スマホの画面に、のあの返信が光った。『ちょっとだけ時間ほしい…』
その一文を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
「時間…って、どういう意味なんだろう」
頭の中でぐるぐると考えるけど、答えは出ない。
指先で画面を何度も撫でながら、ゆうくんは小さく呟く。
「のあ…俺、どうしたらいいんだろう」
今まで、ただひたすら好きでいれば良かったのに。
今は好きだけじゃどうにもならないことが、痛いほどわかる。
のあの心の重さに、どうしても触れたくて、でも届かなくて、指先だけが虚しく動く。
夜の静けさの中で、独り言が続く。
「俺、のあを苦しめたくないのに…」
何度も頭の中で言い聞かせても、胸の奥はざわついたまま。
画面の向こうで笑っているのあを想像する。
でも現実では、のあは遠くて、手を伸ばしても届かない。
それが辛くて、たまらなくて、涙がこぼれる。
『ごめん、ゆうくん…』
その声も、画面にはない。
でも心の中で、のあがそう言った気がして、余計に切なくなる。
ゆうくんはスマホを握りしめたまま、静かに夜空を見上げる。
遠くにいても、のあを守りたい。
届かなくても、想いだけは、ずっと抱えていたい──。
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