宝石の涙をもつ捨て子
📢side
その少年は、迷子の子犬みたいだった。
会社の帰り道にある小さなバス停。
もう20時になるのにもかかわらず、裸足で雨に濡れながら眠っていた。
📢)おーい、お前、親は?ユサユサ
🌸)ん…?
🌸)…ッだ、誰だよお前!俺は泣かないから!
📢)んなことどーでもいいんだよ、ほら、警察に補導される前にさっさと家帰れ
🌸)…やだ、
📢)はぁ…?
🌸)おにーさん、俺のこと泊めてよ
📢)いや、無理無理、人のこと巻き込むなよ
🌸)いいじゃん、俺お金になるよ?
📢)お前の親に誘拐犯だとか言われたらどうするつもりだ?
🌸)…親はいないから。大丈夫、
📢)…1日だけだからな?
🌸)…、!パァッ
📢)…はぁぁぁ
このとき、家に泊めたのが間違いだった。
さっさと交番に届けて、こいつの事なんか忘れるべきだった。
そしたら、あんな思いもしなかったのに。
こいつにとっても、俺にとっても、互いに出会ってはいけない人だった。
宝石を見る度に、くだらない思い出が蘇ってきて吐き気がする。
大好きで大嫌いなあいつは、今日もベッドの中で眠っている。
俺もその病院へ毎日通っている。
────いつか、目が覚めることを信じて。
📢▷▶22歳。会社員。
🌸▷▶17歳。宝石病を患っている。捨て子。
※このお話での宝石病は、涙が宝石になる、という病気です。
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