予感は、嫌なくらい当たる。
急遽事務所に呼び出された。のは、ジヨンと俺の2人。なにかしたかな、と話しながらドアを開けると、中にはマネージャーが座っていた。
「……とりあえず座ってください」
硬い声に険しい表情。俺とジヨンは一瞬目を合わせたあと、ゆっくりとソファに腰掛けた。
「突然呼び出してすみません。伺いたいことがあって……これに、ついて」
テーブルの上に出された紙。白黒の写真と文章。雑誌の記事のような、
「ーーっ!」
震える指で紙を掴む。思わず入ってしまった力に、紙がくしゃりと歪んだ。
「週刊誌の、ゲラです。まだ世には出てません。というか潰してもらうので、世には出ません。けど……説明、してもらえますか?」
一応、なんの意味もない程度に、目元に黒い線が入ってる。でも顔は誰がどう見たって分かる。楽しそうに笑いながら手を繋いで並んで歩く人物が2人。それは俺とジヨンで。
(まさか、撮られてた、なんて)
あの日酔った勢いで入ったホテル。入口に消えていく姿まで写ってる。背中に嫌な汗が流れた。
「お2人は、そういったご関係なんですか?」
マネージャーが強い眼差しで俺たちを見た。なにか言わなければならないのに、口が言うことを聞かない。どう答えようか、どうしたら誤魔化せるだろうか。いや、こんな写真が出てる時点で誤魔化しようがない。どうしたら。纏まらない思考が脳をぐるぐると回る。
「……そうだって、言ったら?」
隣から聞こえた声にハッとした。慌ててジヨンの方を見ると、彼は冷静に、それでいて力強く前を向いてそう言っていた。
「……そう、なんですね」
「……」
「個人的な話まで…プライベートな部分まで、どこまで口を出すべきかわかりません。2人が互いを好きだという気持ちを、真っ向から否定する気もありません。したくもないですし……ですけど」
マネージャーは苦しそうに顔を歪めた。
「お2人はただの一般人とはちがいます。恋愛は自由だという気持ちもわかりますが、あなたたちがどれだけ周りに影響を及ぼす存在かはわかってるでしょう?ましては……男同士となれば」
「……」
「世間は驚くほど優しい人がいる反面、驚くほど酷い人もいます。釈迦に説法でしょうが……このことを知って、祝福する人ばかりじゃない」
「俺たちの関係が、周りに迷惑がかかる、って言いたいの?」
「…そんな言い方はやめてください。傷つくのはあなたたちなんです」
「俺たちのため、ていうのはこの際なしにしようよ」
「……」
「俺たちが付き合ってるっていうことが公になれば迷惑がかかる。そう言ってるのと同じだよね?」
「………………もしそうだと言ったら、どうするんですか?」
目の奥が熱くなって、気を抜いたら泣いてしまいそうだと思った。無意識に噛み締めていた唇が痛い。
「…」
沈黙が苦しかった。酸素が薄くなったみたいに息がしづらい。ジヨンにばかり答えさせて、俺もなにか言わなきゃと思うのに。情けないほどなにも言えない。
ジヨンはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと頭を下げた。
「立場を弁えず、こうやって写真を撮られてしまったことについては、謝る。申し訳ありませんでした」
俺も慌てて頭を下げる。我慢しきれず零れてしまった涙が、1粒だけ膝の上に落ちた。
「………ゆっくり、考える時間がほしい」
ああほんと、嫌な予感はよくあたるな。
事務所に呼び出されたあの日からも、俺たちが変わることはなく。ありがたいことに仕事に追われ、忙しい毎日を過ごしていた。
マネージャーはあの日から、この話について一切触れてくることはなかったし、メンバーにも話していないようだった。容易に話せるようなことでもなかったのだろうが。
