テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
87
62
『 消えたステージ、君の隣 』
第1話 “ 転校生 “
冬の終わり。
雨が降りそうな曇り空の朝だった。
高校2年生の김유나は、教室の窓際でぼんやりスマホを見つめていた。
画面には何度も見返したニュース記事。
” 大人気アイドル 이하늘突然の活動中断”
” 理由は非公開 “
” 所属事務所とも連絡も最小限 “
1ヶ月前。
韓国中を騒がせたそのニュースの日から、ユナの毎日は少し色を失っていた。
이하늘。
180cmの高身長。
冷たい目元なのに、笑うと子犬みたいになる。
完璧なビジュアルで、” 国民のリアコ製造機 “と呼ばれている超人気アイドル。
ユナは、誰にも言っていないけれど、デビュー前からハヌルを推していた。
毎日動画を見て、
深夜の配信を追いかけて、
疲れた日には彼の歌声で眠った。
なのに__
突然、彼は居なくなった。
「ユナ、また見てるの?」
親友のミンジが空いている隣の席に座る。
「……うん。」
「また戻ってくるって。絶対。」
ユナは小さく笑った。
でも、その言葉を信じきれない自分もいた。
すると、教室前方が急にざわつき始める。
「転校生だって!」
「しかも男!」
「やば!しかもめっちゃ背高いらしい!!」
先生が教室に入ってくる。
「静かにしろー。今日から新しい生徒が来る。」
ガラッ__
ドアが開いた瞬間、教室の空気が止まった。
黒いマスク。
深く被ったフード。
そして、制服の上からでも分かるほど長い脚。
男の子は静かに前に立つ。
「自己紹介をお願いします。」
先生に言われ、ゆっくりマスクを外した。
その瞬間。
女子たちが息を呑む。
「……え?」
ユナの手からスマホが落ちた。
そこに居たのは__
テレビから消えたはずの、
あの人だった。
「……イハヌルです。」
低く静かな声。
でもユナだけは気づいていた。
ステージで見ていた彼より、
ずっと疲れた目をしていることに。
そして先生が空いている席を指さす。
「ハヌルくん、あそこのキムユナの隣座ってね。」
ハヌルはゆっくり歩いてくる。
ユナの心臓は壊れそうなくらい速かった。
” なんでここに居るの? “
隣に座った彼が、小さく息を吐く。
そして__
誰にも聞こえないくらい小さな声で言った。
「……やっと会えた。」
ユナの瞳が揺れる。
” え? “
彼は窓の外を見たまま、
もう何も言わなかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!