<牛沢視点>
「…好きだ」
「…大好き」
「他の誰より愛してる」
この言葉がずっと頭の中で繰り返される。
あぁ…どうすればいいんだよ俺は……
最近よく一緒に実況を撮る奴らから告白された。
だからその返事を考えてる。
でも、中々返事が決まらなかった。
俺は皆の事が好きだ。
だけど、俺は今の笑いあってバカ言い合って貶し合う関係が好きなんだ。
でもきっと彼らはそうじゃないんだろ?
彼らはそれ以上の関係を求めてる。
俺はあいつらとはキスとかその先まで考えられないし
そもそも手つなぎとか甘々な関係を考えることが難しい。
特段嫌と否定することはないけどしたいなんて思ったことない。
それに、あいつらときたら3人一斉に言ってきやがった。
誰かを選べってことだろ?
そんなのできるわけないじゃん。
そんな判断基準ないんだから
俺は机に突っ伏して考え込んだ。
まず俺は何を考えればいいんだ…
返事は?…誰に…?どうやって決める…?
どれも決められなくてそれから考えが進まない。
う”ぅ”……難しい…
いっそ…全員受けるか?
いやいやwそんなことできねぇよ…
不誠実だ
どこかを振ると皆の間に少なからず溝が生まれる。俺はそれが嫌だった。
あいつらの中では踏ん切りがついていても俺はそんな器用じゃない。けれど、その為に誠実さを忘れるなんてできないし、ありえない…そう思ってる。
俺は、隠し事とか苦手だし絶対すぐに浮気してることがバレてしまうだろう。
そもそも恋愛とか駆け引きとか向いてねぇんだよな…。ゲームは別だけど。
悩みに悩んで頭がパンクしてしまいそうだ 俺は眉間に皺を寄せ、頭を机に擦り付ける。
ピコン! 携帯が音を鳴らして振動した。
はぁ…なんだよこんな時に…
くだらない内容だったらぶっ○すからな?
渋々携帯を触る。
通知の内容はあいつらからだった。
グループ通知には俺に話があると書かれている。
また何があるんだよ
今のままでも十分すぎる問題なのに増やさないでほしい。
けれど俺はそれでも重要な内容かもしれないと、無視することはできずに行くという返信を返す。
机に携帯を置くと罪もないのに睨んでしまう。
腰が重たくて動きたくない。
俺は苦い顔をしながら準備を始めた。
呼び出されたレトルトの家へ着く。
ドアで出迎えてくれたのはレトルトだが、後ろに残りの2人も立って出迎えてくれた。
こんなことは初めてで様子の違うコイツらに戸惑う。
いつもの通りに取り繕おうと俺は定位置に座った。
ここはゲームをする時に座る箇所で、少し落ち着く。
俺は持ってきた物を置いたり、スマホを弄ろうとしていると 3人は俺の後ろで何かし始めた。
ゴニョゴニョと内容が聞こえそうな声量で話しをしている。
変に手汗をかいてきた。
何故こんなにこっちが身構えなければいけないんだ。
俺はもう我慢ができずに後ろへ振り返る。
「なぁ、話ってなんだよ!そっちでゴニョゴニョしてないで俺に話せよ」
少し不機嫌な言い方をしてしまった。
けれどこれくらいでないとコイツらはまだゴニョゴニョしていただろう。
3人が俺の前にまわって立った。
ガッチさんが俺のとなりに座る。
「…ねぇ、うっしーって俺らの告白の返事決まってないよね?」
俺は少し心臓がドキッとした。
けれど俺はやはりこの話なのかと案の定といった顔をする。
残り2人はガッチさんの言葉を待って此方を見ていた。
「その…俺らのこと引いてない?
前は勝手に話して終わらせちゃったけど、 うっしーが俺らのこと嫌いになってるかもって不安になっちゃって…」
勝手な話をするなと呆れそうになったのを堪える。
俺は嫌ってないし、決めあぐねていることを正直に伝えた。
これで諦めてくれるなりしてくれれば丸く収まる可能性もある。と思う。
「本当!?」
そう言ったガッチさんの目はキラキラと輝いた。
「本当。俺は誰も選べないし決められない。だから…」
「なら、俺達3人と付き合って? 」
食い気味に話すガッチさんに圧倒される。
その言葉が上手く脳で処理されなかった。
「ん?えっと…もう一回言って?」
「だから、俺達3人皆と付き合って?」
再度聞いても理解できなかった。
どういうことなのだろう。
コイツらは俺に堂々と浮気しろと言っているのか?
