テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
#バレンタイン
シャットはアダムを睨みつけた。
シャット「自分が一番強いと思ってる人ほど、面倒臭い人はいないんですよね」
触手でアダムを叩きつける瞬間、アダムは弾かれながらも斬撃の姿勢を崩さず振り下ろす。
アダム「クソが!!気持ち悪い触手プレイだな!クソビッチ!」
シャット「黙れ、ヤリチンが」
アダムの斬撃が迫る。
シャット「お前の(自主規制)をそれで切り落とすぞ」
アダム「下ネタ連呼すんじゃねぇよ!」
シャット「笑い話として流してください」
アダムは鼻で笑い、余裕の表情を浮かべる。
シャットはその余裕に苛立ちながらも、心のどこかで焦りを感じた。
感覚が鈍る。
その瞬間――何故か見覚えのある顔が目に映る。
シャット「…ッ!」
ギリギリで斬撃を避けた先にいたのは、生前の上司、リアンナだった。
??「…あら、避けられた」
シャット「…リアンナ…?」
リアンナ「なんで疑問形なの?」
シャット「…やはりあなたは天国なんですね。ムーサに言わないと」
リアンナ「そうね、言っといて欲しい。お母さんは善人だって」
シャット「そうですね。まぁ、思い出したくもないでしょうが」
指先で電気を操り、ビリビリと空気を震わせる。
シャット「放送事故は慣れているので。さぁ、殺戮の始まりです。
でも、2対1は卑怯では?」
アダム「一人でいるお前が悪い」
シャット「…まぁ、いいです。ほらおいで、セレーネ」
影を広げ、手を差し伸べる。
シャット「この世界で一番価値がある男を殺せますよ」
アダム「お前の方が自分が強いと思ってるだろ」
シャット「思ってませんよ」
アダム「ハハッ!そう言ってられるのは今のうちだ!」
アダムがシャットに迫る。
しかしリアンナは、数メートル先にいるチャーリーとヴァギーを狙った。
リアンナ「仲間が無様に死ぬところを、その目で見てなさい!」
シャット「まッ!」
アダム「どこ見てんだ!? お前の相手は私だぞ!」
咄嗟に影でアダムを止める。
本当はセレーネに行かせれば、2分の1でダメージを受けてまだ動けたはずだった。
だが体は勝手に反応していた。
ヴァギー「ッ…ここは私が…ッ」
チャーリー「ヴァギー!危ない!」
リアンナ「さようなら、堕天使と理想主義者」
リアンナの刀が一直線に落ちる――
チャーリー「ッ!ヴァギー!」
ヴァギーが前に出るが、間に合わない。
その瞬間――
長い影が二人の前に立った。
シャット「…ッ…ぐっ…」
2人を守ったのはシャットだった。
肩を貫かれ、痛みに顔を歪める。
シャット「はぁッ…痛った…」
ヴァギー「痛ったで済むような怪我じゃないでしょ!」
チャーリー「シャット!」
リアンナ「早いのね」
シャット「初めてチーターの悪魔で良かったと思いましたよ」
シャットは肩を押さえ、血が指の隙間から滴るのを見つめる。
シャット「…最悪…汚れたし穴空いた…この服高いんですよ…」
自嘲するように、弱い声が漏れる。
チャーリー「……もう戦わなくていいから!!」
震える声で叫ぶチャーリー。涙が頬を伝う。
シャットはその目を見つめた。
チャーリー「これ以上、誰かが傷つくのは嫌なの……!」
シャットはゆっくりと顔を上げる。
シャット「……私が戦わなければ……誰が戦うんですか?」
チャーリー「……っ!」
チャーリー「みんなで力を合わせれば……!アダムだって倒せるから……!」
必死に縋るように言うチャーリー。
シャットは視線を伏せ、一瞬言葉を探す。
かすかに首を振ったあと、静かに言った。
シャット「……すみません」
翼が軋む音を立て、大きく羽ばたく。
傷が開き、血が跳ねる。
ヴァギー「ちょっと待ちなさい!!」
ヴァギーが前に出る。
ヴァギー「その怪我で戦ったら危ない!あんた……最悪、死ぬよ!!」
シャットは静かにヴァギーを見つめる。
シャット「……大丈夫です」
ヴァギー「どこが!!」
シャット「……生きていたら……また戻りますから」
チャーリー「……!」
シャットは二人に背を向ける前、ゆっくりと振り返った。
シャット「……私を、信じてくれるなら」
左の薬指の指輪が淡く光る。
シャット「私は……あなたたちに、命をかけられます」
チャーリーの涙が頬を伝い落ちる。
シャット「…この気持ちは…あの人が教えてくれましたから。
それにあなたは私の推しの娘ですしね」
チャーリー「シャット…」
シャット「……何かあったら」
一度だけ微笑む。
シャット「アラスターに……全部、任せてくださいね」
次の瞬間、黒い影と翼が重なり、シャットの姿は空へと消えた。
残されたチャーリーは唇を噛みしめる。
チャーリー「……っ、シャット……」
ヴァギーは拳を強く握りしめ、空を睨む。
ヴァギー「……生きて戻りなさいよ……」
戦場の中心。
血を引きずりながら、シャットは降り立つ。
アダムとリアンナが立ちはだかる。
アダム「……はは……まだ動けるのかよ」
リアンナ「……本当に、愚かな子」
シャットはゆっくりと顔を上げた。
シャット「……えぇ」
翼を大きく広げ、血に濡れたまま笑う。
シャット「私たちのラジオに出演してくれてありがとう。
それでは、お幸せに」
空気が歪み、遠くで――
ラジオの周波数が、確実に狂い始めた。