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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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「ごめんなさい」
彼がなにか言おうとしていたタイミングで邪魔をしてしまったのかもしれない。
小さく謝ると、氷室くんは顔をしかめながら右手で口元を覆っていた。
「好きな女から上目遣いなんかされたら心臓がもたないって」
「……え、好き?」
「そう。俺は香椎が好き。いつ告白しようか迷ってた」
予想外の話の展開にビックリして、口を半開きにしたまま固まってしまった。
てっきり仕事に関して悩みがあるのだと思っていたけれど、彼がしたかった話というのは私へ気持ちを伝えることだったのだ。
「なんでも言っていいんだろ? ていうか、ずっとアピールしてたけど気付かなかった?」
「……私って鈍いよね」
氷室くんは頼りになる同期で、社交的で、とても気さくな人柄だ。
それは誰に対しても等しく同じだと思っていた。なのに私にだけ特別な気持ちがあったとは……。
「俺と付き合ってほしいんだけど」
「氷室くん、ありがとう。でも……」
「うわぁ、その先は聞きたくないな。さすがにもうちょっと考えてよ」
私がどんな答えを出すのか、氷室くんは先読みできてしまったようだ。
それ以上言うなとばかりに両手を前に突き出してストップのジェスチャーをしている。
申し訳ない気持ちになって、いったん視線を足元に下げたものの、私は意を決して顔を上げた。
「氷室くんはやさしくていい人だよ。でも私は重い恋愛しかできない女で、めんどくさいの」
「それでもいいって言ったら?」
「ごめん。ダメなの。私の心の中には、ほかの人がいるから」
誠意を示したくて、きちんと彼の目を見て真剣に伝えた。
すると氷室くんは観念したように大きな溜め息を吐き、フフッと笑みをこぼす。
「謝らなくていいよ。振られるだろうなってわかってた」
「氷室くん……」
「香椎は好きな男とうまくいけばいいな」
やっぱり氷室くんはやさしい人だ。最後まで嫌な言葉はひとつも口にせず、逆に私の幸せを願ってくれた。
そんな氷室くんがこの先の未来で、私よりもずっと素敵な女性と出会って幸せになれるように心から祈ろうと思う。
氷室くんとはその後も同期の同僚としてギクシャクせずに接することができている。
普通にしてくれているのは本当にありがたいし、氷室くんの人間性というか器の大きさを感じた。
そうして迎えた週末の日曜、夏用の新しい洋服がほしくなった私はひとりでショッピングモールへ出かけた。
近くにデパートがあるから、最後に地下の食品売り場に寄って夕飯のおかずを買って帰るつもりだ。
オシャレな洋服がたくさん揃っている店に足を踏み入れると、すぐに綺麗なサテンのスカートに目がいく。
ベーシックなアイボリー色だが、形が広がりすぎないセミフレアだから私の好みだ。
手に取って触ってみたところ、ギラギラとした安っぽい光沢はなくて落ち着いた風合いだった。
自分に似合うかどうかたしかめたくてスタッフの人に試着したいと伝えると、快く試着室に案内してくれた。
「あ、かわいいかも」
試着室でひとりごとを言いつつ、サイズもピッタリだったので購入を決めた。
この店はトップスもいろいろと置いてあるし、今度は彩羽を誘って一緒に買いにきてもいいかもしれない。
心をウキウキと弾ませながらその店を出て、今度は向かいにあったコスメショップの前で立ち止まる。
新発売のシートパックが大々的に展示されていて、試しに買ってみてもいいなと手に取ってパッケージを眺めていたら、バッグの中でスマホが鳴っているのに気が付いた。
その場を離れて画面を確認すると、かけてきたのは母だった。
「もしもし?」
「冴実! やっと出た!」
「ごめん。買い物に夢中だった」
どうやら母は何度か電話してきていたようだが、先ほどの店のBGMが大きかったのもあって着信にはまったく気付かなかった。
しかし何度もかけてくるなんて、なにか緊急で買って帰るものでもできたのだろうか。このときはまだ、そんなふうにのん気に構えていた。
コメント
1件
あーもう氷室くん切なすぎる😭💔 好きな女から上目遣いされたら心臓もたないとかズルすぎでしょ…でも振られ方も潔くて、その後もギクシャクせずにいてくれるのマジかっこよすぎる。「重い恋愛しかできない」って香椎のセリフも気になる〜!最後の母からの電話、なんか嫌な予感するんだけど続き早く読みたいです😢🌸