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吊り下げられてなお空虚な眼差しは、 まるで死者のように何も映さない……。
死人のような目つきだね。
そう言って笑う声の主は……
かつて彼と肩を並べていた男だった。
君はまだ生きているよ。
さあ、どうする? 僕はもうすぐ死ぬだろう。
だから、最後に君の望みを叶えようじゃないか。
僕の代わりに、世界を変えてくれないか。
「……わかった」
彼は答えた。
彼が望むものは、ただひとつだけだ……。
「それじゃあ、始めようか……」
彼の瞳の奥に宿った微かな光が、消えていく……。
彼を縛っていた鎖が解かれ、 彼は自由になった……。
彼は歩き出した。
そして、再び歩み始めた……。
新たな道を進むために……。
自らの手で切り拓いた道の上に、 自ら望んで立つ為に……。
そして、 彼の手に残ったのは、たったひとつの願いだけだった。
彼は願う。
あの時と同じ言葉を……。
『私はここにいます』
「私はここにいます」
彼は繰り返す。
記憶は、薄れつつある……。
「私にはわかるのです。あなたの存在が。私の身体を流れる血が覚えているのです。あなたの魂の波動を。どうか、お戻りください。お願いします!」
涙ながらに訴えかける彼の姿に、彼/彼女は戸惑うばかりだった。彼の目から流れるものは、 悲しみや後悔などではなく、 ただひたすらに美しいものだったからだ……。
彼が残した最後の記録によれば、 彼は己の研究を完成させるために、 自らの命を犠牲にして世界を救ったらしい……。
彼は何を望んでいたのか? なぜ、そのような結末になったのか? それは誰にも分からない……。
彼の願いとは一体なんだったのだろう? それは、これから先の話だ……。
彼が望まなかった結末……
しかし、それこそが本当の終わりであり始まりでもあったのだ……。
世界を滅ぼすほどの力を持った、 強大な魔導兵器……。
彼を作り出した者たちが求めていたものは、 決してそんなものではなかったはずなのに。
それでも、彼は戦うしかなかった……。
無価値なものとなってしまった自分自身のために。
そして……
彼は再び戦いへと身を投じることになる。
彼が守ろうとしたものを、 彼自身の手で壊してしまうために。