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伏見side
居ても立っても居られなくなって刀也さんを無視してしまった
自分の気持ちは隠すって決めたばかりなのに
こんなわかりやすい行動してたらいたらバレてしまうかもしれない
自分の未熟さに内心イライラしてくる
俺は自分の教室に戻り
悶々と刀也さんのことを考えていた
彼女さん…綺麗な人だったな…
今日みたいに二人で話してることよくあるのかな
いやカップルなんだから当たり前か
『これからどんどん増えるのかなぁ、』
机に突っ伏しながら一人小声で呟いた
【がっくん】
俺がひとりで狼狽えていると同じクラスの叶くんが声掛けてきた
『お、どうしたの叶くん』
【がっくん、なんか辛そうだね?どうしたの】
『いや、と、特に何もないよ』
いつもはなんでも相談できる叶くんにも
今回は何も言えなかった
【…ねぇがっくん僕、見ちゃったんだ】
【気のせいだったらごめんね、昨日帰り道にさ、】
【泣いてなかった?】
『な、ないてなんて、』
刀也さんに彼女がいると告げられたあの日
叶くんに見られていたんだ
【それに今も…ねぇもしかしてがっくんてもちさんのこと…】
『そんなんじゃないっすよ!!』
思わず声を荒げてしまった
『あ、いや、その』
『な、なんでもないよ、!ほんと』
【じゃあなんでそんな辛そうな顔してるの?】
『っ、』
【ねぇ、僕には本当のこと教えて?】
…言っていいのだろうか
口にしてしまったら彼への気持ちが強くなってしまわないだろうか
でも、叶くんになら、
『じ、じつは…』
俺は叶くんに今までのことを正直に話した
男なのに刀也さんが好きなこと
諦めなければならないこと
それでもどうしても態度に出てしまうこと
まだ大好きだということ
【そっか…辛かったね、】
叶くんはとても、とても優しい笑顔で頭を撫でてくれている
涙が溢れそうになってしまう
でも教室内で泣くなんて…
【がっくん、おいで】
『え』
俺は叶くんに手を引かれながら近くの空き教室に入った
【ここなら泣けるでしょ、我慢しなくていいよ】
『かなえ、くん』
なんで優しいんだろう
『おれ、…グスおれすきで、刀也さんが、いち…ばんでグスッ』
なんで、なんで俺じゃダメだったんだろう
たかが性別が違うだけなのに
『あきらめ…られないよ、』
だってずっと好きだったんだもん
今も変わらずずっと大好きなんだ、
叶くんは無言で俺の背中を撫でてくれた
【がっくん、君はこれからどうしたい?】
ほんとは付き合いたい
誰よりも俺が彼を幸せにしたい
でも、そんな空虚を追い求め、縋るのには
少し疲れてしまった
『あきらめ、られるよう頑張りたい、』
【そっか、】
【僕、がっくんが諦められるように手助けするよ】
『あ、ありがとぅ…』
【ううん、大丈夫だよ】
【僕にも気持ちわかるから…ボソ】
叶くんはぼそっと何かを呟いた