ジヨンとも、その話題には一切触れていない。いつも通り過ごしている。と言っても互いに忙しく仕事でしか顔を合わせていないから、話し合う時間がないだけなのだが。
(……いや、ちがうな)
時間がないわけではない。作ろうと思えばチャンスはあった。ただ、俺が怖くて逃げているだけだ。俺たちはどうなってしまうのか。2人で過ごしたあの幸せな日々はもうこないのか。そのことを確かめるのが怖く目を逸らし続けて、ずるずると毎日を過ごしていた。
なにも知らない3人といると胸が傷んだ。ちくちくとした嫌な痛みだ。それがいつしか心を蝕んで、膨れ上がって、全身包まれてしまいそうになったころ。
『今夜空いてる?』
震えたスマホの画面には、ジヨンからの問いかけ。みんなでいる楽屋。彼は何食わぬ顔でヨンベと話しながら、俺宛にメッセージを寄越した。
あの日から俺たちはプライベートで2人で会うことを禁止にされていた。そんな最中、ジヨンがついに動き出した。俺もこの状況にそろそろ限界だった。それが、彼にはバレていたのかもしれない。
『あいてる』
一言だけ送った。彼はスマホを見たあと、チラッと視線をこちらに寄越した。一瞬目が合う。そしてまたスマホが震えた。
『じゃあ、行きたいところがあるから、付き合って?』
今すぐにでも彼の腕の中に飛び込んで、その温もりの中で寝てしまいたい、なんて。
「うー寒っ」
身体にあたる夜風が冷たくて、ジヨンはマフラーを巻いた首を更に縮こませながら言った。かくいう俺もめちゃめちゃ寒い。分厚いダウンジャケットを着てきてはいるが、それでも寒い。
本当はくっつきたい。あの温もりを感じたい、のに。この前のマネージャーの言葉が、あの写真が、思いとどまらせてしまう。
そんな悩む俺に、ジヨンはぎゅっとしがみついてきて思わず肩が跳ねた。
「ジヨン、」
「くっついてるほうがあったかいじゃん」
「…でも、」
「いいじゃん誰もいないし」
この時期夜の海に来る人なんてまずいない。たしかにあたりには人1人いなくて、波の音と俺たちが踏みしめる砂の音しかしなかった。
「それともタプヒョンは、嫌?」
上目遣いに見つめられながらそう言われ、ぐっと言葉に詰まる。
「……嫌なわけないだろ」
「んふふ、だよね」
ジヨンが笑いながら手を握ってきた。冷たい指先、2人の体温が混ざり合う。
「だってここ最近タプヒョンすごい寂しそうな顔してたもん」
「な…っ!」
思わず顔に熱が集まる。そんな顔に出てたなんて。
「そんなことは……なくは、ないけど」
「あはは!」
「……でも、」
「ん?」
「その……ジヨンにばっか、いろいろ説明させたり、謝らせたり、させて…悪かった」
あの日俺は何も言うことができなかったから。情けなくて、申し訳なかった。
「………そんなこと、気にしないでよ」
「……」
「……ふふ、ごめん。タプヒョンが寂しそうとか言って、君のせいにしてたけど」
「?」
「本当は俺が耐えられなかったの。タプヒョン不足でさ!もー我慢できなくて!」
そう叫ぶように言いながら、ジヨンが力を込めて抱きしめてくる。
「ちょ、痛っ」
「はーー癒される〜HPが回復していく〜」
「…ぷっ、なんだそれ」
嬉しそうに言う彼につられて笑ってしまった。仕返しとばかりに俺も抱きしめ返す。
「ねぇ、せっかく海来たんだから楽しんでこうよ」
「は?て、おい!」
ジヨンは俺の腕を引っ張って海の方に走り出した。
「ま、待て待て待て…あ!」
バシャ、と音がしたと同時に足が冷たくなる。靴も履いたまま、2人して波の寄せる海に足を突っ込んでしまった。ぞわっと鳥肌が立つ。ズボンもビシャビシャだ。
