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緑山 紫苑
「まぁ、そんなところかな。今日王都に入ったばっかりなんだ。俺はフィニス。こっちのパンケーキ貪り食ってるのがニティア。よろしくな」
口いっぱいにパンケーキを頬張っていたニティアの手が止まり、フィニスを睨みつける。
もぐもぐ……ごっくん
「ちょっと!変な紹介しないでよ!」
2人のやり取りを見て笑うルシオ。
「俺はルシオ。一応ここ出身なんだ。酒のお礼ってわけじゃないけど、わからないことがあったらなんでも聞いてくれな!」
そう言ってグラスに酒を注ぎ飲み始める。
「あ……」
最後の一口のパンケーキを口に入れたニティアが口を開いた。
「王国図書館についてなんですけど……」
「ん?そこがどうした?」
「昔……知り合いと入って調べ物とかしていたんですけど、あそこって許可が無いと入れないですよね?」
それを聞いて驚くルシオ。それもそのはず。王国図書館とは……王国が建設されて以来、記録された全てが書物として保管されている図書館。誰でも気軽に入れる場所では無い。
「その知り合いって……王族か何かか?入れる人なんてごく僅かに限られてるってのに……。まぁそうだな。許可が無い奴は入れないし、もちろん、俺も許可なんて持ってない。無理に入ろうとしたら地下牢にぶち込まれることになるな」
そう聞いて肩を落とすニティア。すかさずフィニスがルシオに聞く。
「許可はどこで取れるんだ?」
「ん〜……」
空になったグラスに酒を注ぎ、少し考えるルシオ。
「多分王様だろうな」
「ってことは簡単には」
「取れるもんじゃないってことだ」
そう言って酒を飲む。
フィニスの身体つきと、ニティアの身なりをチラッと見たルシオは、2人の方に身体を向けた。
「あんたら、もしよかったらうちのギルドに入らないか?」
「ギルド?」
「なんだそれ?」
そんなことも知らないのかと笑いながら、2人に話し始める。
「ギルドは、まあ言ったら何でも屋みたいなもんだな。誰かからの依頼を受けて、困ってる人を助ける集団」
人を助ける集団という言葉に反応する2人。
「全国にそれぞれのギルドがあって、この国にも3つのギルドがあるんだ。1つ目は国王直下のギルドで、ここは王族関係の仕事依頼が多いし、収入も安定する。2つ目は魔法ギルド。ここは、魔法の研究や遺跡調査が多いところだな。当然一定の魔力がないと門前払い。」
ぐいっとグラスのワインを飲み干すルシオ。
「そして最後が、俺が所属している城下ギルド。国内外のありとあらゆる仕事が舞い込んでくる。収入も歩合制で、場合によっては怪我人も出たりするもんだから……人の出入りが多くてな……年中人手不足なんだ」
そう言って笑って見せた。
フィニスがそんな笑っているルシオの盾を見ると、キラキラと輝いて見える反面……所々に生々しい傷がついているのが分かった。
「どこのギルドに入るにしても、ギルド幹部……もしくは王族からの推薦状が必要になるんだ。誰彼構わずギルドに入れていた時代もあったんだが……どうしても実力がない奴が入ってくると死人がでちまうからな」
「え?ってことはルシオはギルドの幹部なのか?」
「ん?どうだろうね(笑)」
まだ完全に日も沈んでいないこの時間から酒を飲んで酔っ払っている。悪い人ではないのはわかるが、よほど権力がある人なのか……それともいい加減に人なのか……
「ニティアどうする?」
フィニスがニティアに視線を移す。
「うん。いいと思うけど、私は先に図書館の件をなんとかしたいかも」
「……それもそうだな」
そう言い、ルシオの方を見ると……
「お姉さん!お酒の美味しいお店を知ってるんだけど、今度一緒に行かない♪?」
店員にナンパをし、軽くあしらわれていた。
そんな様子に呆れながらも笑うフィニス。
「とりあえずありがとな!俺らはそろそろ行くから。ギルドの話も考えておくよ」
そう言って立ち上がるフィニスとニティア。
「色々お話が聞けて助かりました」
お辞儀をするニティア。
「おう、こっちこそありがとな!」
ニカっと笑い、空いたグラスを軽くかざすルシオ。フィニスは軽く手を挙げ、店を後にしていった。
コメント
1件
読み終わったよ〜!!第25話「傷だらけの盾」、めっちゃ良かった😭💕 ルシオっていう新キャラ登場で一気に世界観広がったね!ギルド制度の説明も自然でわかりやすくて、「なるほど!」って思ったし、フィニスとニティアがどう動くのか気になりすぎる…👀 特にルシオの盾、キラキラ輝いてるのに傷だらけって描写エモすぎない?!軽そうなノリの裏に色々ありそうで、これからが楽しみ過ぎるよ〜!!推せる!!🌸✨