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「私なんか楽な方。友達の方がよっぽど辛い。世の中私より辛い人なんかいっぱいいる。だから…大丈夫」
いつものように今夜もベッドで1人静かに涙を流す。
コンコン。ノック音が聞こえた。
(…!今の、聞こえてないよね…?)
私は返事を出来ずにいると
『主様?少し失礼してもよろしいでしょうか』
そう聞いてきたのはルカスだった。
私は涙を拭いすぐに切り替える。最近は作り笑顔が癖になってきているので、切り替えは楽だ。そしてさっきのことがバレないようになるべく明るい声で答える。
「どうぞ」
私の答えを聞きルカスが部屋に入ってきた。
『失礼致します。』
「こんな時間にどうしたの?」
私はさっきのことなどなかったように。貼り付けた笑顔を崩さないようにして聞いた。
『少しお話がありまして……その、…えっと…』
「?」
『……私は頼り無いですか?』
そう問うルカスの表情はいつもと違った。
「え?そんなことないよ?」
私も少し驚きつつもいつものように返した。
『では、なぜ1人で抱え込んで我慢しているのですか?』
(…やっぱり、バレてる?いや、確信もないし、カマを掛けられてるだけかも。知らないふりをすれば何とか…)
「ん?なんの事を言ってるの?特に何もないし、我慢なんかしてないよ?」
『…』
納得していないのだろう。ルカスは考え込むような表情をしていた。
『そうですか。なら安心ですね♪』
その言葉を聞き私はほっとしたが、それもつかの間で…
『なんて、言うと思いましたか?毎晩のように泣いていて何も無いわけありませんよね?』
(なんで…今日のことはともかく、今までのことも?)
「……」
『ごめんね。本当はもっと早く声をかけるべきだったんだけど…主様のことだからどうせ私が声をかけても頼ってくれないでしょ?だから少し様子を見てたんだけど限界そうだったから声をかけちゃった♪』
そう言ってルカスは私を抱きしめる。
「ほんとうに何もないから!大丈夫だよ!」
そうは言ったものの私の声は自分でも分かるぐらいには震えていた。
『こんなに震えていて?まだ大丈夫と言えますか?』
私はルカスの腕から抜け出そうとするが、抜けられない。
『ほらほら、そんなに暴れたら余計体に響きますよ♪』
「!?」
「なんで…」
体調が悪いことは誰にも言っていないし、表にも出さ
ないようにしてたのに…
『なんでって、バレていないとでも思っていたのですか?私は医者ですし、それに主様のことならどんなことでもすぐに気づきますよ♪』
私はその言葉を聞き安心して泣いてしまった。
『よしよし♪大丈夫、大丈夫ですよ主様』
そう言いながらルカスは私の頭を撫でる。
『私になんでも話してください。全て受け入れます。』
『体の調子はどうですか?』
「何も問題ないよ!」
『…主様?』
そう問うルカスの顔は笑ってはいるがその目は笑ってい
ない。
「……頭痛い…」
『……それだけではありませんよね?』
ルカスの笑顔の圧が怖い…
「……」
これは…無理だ、
「……頭痛と目眩。あと、吐き気……」
『よく言えました♪だるさはありませんか?』
「よく分からない。」
『…よく分からない?』
(あっ…墓穴をほった気が…)
『主様?説明して貰えますか?正直に。』
そう問うルカスの顔を見て私はもう無理だと思い勘弁してルカスに話すことにした。
「最近体調悪すぎて慣れた。だから正直よく分からない。」
『体調が悪いのはいつからですか?』
笑顔の圧をかけながらルカスが聞いてきた。
「……パレスに来る前からだから来た時には既に、…」
『それは…気づくことが出来ず申し訳ありませんでした』
「いやいや、普通気づかないから、それこそ来た時からもう慣れてたから私からしたらいつも通りだったし?初対面の人の今までの健康状態なんて分かるわけないよ」
「だからルカスが謝る必要なんかない」
『いやいや、私の実力不足です。さぁ少し話しすぎましたね。このお話の続きはまた明日♪今日はもうお休みになられた方が良いでしょう。』
私はこれ以上話すことも嫌だったので素直に休むことにして、横になった。しかし、手が震えてしまう。私はベッドのシーツを握る。すると暖かな大きな手が私の手の上に重なる。
『ずっとそばに居ます。だから安心してお休みになられて下さい♪』
その言葉を聞き次第に震えも止まり、ゆっくりと意識を手放した。
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次回に続く