「ひーー冷たぁあ」
「当たり前だろ!」
必死に逃げようともがくが、彼は頑なに手を離さず、むしろ足を蹴り上げ俺に水をかけてきた。
「おまっ…やったな!」
「わー!」
負けじと手ですくいあげてジヨンにかけてやった。彼もやり返してくる。気付けば2人とも水浸しだ。
「ぉわ…っ、」
「あ、タプヒョン…!」
はしゃいでたのもつかの間、足のバランスを崩して倒れかける。彼が慌てて俺の腕を掴んだが時すでに遅し。2人で尻もちをつくかたちとなり、腰まで海に浸かるわ跳ねあげた水を頭から被るわ、最悪な状態だった。
「つっめた…っ」
「あーははは!タプヒョンびしょびしょ!」
「…く、あはは!お前もだろっ」
最悪な状態、なのに。なにが面白いのか分からないのに。お互い馬鹿みたいに大声で笑い合った。身体は凍えるほど冷たいけど、楽しくて仕方なかった。
「はははっ…はーあ、笑った」
「お腹いてぇ…」
「んね…ふふ、やっぱ夜の海っていいよね。誰もいなくてさー、まるで世界に2人だけみたいじゃない?」
ジヨンはそう言うと、嬉しそうに目を細める。その顔がとても儚くて綺麗で、俺の視界はいつの間にか歪んでいった。
「……ああ、本当に…そうなればいいのに」
「……タプヒョン、?」
「…なんで、なんでなんだろうな?たださ、俺はただ…ジヨンが好きな、だけなのに…っ」
溢れ出したそれが頬を濡らす。もう海水か涙か分からない。
「男とか、女とか…そんなん、関係なく…ぅ…ジヨンが、好きな、だけなのに…っ」
そうだ、俺は男だとか女だとかそんなこと関係なく、人間としても恋人としても、ただジヨンが好きなだけ。それなのに。
「なのになんで、こんなに………苦しいの、」
俺たちはアイドルで、一般人じゃない。恋愛よりも仕事、恋人よりもファンを想って生きていく。わかってる。自分が選んだ道だ。応援してくれる人たちを裏切りたくない。それも全部わかってる、けど。
『あなたたちがどれだけ周りに影響を及ぼす存在かはわかってるでしょう?ましては……男同士となれば』
『このことを知って、祝福する人ばかりじゃない』
それでも、好きな気持ちは、誰にだって否定されたくないのに。
「…ひっ、く…ぅ」
「………そうだよね」
ジヨンは俺をぎゅっと力強く抱きしめた。でも、お互い冷えきった身体じゃちっとも温かくない。
「じゃあさ、このまま、本当に、2人の世界にいかない?」
「……」
「誰にも、邪魔されない。誰にも迷惑かけない。2人だけの世界に」
そう言ってジヨンは、より深いところに進んでいく。俺の手を引きながら、進んでいく。
だめだ、それ以上行ったら、もう戻れなくなる。俺たちは生きて帰って来れなくなる。
(これじゃ、まるで、)
深くなっていくそこは、もう辛うじて顔だけが水面から出ているほど。足はついていない。
「……タプヒョン。海の中じゃ、泣いても分からないから。好きなだけ泣いていいよ」
その言葉を最後に、押し寄せた波に身を任せたまま、ジヨンが俺の肩を掴んで海に沈めた。
(これじゃ、まるで、心中だ)
彼も一緒に沈んでいく。
(……それでも、いい)
2人だけの世界に行ける。このまま俺たちは、俺たちだけの世界に。ぼやける視界の中、微笑んだジヨンが、優しく俺にキスをした。
「はぁ…はっ」
どうやってここまで戻ってきたか記憶がない。気付けば俺とジヨンは、並んで砂浜に仰向けに倒れていた。空は真っ暗で、海との境もわからない。濡れた服が張り付いた、冷えきった身体はもう感覚がなかった。現実か夢か判別がつかない。でも、吐き出した白い息と聞こえる心臓の音が、これが現実だと知らせているようだった。
「……じ、よん」