まぁ多分一夫多妻制みたいなことを言っているのだろうがコイツらはそれでいいのか?
現代日本ではほぼ、公認の浮気のような状態だ。
俺の不誠実だとか考えていた時間を返せよ
それでいいならこんなに悩む必要なかったのに!
俺は少しばかり憤りを感じた。
しかし、そんなことは口に出さず、難色を示す。
「お前ら、ほんとにそれでいいの?」
3人は返事をほぼ同時に口を開く。
「うっしーと付き合えるならそれでもいい」
コイツらにはよく驚かされるが、今回ばかりは呆れも含んでこれまで以上の驚きだった。
「ほんとに、いいの?」
念を押して聞く。
3人とも頷いた。
ガッチさんが口を開く。
「うっしー受けてくれるの?」
期待がうつる目でこちらを見てきた。
「ま、まぁ…うん……」
少し淀んだ言い方で返事を返した。
実際俺は案外嫌な気はそれほどなかった。
むしろ、振ることがなくて良かったと思っている部分があって、 内心喜んでいるところがあった。
けれどそれが悟られたくないと思って仕方なくという感じの返事になってしまった。
けれどそれでもコイツらは喜んでくれた。
3人は笑顔になって目がまたキラキラと輝いている。
その顔にまたホッとしてこれで正しかったのだと思う。
「やった…//ねぇうっしー…」
レトルトが口を開いた。
少し男らしい顔でニコニコしている。
「今日から宜しくね」
その言葉に続いてキヨも口を開いた。
またこちらもニコニコ笑顔だ。
「俺も宜しく!…俺はちゃんと記念日とかやるから!」「コイツらよりも先に祝うからね!」
自己PRもついでに混ぜ混んでくる。
最後にガッチさんが口を開いた。
「俺も、これから宜しくね」
「コイツらに変なことされたらすぐに言って?俺は何時でもうっしーのもとへ駆けつけるからね?」
また自己PRだ。
けれど、キヨ達には不評で、ガッチさんが手を出すだろうと詰められていた。
gc「いやいや、出さないよ」
「君らみたいに子供じゃないんだから」
ky「はぁ!?俺らだって我慢できるし!」
rt「ガッチさんの方が絶対我慢できないって!俺らガッチさん監視してるからね!」
「うっしー嫌なことあったらすぐ言ってよ?俺がとっちめるから!」
ky「いやいや、レトさんじゃ無理だって
うっしー俺に頼ってよ?レトさんよりガッチさん締められるから」
まだまだ3人でワイワイガヤガヤ言い争う。
俺は少しだけ感じていた緊張感も普段通りに戻ったことで、気が抜けて、思わず声に出して笑ってしまった。
3人は口論を止め、こちらに視線を送る。
「…なんだよ……//」
一気に注目を集め、なんだか恥ずかしいと感じる。
キヨとレトルトも同じソファーに座った。
何でもないよ?と答えると3人は嬉しそうに俺へ寄ってくる。
ぎゅうぎゅうに詰まるソファーはいつもより温かさを感じた。
隣に居るコイツらの顔が近いが、それで安心する。
俺は隣のガッチさんに抱き締められた 。
「うっしー受けてくれてありがとう。」
「大事にする。うっしーが嫌なことは絶対しないからね?」
幸せそうな優しい声がする。
「うん…」
俺の返事と同時にキヨとレトルトが抱きついてくきた。
キヨがレトルト越しに抱きついてくる形だ
2人の言葉でそれぞれ俺を大事にすると伝えられる。
その空間に幸せを感じた。
コイツらに求められているのは俺だと思うと優越感と満足感がある。
俺は抱きつき返せないから腕を出来るだけ中へ縮めて、より抱きつかれやすい形になろうとする。
「おう、大事にしろよ」
「俺は繊細だからなw」
喜びを含む笑い顔になった。
コイツらに向けて好きだという気持ちが恋愛観としてあることに喜びを感じる。
今はっきりと明白に気持ちが心に鎮座された。
その気持ちをストレートに伝える。
一瞬手の力が緩み、再度強く抱き締められた。
3人に好きだと沢山伝えられる。
フフフッw…多幸感に胸が締め付けられる。
俺はこれから少し今までとは違う生活を送ることになるだろう。
けれど、コイツらとなら俺は乗り越えていける気がする。
好きな人達に囲まれて、幸せを噛み締める生活を送る。
これは俺にとってきっと、何にも変えがたい時間になるだろう。
俺は期待ばかりを抱えてコイツらの温もりに心を奪われた。
コメント
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ああああああああいい!!!いい!!