テラーノベル
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一旦自宅へ戻った私は、動きを止めることなく荷造りをした。
点滴効果か、倦怠感はない。
背中は少し痛むけれど、急ぐ。
荷造りといっても着替えではなく、パソコン、タブレット、自宅の権利書、印鑑などをリュックに詰めるだけ。
「……おもっ」
肌身離さず持つリュックが重すぎては、体力がもたない。
充電器は買えばいいと、置いていくことにする。
そして再び自宅を出て最寄り駅へ向かうと、長距離バスの出発点になる大きな駅を目指した。
――東京へ
ここから離れた人混みで、お金を【還す】作業をすると決めた私は、午前1時過ぎ発、東京行きの深夜バスに乗った。
バスが高速道路へ入ると、私はパソコンを立ち上げて大学のホームページから退学の手続きをした。
続けて、就職先の会社へ、内定辞退のメールを送る。
そして、今度はスマホを持つと、親友、戸倉永美へ200万円送金した。
――メッセージは…用件だけがいいね
“Y病院で、私の名前で支払いをお願いします。あとの残りは好きに使って。代理だとか、問題があればお兄さんにお願いして支払っておいて”
大学入学直後から大の仲良しの永美(えみ)とは、一緒に旅行に行ったりもした。
だから互いに立替金の送金をしたことがあるので、口座番号を知っていて助かった。
しかも、彼女の兄は弁護士だ。
――これでいい
東京へ着くまでに、私は文字通り
からだ一つ
の状態になった。
コメント
2件
『還す』の意味は? 東京になにがあるのか? 決めたことがスムーズに進むことを願っているけど、身体が心配。今も痛いんでしょ…😣 信じるのは自分だけという気持ちかもしれないけど、無理だけはしないで… 永美ちゃん、お兄さま、後のことどうか宜しくお願いいたします。
からだ ひとつ…だからこそ自分を大事にしてね😢