ぶるぶると震えた唇が言うことを聞かなくて。それでも彼には聞こえていたのだろう。感覚がなくなったと思っていた指先が、微かに握り返されたのがわかった。
「……おれ、さ」
「……うん」
「小さい頃、おんなのこ、むけの、絵本を読むのがすきだった…お姉さんがいたから、なんだけど」
「……うん」
「おれ、別に、女になりたかったわけでも、なかったのに、いつもそこにでてくる、可憐な、おひめさまを、見ていた」
果たして今何時なんだろう。時間の感覚がない。
「いつか、すきなひとと、むすばれるんだって、おうじさまが、おれを、迎えに来るんだって、」
時間の感覚だけじゃない。全ての感覚が曖昧だった。子どもの頃に帰ってしまったような気がした。何を話してるのか、自分でもわからない。
「それが、おかしいって、まわりにいわれて、それが、子どもながらに、くるしかった。おれ、おかしいんだって、変なんだって、ずっとそう、思ってて」
「……うん」
「じよんと付き合って……この前の、しゃしん、とられて…やっぱりおれって、おかしいのかなって。ただ、すきなひとと、いるだけなのに、まわりに受け入れてもらえないんだって、くるしかった」
「……」
「だから…あのまま、じよんと、ふたりで、この世からにげることになっても、いいんじゃないかって、あのとき…ほんきでおもってた」
沈みゆく海の中で、俺は本気で思っていた。このままでいいと。
「……………でも、いま、おれたち……生きてるんだな」
「……………うん」
ジヨンはゆっくりと起き上がると震える手で、俺の頬を撫でた。そこはいつの間にか流れた涙で濡れてて、ああ今は海の中じゃないから泣いたらバレちゃうんだな、なんてことをぼんやりと思っていた。
「……俺も、本気でタプヒョンとこのまま逃げようと思ってた。何もかも捨てて。でも……できなかった、どうしたって」
「……」
「メンバーも、仕事も、家族も、ファンも、大切にしたい。でも、タプヒョンも大切にしたい」
波の音が遠くで聞こえる。
「これってわがままかな?」
そう言って必死に笑おうとしたジヨンの目からも、涙が溢れた。
「………ああ。すごい、わがままで、傲慢だな」
「…」
「…でも、俺も同じこと、考えてる」
「……………うん。ねぇ、タプヒョン」
彼の唇が、ゆっくりと俺の瞼に落ちる。冷たいのに、触れたその部分だけ熱を感じるなんて不思議だ。
「絶対に幸せにする。から、2人で生きて、幸せになろう?」
次の日俺たちは見事に風邪をひいた。それもそうだ、あんな寒い中海で濡れたら誰だって風邪をひく。
高熱に浮かされ、仕事もいくつかキャンセルをせねばならなくなり、周りには迷惑をかけてしまったが、体力には自信があったから想像以上に速いスピードで回復することができたことがまだ幸いだった。
完全に復活しいくつか仕事をこなした後、一区切りついた段階で、メンバーだけで事務所に集まった。ジヨンが「みんなに話したいことがある」と3人を集めたのだ。
「…ごめんお待たせ」
ガチャッとドアが開いて彼が入ってくる。俺たちと話す前にマネージャーと社長と話していたらしい。俺も行くと言ったが、ジヨンは1人で行かせてくれと最後まで折れなかった。俺のわがままに君の人生ごと巻き込むのだから、と。俺だって望んでお前の隣にいるのにな。
「いえ、大丈夫ですよ」
「それより話ってなんだ?」
「………うん」
みんなをソファに座らせてから、ジヨンが俺の隣に座った。
「実はね、結構前からなんだけど……タプヒョンと、お付き合いしてます。もちろん、恋人として」
3人が驚いたように目を見開く。俺は思わず顔を下げてしまいそうになるのを懸命に耐えた。
