テラーノベル
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「それではお二方、お元気で!またどこかでお会いしましょう!」
王都に入り、商人と別れた2人。
たまにジャヌスと一緒に王都へ来ていたニティアとは異なり、人混みが嫌と言う理由であまり来たことがないフィニス。
人の多さに圧倒されていた。
「どうしようか?」
ニティアの声で我に変えるフィニス。
「とりあえず、おっちゃんに聞いた店で食べようぜ。フワフワのパンケーキ」
「うん!」
その言葉に目をキラキラと輝かせるニティア。
別れる前に商人から聞いていたおすすめの店を目指し、2人は賑やかな城下の街へと消えていった。
⸻
「いらっしゃいませ。フィニス様とニティア様でお間違いありませんか?」
店に入るや否や、ビシッとした服を着た店員が出迎えてくれた。
名前を呼ばれたことに驚く2人。
「ガルド様からお話を聞いております。私はこの店の店主を務めております、ローウェンと申します。どうぞこちらへ」
そう言い、ローウェンに案内される2人。
「えっと……ガルド様って……?」
「ロイヤル商会の会長ですよ」
「そうだったんですか!そう言えばお名前を聞いていなかったかも……」
「あの方らしいですね(笑)」
テーブルに案内されると、改めてローウェンが話をはじめた。
「ここは、ロイヤル商会が経営しているお店でございます。もともとは、食料品を取り扱う小さな商会でしたが、会長の手腕であれよあれよと大きくなりまして……
本当に、会長の命を助けてくれてありがとうございました」
大きく頭を下げるローウェン。
「あのおっちゃん……本当にすごい人だったんだな……」
「ちょっ!フィニス!!」
思わず思ったことが口に出てしまったフィニス。
その言葉にローウェンはくすりと笑う。
「見た目からは想像つかないですよね(笑)。でもあの方の人を見る目は本物です。だからこそここまで大きくなりました。また、職業柄、道中に旅人や傭兵に助けられることも少なくはないのに……」
笑いながら2人を交互に見つめる。
「その会長が、ここまでお二方を気に入っていらっしゃる。であれば、我々も全力でおもてなしさせていただくだけです」
ごゆっくりと一言述べた後、ローウェンは店の奥へと消えていった。
「……本当にすごい人だったんだね」
「でもまぁ……その気持ちを、今はありがたく貰っておこうぜ」
「そうだね」
そう言いながら鼻歌を歌っているニティア。多分頭の中はパンケーキに支配されているのだろう。身体がゆっくりと左右に揺れていた。
しばらくすると……
ぷるん
みたこともない揺れをしながらテーブルへと運ばれてくるパンケーキ。もはやパンケーキなのか疑問に思うほどぷるんぷるんしている。
ニティアはすでに両手にナイフとフォークを構え、よだれを垂らしていた。
「いただきます!」
たっぷりの蜂蜜と生クリームがかけられたパンケーキをナイフとフォークで一口大に切り……大きな口へ放り込む。
「…………!」
口に入れた瞬間目を大きく見開いたニティア。次の瞬間には逆に目をぎゅっと閉じて足をバタバタさせていた。
「くぅ〜〜〜〜〜♪」
このリアクションで、ニティアが大満足したことがわかったフィニスは、自分に運ばれてきた上品に焼かれている肉にかぶりついた。
「……!!」
この2人の反応にくすりと笑うローウェン。
「このパンケーキはうちの店の中でも1番人気のものです。貴重な朱雀鶯の卵を使用することで、そのぷるぶるふわふわを実現させているんですよ」
「そしてそちら肉は、うちの農場で飼育している一角牛のお肉でして、柔らかい口溶けなのに非常にさっぱりとしている、大好評のお肉になっているんですよ」
口へ運ぶ手は止めず……
「本当に美味しいです!こんなに美味しいものがあるなんて……」
もぐもぐ
「すごい柔らかいのに、油っぽくなくて……いくらでも食べれそうだ!」
もぐもぐ
100点満点のリアクション。ローウェンもついつい嬉しくなる。
ガチャ……
「いらっしゃいませー」
他のお客が来たのか、別の店員がフィニス達の隣のテーブルへ案内する。
振り返り、席についた客に一度深々とお辞儀をした後、再びフィニス達の方に向き直り、持っていた瓶の封をあける。
ポン!
その音に反応するフィニス。
「それは?」
「こちらはうちで取り扱っているワインになります」
お酒と聞いて、慌てるフィニス。
「あ、ごめん!うちら酒は飲めないんだ」
年齢的には飲んでも問題ない。しかし、以前に一度悪酔いしたニティアは魔法で店を破壊しかけ、フィニスは二日酔いで最悪の気分を味わった経験がある。それ以降、2人はお酒をほとんど飲んでいなかった。
「左様でしたか……確認せずに申し訳ございませんでした……」
手に持ったグラスとワインを下げようとしたその時……
「ちょっ!それ封開けちゃってるし、勿体無いでしょ!」
隣に座っているフィニスよりも少し年上の男。
「早く飲まないと風味も落ちちゃうしさ、せっかくなら俺にくれない♪?」
騎士だろうか。甲冑を着ており、大きな盾をテーブルに立てかけている。
確かに勿体無いという気持ちもあったため、フィニスはローウェンにあの人にあげてもいいか尋ねると、ローウェンはニコッと笑い、隣のテーブルにワインとグラスを差し出した。
「おぉ!サンキュー!言ってみるもんだ♪」
そう言って早速ワインを一杯飲み干す男。
「ぷはぁ〜!うめぇ!」
うまそうに飲む男。
「そこまで喜んでくれるならよかったよ」
そう言って笑うフィニス。
酒を飲んでいる男がフィニスとニティアの顔を交互にみると、笑いながら尋ねる。
「そう言えば見ない顔だけど、冒険者か?」
コメント
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みぅです🥀読んだよ、24話「ぷるぷるふわふわ」。 ニティアのパンケーキへの無邪気な反応、可愛すぎてにやけた…足バタバタさせて「くぅ〜〜〜♪」って、その幸せな感じがめっちゃ伝わってきた🌙 あと、おっちゃんが実はロイヤル商会の会長だったとか、ちゃんと伏線回収してくれてるの嬉しいね。フィニスの「すごい人だったんだな」がまた笑えるし。 こういう、旅の合間のほっこり時間って大事だよね。温かい気持ちになった🕊️
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緑山 紫苑