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ある雨の日、デンジは電話ボックスで雨宿りをしていた少女・レゼと出会い、一目惚れする。
夜の学校での密会、カフェでの交流……。デンジにとって、それは夢のような時間だった。
だが、レゼの正体はソ連の刺客。彼女はデンジを連れ去るため、ついに「ボム」としての牙を剥いた。
爆風の中、デンジはボロボロになりながらレゼを見つめていた。
「レゼ……お前、俺を殺そうとしてたのかよ……」
レゼは冷たい瞳で首のピンを抜こうとする。
「……そうよ。最初から、任務のために近づいただけ。学校も、カフェも、全部嘘」
だが、彼女の指が震えているのを、リムルの脳内の相棒は見逃さなかった。
『報告。個体名:レゼ。心拍数の上昇、および感情中枢の激しい葛藤を確認。……彼女の言葉は、自己暗示による虚飾です。マスター、介入の準備は整いました』
(「よし、シエルさん。彼女の『悲しい嘘』を全部壊しにいこうぜ」)
レゼが爆発を起こそうとした瞬間。
リムルが二人の間に、神速の踏み込みで割って入った。
「そこまでだ、レゼ。……いや、エカテリーナ(※シエルが解析した本名)」
「……!? 誰よ、あんた……っ!」
レゼが爆発を放とうとするが、シエルが彼女の周囲の「酸素」を瞬時に書き換え、不活性ガスに変えてしまった。爆発が起きない。
『……無駄です。貴女を縛っている「国」からの遠隔起爆装置、および洗脳ナノマシンは、今この瞬間をもって私がすべて**【捕食・隔離】**しました』
「え……? 嘘……そんなこと……」
レゼは自分の体に起きた異変に愕然とする。ずっと彼女を縛り続けてきた、脳にこびりつくような「命令」が、霧が晴れるように消えていたのだ。
「レゼ、お前……国に利用されてたのか?」
デンジがふらふらしながら立ち上がる。
「デンジ。こいつは任務で君に近づいたかもしれない。でも、君と過ごした時に流した汗や、あの笑顔まで嘘にする必要はないだろ?」
リムルがレゼの肩を優しく叩く。
「……あ、ああ。……レゼ。俺さ、お前が爆弾だろうが何だろうが、どうでもいいんだわ。俺と一緒に、普通の生活しねえか?」
デンジの、真っ直ぐすぎる言葉。
レゼの瞳から、ボロボロと大粒の涙が溢れ出した。
「……バカね、デンジ。私は……たくさんの人を殺してきたのよ? 幸せになんて……」
『報告。それらの罪の記録は、既に公安のデータベースから消去。また、被害者の魂の補填も「代償」を支払って完了しています。……マスター、これ以上は野暮というものです』
(「だな。……さあ、レゼ。デンジの手を取れよ」)
夕闇の中、レゼは震える手で、デンジの差し出したゴツゴツとした手を取った。
「よし、決まりだ! アキの家にまた一人増えるけど、まあなんとかなるだろ!」
リムルが明るく笑い飛ばす。
こうして、レゼは「国の兵器」ではなく「一人の少女」として、早川家での生活を始めることに。
デンジは初めての「恋」を、悲劇にすることなく守り抜くことができたのだった。
~完~