ジヨンは淡々と、全て包み隠さず話した。みんなに内緒で付き合ってたこと、写真を撮られたこと、そのことについてマネージャーから言われたこと、プライベートで会うのを禁止にされていたこと、そしてあの夜、海でのこと。
「全部投げ捨てて逃げようとしてた。でも、できなかった。やっぱり全部大切だから…メンバーも、ファンも、家族も、仕事も………タプヒョンも」
「…」
「………でね、俺、このこと公にしようと思ってる。こそこそと隠さず、堂々としていたい。もちろん仕事には影響は出さないと約束するけど……でも、君たちに迷惑をかけない約束はできない。周りからどんな反応が返ってくるかわからないから。リーダーとして、君たちを守りたい。し、絶対に守る努力はする。でも………正直、怖い」
彼の声が微かに震える。俺は思わず膝の上に置かれたその手を握った。驚く彼に微笑む。お前ばかりに背負わせないと誓った。
「……俺、小さい頃から、周りから変だって、おかしいって言われてた。ジヨンを好きになって……ただ、ジヨンが好きなだけなのに、男同士でって思う人もまだまだいて…またおかしいって、言われる…と、思う」
「…」
「でも……好きな気持ちは変えられないし、誰にも否定されたくない。この仕事しておいて、て思うかもしれないけど…みんなには、迷惑かけるかもしれないけど……俺、俺……このまま諦めたくない。諦めたら……小さな頃の俺が、きっとがっかりする、から」
そうだ、俺はきっと、昔の俺を救いたかった。ずっと。
「………わがままを言ってることはわかってる。ごめん、なさい…」
シン、と静まり返った。時計の針の音がやけに大きく聞こえる。俺はたまらず目を伏せた。
「………とりあえず、話してくれてありがとう」
沈黙を破ったのはヨンベだ。顔を上げると、真っ直ぐにこちらを見つめる彼と目が合った。
「……ジヨン」
「…なに?」
「言われなくても分かってると思うけど、きっと想像以上の反応が返ってくる。それはいい意見ばかりじゃない。苦しい思いもたくさんすると思う」
「……」
「ファンも、仕事も、俺たちのことも、全部手離したくない。そうだろ?」
「…うん」
「……でも、タプヒョンのことも、手離さないんだよな?」
「……うん。それはできない」
しっかりとヨンベの目を見ながらジヨンが答える。ヨンベはしばらく黙っていたが、やがてフッと笑った。
「うん、それが聞けたならもうなにも言わない」
「!」
「ここでやっぱり怖いからとか、俺たちや仕事を理由にタプヒョンを諦める、て言ったらぶん殴ってるとこだった」
「…ヨンベ、」
「それでも俺たち含めて全部を守るって言ってくれてありがとう」
鼻の奥がツンとして、泣きたくなるのを誤魔化すように俺も笑った。テソンもスンリも一緒に笑いながら、おめでとうございますなんて祝福の言葉まで添えて。
「というか、お2人、隠してたつもりでしょうけど、結構僕たちは怪しんでましたからね?」
「えっ」
「そーそー。なんか2人だけ空気が甘いっていうか、互いに好きなんだろうな〜付き合わないのかな〜って、実は思ってました」
「う、うそだろ?」
「嘘じゃないです。だって、」
テソンはそう言うと俺の隣に無理やり腰掛けて、ぐいぐいと身体を押した。
「タプヒョンすごい顔にでてましたもん〜」
「は、」
「ジヨンヒョンのこと大好きーーって」
「な…っ!」
「タプヒョンは顔に出やすいですからね」
「ねー」
「おいテソン!スンリ!」
恥ずかしくなって思わず大きな声が出る。
「あ、ほら。顔真っ赤ですよ」
それでも人の顔を見ながらニヤニヤしているから、テソンの首に腕を回してヘッドロックをかましてやった。ジヨンは楽しそうに声を上げて笑っている。
