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私は濡れた手のままなのに、ギュッとされてキュンとなる。
何度、祐誠さんに同じことをされても、そのたびにドキドキしてしまう。
「後で一緒にお風呂に入ろう」
お、お風呂に……?
スッピンは何とか見せたけど、一緒にお風呂は……ちょっとハードル高いよ。
「いいよね?」
「あっ、は、はい」
「じゃあ、これ手伝う」
2人で食器を片付ける。
どうしよう、やっぱりお風呂は緊張しちゃう。
でも、裸を見せあった仲だし……
こ、これも経験だよね、祐誠さんは私の好きな人なんだし、こうやって私達は少しずつお互いを知っていくんだよね。
付き合うって、こういうことなんだ。
2人で広いお風呂に浸かる。
優しい雰囲気のインストゥルメンタルが静かに流れ、とても心地良い。
私の後ろから腕を回す祐誠さん。
胸の辺りに感じるその感覚と、背中にピッタリ張り付く祐誠さんの体の感触。
裸のままでの密着は、やっぱり……恥ずかしい。
こんな明るいところで改めて体を見られるの、すごく抵抗ある。
小さなアザとかホクロとか、もしかしてシミとかも見えちゃうかも?
私は、思わずジャグジーのボタンを押した。
小さな泡がプツプツと立って、私の体を包む。
「き、気持ちいいですね。このジャグジー」
笑ってごまかす。
「ちゃんと雫の体……見たいのに」
「あ、あんまり見ないで下さい。私の体、綺麗じゃないですから」
「そんなことない。白くて透き通った肌。すべすべして、すごく柔らかい。ずっとこうしていたい」
祐誠さんは、私の肩にキスをした。
唇がそっと触れて……
密かに軽い興奮が押し寄せる。
その時、祐誠さんは言った。
「雫。今度、2人だけで旅行に行こう。近くだけど、昔からずっとお世話になってるいい旅館がある」
「旅行に? 本当ですか? すごく嬉しいです。旅館なんて久しぶりです」
私は、ほんの少しだけ後ろを振り返って言った。
うっすら汗をかき、しっとりした祐誠さんの顔は、色気に満ち、芸術的に美しかった。
「喜んでもらえて良かった。古い老舗の旅館だけど、料理も温泉も部屋からの見晴らしも……迎えてくれる人達も、全て最高なんだ」
「そんなに素敵なところ、ぜひ行ってみたいです」
祐誠さんは、私の頭に頬を付けて……
「雫と一緒に行きたかった。毎日笑顔でいてくれて、いろいろ頑張ってる雫と。たまにはゆっくり時間を過ごそう」
優しいその言葉が心に染みて、ジーンときた。