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#アラスター
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霧嶋朔夜
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シャットはアダムを睨みつけた。
シャット「自分が一番強いと思ってる人ほど、面倒臭い人はいないんですよね」
触手でアダムを叩きつける瞬間、アダムは弾かれながらも斬撃の姿勢を崩さず振り下ろす。
アダム「クソが!!気持ち悪い触手プレイだな!クソビッチ!」
シャット「黙れ、ヤリチンが」
アダムの斬撃が迫る。
シャット「お前の(自主規制)をそれで切り落とすぞ」
アダム「下ネタ連呼すんじゃねぇよ!」
シャット「笑い話として流してください」
アダムは鼻で笑い、余裕の表情を浮かべる。
シャットはその余裕に苛立ちながらも、心のどこかで焦りを感じた。
感覚が鈍る。
その瞬間――何故か見覚えのある顔が目に映る。
シャット「…ッ!」
ギリギリで斬撃を避けた先にいたのは、生前の上司、リアンナだった。
??「…あら、避けられた」
シャット「…リアンナ…?」
リアンナ「なんで疑問形なの?」
シャット「…やはりあなたは天国なんですね。ムーサに言わないと」
リアンナ「そうね、言っといて欲しい。お母さんは善人だって」
シャット「そうですね。まぁ、思い出したくもないでしょうが」
指先で電気を操り、ビリビリと空気を震わせる。
シャット「放送事故は慣れているので。さぁ、殺戮の始まりです。
でも、2対1は卑怯では?」
アダム「一人でいるお前が悪い」
シャット「…まぁ、いいです。ほらおいで、セレーネ」
影を広げ、手を差し伸べる。
シャット「この世界で一番価値がある男を殺せますよ」
アダム「お前の方が自分が強いと思ってるだろ」
シャット「思ってませんよ」
アダム「ハハッ!そう言ってられるのは今のうちだ!」
アダムがシャットに迫る。
しかしリアンナは、数メートル先にいるチャーリーとヴァギーを狙った。
リアンナ「仲間が無様に死ぬところを、その目で見てなさい!」
シャット「まッ!」
アダム「どこ見てんだ!? お前の相手は私だぞ!」
咄嗟に影でアダムを止める。
本当はセレーネに行かせれば、2分の1でダメージを受けてまだ動けたはずだった。
だが体は勝手に反応していた。
ヴァギー「ッ…ここは私が…ッ」
チャーリー「ヴァギー!危ない!」
リアンナ「さようなら、堕天使と理想主義者」
リアンナの刀が一直線に落ちる――
チャーリー「ッ!ヴァギー!」
ヴァギーが前に出るが、間に合わない。
その瞬間――
長い影が二人の前に立った。
シャット「…ッ…ぐっ…」
2人を守ったのはシャットだった。
肩を貫かれ、痛みに顔を歪める。
シャット「はぁッ…痛った…」
ヴァギー「痛ったで済むような怪我じゃないでしょ!」
チャーリー「シャット!」
リアンナ「早いのね」
シャット「初めてチーターの悪魔で良かったと思いましたよ」
シャットは肩を押さえ、血が指の隙間から滴るのを見つめる。
シャット「…最悪…汚れたし穴空いた…この服高いんですよ…」
自嘲するように、弱い声が漏れる。
チャーリー「……もう戦わなくていいから!!」
震える声で叫ぶチャーリー。涙が頬を伝う。
シャットはその目を見つめた。
チャーリー「これ以上、誰かが傷つくのは嫌なの……!」
シャットはゆっくりと顔を上げる。
シャット「……私が戦わなければ……誰が戦うんですか?」
チャーリー「……っ!」
チャーリー「みんなで力を合わせれば……!アダムだって倒せるから……!」
必死に縋るように言うチャーリー。
シャットは視線を伏せ、一瞬言葉を探す。
かすかに首を振ったあと、静かに言った。
シャット「……すみません」
翼が軋む音を立て、大きく羽ばたく。
傷が開き、血が跳ねる。
ヴァギー「ちょっと待ちなさい!!」
ヴァギーが前に出る。
ヴァギー「その怪我で戦ったら危ない!あんた……最悪、死ぬよ!!」
シャットは静かにヴァギーを見つめる。
シャット「……大丈夫です」
ヴァギー「どこが!!」
シャット「……生きていたら……また戻りますから」
チャーリー「……!」
シャットは二人に背を向ける前、ゆっくりと振り返った。
シャット「……私を、信じてくれるなら」
左の薬指の指輪が淡く光る。
シャット「私は……あなたたちに、命をかけられます」
チャーリーの涙が頬を伝い落ちる。
シャット「…この気持ちは…あの人が教えてくれましたから。
それにあなたは私の推しの娘ですしね」
チャーリー「シャット…」
シャット「……何かあったら」
一度だけ微笑む。
シャット「アラスターに……全部、任せてくださいね」
次の瞬間、黒い影と翼が重なり、シャットの姿は空へと消えた。
残されたチャーリーは唇を噛みしめる。
チャーリー「……っ、シャット……」
ヴァギーは拳を強く握りしめ、空を睨む。
ヴァギー「……生きて戻りなさいよ……」
戦場の中心。
血を引きずりながら、シャットは降り立つ。
アダムとリアンナが立ちはだかる。
アダム「……はは……まだ動けるのかよ」
リアンナ「……本当に、愚かな子」
シャットはゆっくりと顔を上げた。
シャット「……えぇ」
翼を大きく広げ、血に濡れたまま笑う。
シャット「私たちのラジオに出演してくれてありがとう。
それでは、お幸せに」
空気が歪み、遠くで――
ラジオの周波数が、確実に狂い始めた。