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『くるしんぼ』
感情が死んだのが、いつだったか思い出せない。
悲しくもないし、寂しくもない。
ただ、何もない。
目を開けていても、見えてるのは真っ黒なノイズだけ。
聞こえてくるのは、自分の心臓の音だけ。
それすら、ただのノイズだと思いたくなるほど、煩わしい。
LANって、誰だったっけ。
自分の名前が、本当のものかどうかすら、もうわからない。
笑う役を続けてるうちに、
「嬉しい」って何か忘れた。
「楽しい」って、どんな気持ちだった?
「愛される」って、どんな音だった?
この部屋には、空気がない。
音がない。
重力すらない。
あるのは、思考という名の刃物だけ。
今日、目が覚めたとき、涙が出ていた。
でも悲しくなかった。
ただ、身体が勝手に泣いてるだけだった。
それを見て、笑った。
「俺、壊れてんな」って
その笑い方が、どこかの誰かのモノマネみたいで、気持ち悪かった。
スマホを見ても、通知はない。
誰も俺を必要としていないという証拠が、
画面いっぱいに広がっている。
でも、それでよかった。
誰かに触れられたら、俺の中の何かが、また潰れてしまうから。
この苦しみは、誰にも渡せない。
言葉に変えた瞬間、嘘になる。
誰かに「辛い」と言ったら、
その人の中にある“LAN”が、壊れてしまう気がする。
だったら最初から、黙ってたほうがマシだった。
――でも、気づいたんだ。
黙っていても、いつかは限界がくる。
もう、とっくに来てた。
とうに、超えてた。
だから今、ここで、
誰にも言わずに、誰にも気づかれずに、
ゆっくりと消えていく準備をしている。
誰も見ていない。
誰も来ない。
誰も、いらない。
ただ、静かに、
何の痕跡も残さずに、
LANという存在が「いなかったこと」になるように。
心の奥底から消えてしまいたいと願うこの気持ちに、
も
う名前なんていらない。
「くるしんぼ」なんて、
可愛い言葉で呼ばないでほしい。
これはただの、
ひとつの命の、静かな終わりだ。
ーENDー
くるしんぼ とは
「くるしんぼ」=「苦しむ」+「〜んぼ(ちゃん・ぼう)」
「泣きんぼ」「甘えんぼ」「さびしんぼ」などと同じ形式の造語。
つまり、
「くるしみやすい子」「苦しみを抱えた存在」
らしいです