TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


複数を相手にするのは初めてだ。自分だけで精一杯だし、ルティを後ろに下がらせるべきだな。今の自分の実力を考えれば、守りながら戦うのはかなり不利だ。


おれはルティに目配せをしてここから離れさせた。


「ああ~ん!? いちゃもんつけて来てんのはお前か? 随分舐めた真似をしてくれんじゃねえか!!」


リーダー格の男が文句を言いながら近付いてくる。ルティが作ってくれると言っていた両脚装備を履いてもいないが、この場限りなら何とかなるはずだ。強さの基準は装備だけで判断出来ないし多分問題無いだろう。


リーダー格の男に続いて別の男たちがニヤニヤしながらやって来た。


そして――


「ぶあっはははははは!! おい、見ろよ? コイツの装備がてんでバラバラだぜ? 冒険者にしても程があんだろ!」

「恥ずかしいな、そりゃあ!! 炎属性の防具にミスリルの剣? けっ、大層な趣味してやがる!」


やって来た男たちはルティに車輪を大破された馬車に乗っていた連中。他の馬車には数人の騎士が残っているようだが、降りて来る気配は無さそうだ。三人とも全員剣を所持しているものの、とても騎士には見えない。


「……おれの装備に問題でも?」

「問題ぃ? まさかと思うが、アグエスタの剣闘場に参加する冒険者ってのは、お前じゃねえよなぁ?」

「さぁな。おれだったら問題があるのか?」


わざと挑発してきているが、強面なだけで強そうには見えない。


「大アリだろ、そりゃあよぉ! 見たところジョブなしの荷物持ちにしか見えねえ」

「残念ながら荷物持ちではないな」

「へぇ、そうかよ。こっちとしちゃあどうでもいいが、高価な装備を着ていたって無駄だぜそりゃあ!」


こいつらの相手をする方が無駄だな。剣を使う前に拳で吹き飛ばしてやろうか。


「貴様たち!! いい加減にしとけ! そんなジョブなしのガキを笑ったところで無意味だ! 問題は馬車の車輪だ。後ろにいるドワーフの娘を連れて来い!! 街で締め上げるぞ!」


やり取りを黙って見ていたらしき大男が怒声を張り上げる。他の男らに比べると体格に違いがあって分かりやすい。鋼鉄製の防具一式と黒鉄。ただのアイアンソード《鉄の剣》といったところか。


身長差もあるしリーチもおれより上だな。一見すると話の分かる奴そうに思えたが、ルティを捕らえる発言は許せない。


「そういうわけだ、そこをどきな! ガキぃ」

「ズボンが貧相な冒険者もどきは引っ込んでろよ!」


大男の声に従い、二人の男たちがおれを押し退けルティの所に向かおうとしている。


「悪いが彼女の所に行かせることは認めてない!」

「邪魔すんな、ガキ!!」

「どけっ!!」


ルティはすでにアグエスタの門の付近にまで後退済み。距離もあるし問題なさそうだが。こいつらはどのみち街に入るようで、ルティを押さえつけるつもりだ。


重いままの剣を手に奴らに斬りかかる、か?


出来るかどうか分からないが。


そう思っていると――


「イスティさま、今回だけだよ?」

「――え?」


今まで沈黙していたフィーサの声が耳元に届く。同時に、おれの体が操られたかのように軽やかに動き出す。


「何だぁ? Aランクの俺たちとやり合うってのか?」

「そんなミスリルの剣ごときで何が出来るってんだ?」


重かった剣は信じられない位にまで軽くなっていて嘘のように体も剣も身軽だ。それだけにフィーサの力添えは男らの肝を冷やすものだった。おれを舐め切った二人の剣が振り下ろされる遥か前、おれの剣先が奴らの頬をかする。


「……な、馬鹿な!」

「ど素人じゃねえのかよ!?」


間違いなくど素人以下だけどな。操られた動きを見破れないこいつらも素人以下だけど。フィーサにとってはお遊び感覚のようで、軽やかな動きを見せている。


目の前の男たちは自分たちのことをAランクと言っていた――ということは、あの勇者《グルート》たちよりは実力が劣るということだろうか。


今のおれはランクが不明だがこればかりは実戦あるのみ。


「貴様ぁぁぁ!! どこの国の奴だ? 冒険者もどきじゃないのか?」


リーダー格の大柄の男が怒鳴りながら近付いて来た。気付くとすでに二人の男たちは、馬車がある位置にまで後退。


「どこの国でもない。強いて言えば、大陸の裏側だ」


そもそもここが表か裏か不明だが。


「……なるほどな。名は? そのミスリルはただの剣では無いな?」

「アック・イスティ。この剣は宝剣だ」

「宝剣? ……ふん、そうか」


宝剣フィーサのことは知らないみたいだな。


「あんたはどこの誰だ?」

「俺はアグエスタ騎士団副団長である、キニエス・ベッツだ。ランクはSに近いAといったところだ。貴様の強さはあんなもんじゃないだろう?」


何だ、騎士団だったのか。副団長ということは、団長がいるはず。


「さぁね」

「……その答えは、剣闘場で聞かせてもらう。ドワーフの娘にはきつく教育しとくことだ!!」


キニエスとかいう副団長の男と他の男たちは、残りの馬車を誘導しながらアグエスタに入って行った。大破した車輪の馬車だけがこの場に残ったが後始末はどうするつもりなのか。


騎士団の副団長で名前がベッツか。どこかでこの名を聞いている気がするけど、どこだったかな。


「ねえねえ、イスティさま! わらわ、どうだった?」

「フィーサのおかげというか、あれでどれくらいの強さなんだ?」

「分かんない。だけどわらわなら負けないの。でも、今のままじゃイスティさまの強さでは勝てないかも」

「おれもそう思うよ」


フィーサに操られっぱなしの動きだと今後の戦いでは厳しい。


「アック様~!!」


ルティの大声が聞こえる。アグエスタ付近にまで下がっていたはずなのに、案外近くにいたみたいだ。


「ルティ! 大丈夫だった?」

「はいっ! アック様こそご無事でしたか?」

「まぁ、おれは……というか、”様”じゃなくてもいいんだぞ?」


これまでは、”アックさん”呼びだった彼女。それが一体どういう心変わりなのか。


「いいえ! わたし、これからずっとアック様ってお呼びします! ずっとお傍にいたのに他人行儀だなぁと思っていたので、もっとずっと近くに感じていたいです」


初めの内は仕方ないことだと思っていたけど、彼女なりに気にしてたんだな。


「構わないけど、おれはそのままでもいいのかな?」

「はいですっ! たまにルティシアと呼ばれるのもドキドキですけど、ルティって呼ばれたいです~!」


ルティの気持ちにも変化が生じたのか。フィーサの無言に恐れを感じるけど。


まずは宿に戻り、それからだな。

Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

21

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