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ー クリス視点 ー
ベガパンク、世界一の頭脳を持つ天才の男。その男は自身を6体に分裂させ、今もなお彼らと政府の為に研究や開発を行っている。世界的にも、政府的にも有益な人物なのだ。 しかし、今回の任務はベガパンクの抹消。理由は知らないがどうにも政府を裏切る行為をしたらしい。
その任務を課せられたCP0(サイファーポールイージス)の5人は、今この船で未来島 エッグヘッドへ向かっていた。
「カク…起きて、もうすぐ着くぞ」
冷たい口調でありながら体を優しく揺さぶる青みがかった緑髪の女性。隣では机に足をかけてソファに座り、居眠りをしている四角鼻の男性はぱちりぱちりと眠たげな丸っこい瞳を開かせると、軽く背伸びする。
「なんじゃあ、着いてから言わんかい…」
起きたばかりの彼の表情は不服そうだ。その反応を遠目から見つていた、フワッとした黄色髪の美女と言わんばかりの女性が口を開く。
「あら?なんだか冷たいわねカク?感謝の言葉ぐらい言ったらどう?ねぇ、ルッチもイオくんもそう思うでしょ?」
微笑むようにステューシーは後ろを向く。そこには白いハット帽を被った男と、その隣に座る白い鳩を撫でる喜劇の割れたデザインの半仮面を被った藍色髪の少年。そのステューシーの振りに反応したのは少年の方。
「まぁ…確かに他の人に舐め散られたりとかしゃいそう」
少年は少し皮肉気味に笑いながらステューシーに賛同をすると、ルッチもその後適当に返事を返す。その様子にステューシーはふふっと笑みをこぼす。
「でもカク?あなたがいちばんこの島を楽しみにはしゃいでたじゃない?」
「なっ!?そ、そりゃ未来島じゃぞ!はしゃぐのも無理ないじゃろ。なぁ、お主らもそう思うじゃろ?」
ステューシーの問いに動きを一瞬止めたカクは必死に子供のような言い訳を並べ、こちらへ味方を求めるように尋ねてくる。本当に、子供のようだ。
「ふん、そんなものに興味はない」
「私も別に」
しかしそれをキッパリと2人は躊躇なくたたっきる。が、1人は違った。
「分かる!僕も早く行きたい!ピカピカでずどーんって感じなんでしょ!?」
目を輝かせてカクに駆け寄る最も年齢の低いイオは激しく賛同するとカクは「そうじゃろうそうじゃろう!やはりお主ならわかってくれると思っておったわい!」と、うんうんと腕を組んで満足気に頷く。
イオはまだ20歳でないからまだしも、カクがここまでガキっぽいという事実に気がついた頃は少しは驚きはしたが今はそれも含め私が彼らの面倒を見る役へと変わり果ててしまった。全く、この2人は私の苦労に気がついているのだろうか。
そんな時、扉からノック音が聞こえてくる。クリスはその人物が入ってくる前に手早く仮面を身につける。ノック音に答えるようにルッチも同様に仮面をつけてから「入れ」と答えると役人の一人が部屋に入ってくるなり、背筋をピンッと立たせて「エッグヘッドへ到着致しました!CP0!」と私たちに告げた。