「……ジヨン、タプヒョン」
「ん?」
「生きててくれて、ありがとうな」
「……うん。こちらこそ、ありがとう」
「……………ただし、一言だけ言わせてもらう」
微笑んでいたヨンベの顔が一変。眉を吊り上げビシッと指をさされた。
「な、なに」
「もうこんな時期に夜の海に行ってびしゃびしゃになった挙句、風邪ひくなんて馬鹿なことは二度としないようにしろ!」
正論を言われ、ぐうの音も出ない。
「「……は、はい。もうしません」」
思わずハモった声に、スンリが腹をかかえて笑った。
ツアー最終日。ありがたいことに鳴り止まないアンコールを経て2曲歌った後。本当にこれで最後というときに、いつも通りスンリが慣れたMCでみんなへの挨拶と感謝の言葉を述べた。
「ここでG-DRAGONさんからみなさまにお話があるとのことで…じゃあ、お願いします」
そう言われジヨンが一歩前に出る。先程まで上がっていた歓声も拍手も自然と鳴り止んで、場が静まり返った。何か重大な話では、となんとなくそんな空気が流れる。
「えー、はい。まず、今日は本当に楽しかったです。最高な1日になりました。みなさまのおかげです、ありがとうございます。そして、少しだけですが、お時間をいただきたく、機会を設けてもらいました」
ふと肩になにかが触れる感覚がしてハッとした。そこにはいつの間にか隣に立っていたヨンベが、俺の肩に手を当てていた。押されるように俺も前に出る。
「実はみんなに秘密にしていたことがあります。それを、この場を借りて、お伝えしたいと思います」
「緊張してる?」
ライブが始まる直前、ジヨンにそう言われた。
「……ああ、まあな」
今日、ジヨンが俺たちの関係を打ち明けることはもちろん知っていたから、いつも以上に心臓のスピードが速まっていた。普段俺は「もっと緊張感を持った方がいい」と言われるほどだが、明らかに顔が強ばっていたのかもしれない。
「…あは、実は俺も」
そう言って俺の右手を自分の胸に持っていきながら彼が笑った。手のひらを通じて、ドクドクと速い鼓動が伝わる。俺も思わず笑ってしまった。
「でもさ、絶対大丈夫だから」
ジヨンがギュッと俺の手を握る。
『もう、おかしいなんて、言わせないよ』
「実は僕、G-DRAGONと…隣にいる、T.O.Pさんは……」
ゆっくりと目を瞑る。暗い世界に落ちたように真っ暗の中、ジヨンの声に耳を傾けた。
これから俺たちはどうなっていくのだろう。これから先、どんないばらの道が待っているのだろう。怖くないと言えば、嘘になるけど。
(でももう、大丈夫)
大事そうに絵本を抱える小さな頃の俺が、笑ってくれた気がした。
皆様お付き合いいただきありがとうございました!またもやたぷさんを乙女にするの巻。そしてタイトル不穏。ハピエン厨としてはどうしても最後は幸せな方向に向かわせたい…。そしてヨンベをオカンみたいにさせがち笑
読んでくださりありがとうございました♡
コメント
8件
物語の構成がうますぎてほんとに存在してそうで凄い🥰🥰✨✨リアリティがあります💗💗いつの間にか2人の世界に入っちゃうよ😭😭❤️🔥❤️🔥
普通にときめきました。おとぎ話ってなんでこんなにロマンティックなのーーー、お!! タイトル見て結構身構えたけどハッピーエンドで最高‼️‼️まじて目から鼻水案件でした😭😭😭毎回物語の繋げ方上手すぎません?!あとちびたぷ可愛すぎて🤦♀️最後の方なんか私もめっちゃ心臓早くなってました、

はぁ…好きです… 心中しかけたと♡♡♡ごいロマンチックですね、姉さんの影響でお姫様に憧れるタプ可愛すぎます😭あえて最後の所を書いてないところも最高ですね😭