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📖 第二十章:「思ってたのと違う」
昼休み。
チャイムが鳴った瞬間、○○の心臓が少しだけ速くなる。
○○:(……屋上)
朝の、あの一言。
凛:「昼、屋上」
短いのに、ずっと頭に残ってる。
○○は弁当を持って、静かに立ち上がる。
周りのざわめきが、少し遠い。
○○:(……二人きり、だよね)
自然と、そう思っていた。
昨日までの距離。
あの空気。
だから――
○○:(……ちょっとだけ、期待してる)
階段を上る。
一段一段、足音がやけに響く。
ドアの前で、少し止まる。
○○:(……大丈夫)
小さく息を吸って――
ガチャ。
ドアを開ける。
風が、少し強い。
フェンス。 青い空。
そして――
凛:「……遅い」
その声と同時に、
もう一人の声。
???:「ほんとそれな」
○○:「……え」
視線を向ける。
凛の隣。
そこにいたのは――
あの、サッカー部の男子。
○○:(……なんで)
一瞬、思考が止まる。
さっきまでの期待が、 すっと引いていく。
凛:「……何その顔」
○○:「……いや」
うまく言えない。
サッカー部の男子は、少しだけニヤッと笑う。
サッカー部の男子:「もしかしてさ」
わざとらしく間を置いて、
サッカー部の男子:「二人きりだと思ってた?」
○○:「……っ」
図星。
何も言えない。
凛:「……うるせ」
軽く睨む。
でも止めない。
サッカー部の男子:「いや顔に出てるって」
笑いながら、少し場所をずれる。
サッカー部の男子:「ほら、座れよ」
フェンスの近く。
自然に、凛の隣が空く。
○○は少し迷ってから、そこに座る。
距離が、近い。
でも――
○○:(……さっきと違う)
もう一人いるだけで、 空気が全然違う。
凛は何も言わず、弁当を開ける。
サッカー部の男子も同じように座る。
三人。
少しだけ、不思議な空気。
サッカー部の男子:「てかお前らさ」
いきなり切り出す。
○○:「……?」
凛:「……何」
サッカー部の男子:「いつからそんな感じ
なん」
○○:「……は?」
凛:「……は?」
二人同時。
サッカー部の男子:「いや、“は?”じゃなくて」
ニヤニヤしてる。
サッカー部の男子:「バレバレだって」
○○:「……なにが」
少しだけ声が小さくなる。
サッカー部の男子:「距離」
一言。
○○の心臓が跳ねる。
凛:「……気のせいだろ」
即答。
でも――
少しだけ早い。
サッカー部の男子:「ふーん」
明らかに信じてない顔。
○○は何も言えない。
弁当を開ける手が、少しぎこちない。
そのとき。
凛が、ぽつりと。
凛:「……量少な」
○○:「……普通でしょ」
凛:「もっと食え」
さらっと言う。
○○の手が止まる。
サッカー部の男子:「あれー?、凛ちゃん心配ですかー?笑」
笑う。
凛: 「ちゃんずけ辞めろ…」
○○:(……心配してる?)
顔が少し熱くなる。
凛:「……別に、」
そう言いながら、
凛は少しだけ○○の方を見る。
ほんの一瞬。
でも――
○○:(……)
目が合う。
すぐ逸らされる。
凛:「……こいつ細いから」
小さく、付け足す。
○○:「ッッ……///」
それだけで、もっと頬が赤くなる。
サッカー部の男子:「へえ〜」
わざとらしい声。
でも、それ以上は突っ込まない。
少しの沈黙。
風の音。
三人で食べる昼ごはん。
○○:(……思ってたのと違う)
二人きりじゃない。
静かでもない。
でも――
○○:(……悪くないかも)
ちらっと横を見る。
凛は普通に食べてる。
その向こうで、サッカー部の男子がこっち
を見て、またニヤッとする。
○○:「……」
少しだけ顔をしかめる。
でも。
○○:(……ちゃんと、隣にいる)
それだけで、十分だった。
凛:「……それ」
○○:「……?」
凛:「……うまそう」
○○の弁当を指す。
○○:「……あげない」
即答。
凛:「……ケチ」
少しだけ口元が緩む。
サッカー部の男子:「お前らほんと分かりやすいな」
笑う。
○○:「……うるさい」
思わず言い返す。
凛が、少しだけ笑った気がした。
風が吹く。
空は青いまま。
思ってた形とは違ったけど――
この距離は、ちゃんと続いていた。
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コメント
1件
アレ?思ってたんと違う…( ゚д゚)ハッ!