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梅宮side
楠木に電話しても繋がらないし……。
拠点付近を見ても灯りがない。
只事じゃないと思った俺はそのまま楠木の拠点に移動した。
梅宮「…楠木?どこだ?」
前に居た部屋にもいない。どこへ行ったんだ?
階段を降りて地下に降りる。
ここは誰も管理してないのか埃っぽい。
梅宮「楠木!何処だ!返事してくれ!」
俺の問には何も答えがない。
もしかしたら楠木はここにはいないのかもしれない。
ふと気になった部屋をこじ開けると。
質素なマットレスに蹲る楠木が居た。
梅宮「ッ!楠木ッ!大丈夫かッ!?」
駆け出す俺に一言。
楠木『……何しに来た…。』
蹲っている人間とは思えないくらい冷酷で淡々とした口調だった。
梅宮「そりゃ連絡もつかねぇし…、コッチに来てもみんな居ないから何事かと思ったんだよ…。挙げ句の果てには楠木は蹲ってるし…。なぁ?何処か怪我でもしたのか?それとも体調でも悪いのか?なぁ。そっち行かせてくれよ…。」
俺の問に楠木は静かだが、凛とした口調で
楠木『来るな、こっちに来るな。』
梅宮「…ッ何でッ!苦しそうにしてるお前を見離せってかッ!?」
楠木『そうだ。俺の事なんて気にするな。空気と思え。』
何で、何でお前はいつもいつも周りを頼らないッ!
楠木side
急に静かになりやっと帰ったかと安堵した途端。
グルンっと身体が上に向いて……。
楠木『…何してんだッ!気にすんなって!近寄んなって言ったろッ!!』
俺の上に梅宮が乗っかっていた。
おまけに両腕は頭上で固められてしまった。
梅宮「……なぁ、何で楠木はこんな甘い匂い纏わせてんの?」
首筋をスンッと吸われて身体が反応する。
待て、ダメだ。止めろ…。
梅宮「アレだな、Ωが発情期に出す匂いと似てるな…。なぁ、楠木…。」
グイッと顎を捕まれ目線を合わせられる。
捕食者の目
楠木『…ッ!や、やだッ!触んなッ!離せよッ!!』
怖い。今までαとして優位に立っていた俺が底辺であるΩになった事で最早天と地だ。
Ωと自覚してからαである梅宮の存在が明らかに大きくて、怖くて、何も出来なくなる。
俺はもう戻れないんだ。
αとして…ここで頭も出来ないんだ。
また居場所を無くすのか……。
ギュッと目を瞑る。
ギュッと暖かい気持ちになった。
目を開ければ梅宮に抱き締められていた。
梅宮「…ごめんな、怖かったよな、急にΩになったなんて…。辛かったよな。」
優しく背中を撫でられて。
今まで受け付けたくなかった、怖くて仕方なかった思いが爆発して馬鹿みたいに泣いた。
1時間後
梅宮side
ポンポンと優しく楠木の背中をあやす。
梅宮「少しは落ち着いたか?」
ゆっくりだが恥ずかしそうに上目遣いする楠木。
心臓もたんぞ、死ぬぞ俺??
楠木『……、ん、落ち着いた………、あ、ありが、とう。』
えーっ!楠木がありがとうだって!?俺今日命日かもしれんッ!!!
ゴホン。
梅宮「それで、楠木はどうしたいんだ?」
楠木はグッと考え込んで
楠木『……分からない。ただ、Ωが頭なんて舐められるだけだ。だから俺はここを抜ける。そんで、どこか山奥でひっそり暮らしたい。』
梅宮「俺と暮らさねぇ?」
楠木『…は?話、聞いてたよな?』
梅宮「うん、聞いてた、だから提案してんの。」
楠木目線からしたら何言ってんだコイツ頭おかしいんかって目線で見られてるけど……。
梅宮「俺は楠木が好きだ、αとかΩ関係ない。好きだからこそ守ってやりたい、そこに恋人とか関係なく、楠木に運命の番と出逢ったらその時には姿を消す、だからッ、それまで俺に守られてくれよ、俺に楠木を守らせてくれッ!」
本当は運命の番なんて現れて欲しくない。俺が番だったらいいのに……。
運命の番同士ならお互いから甘い匂いがするらしい。
でも、楠木は俺に対して拒絶をした。
つまり、俺はΩのフェロモンに充てられただけなんだ。
だから……なぁ、見つかるまでそばに居させてくれよ……。
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