テラーノベル
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通話が切れた。
部屋に静寂が戻る。
「……」
『……』
お互い何も言わない。
いや。
言えない。
数分前までは、
「俺が二人いる」
なんてことだけで頭がいっぱいだった。
でも今は違う。
「……お前」
『ん?』
「本当に別世界の俺なんだな」
少しだけ間が空く。
『⋯まぁ、たぶん』
それ以上は言わなかった。
俺も言えなかった。
証拠なんてない。
でも。
ぐちつぼの反応が、それを証明してしまった。
「確認するか」
『何を』
「どこまで同じで、どこから違うのか」
『……それ俺も思ってた』
俺は机の椅子に腰掛ける。
『まず親』
「〇〇と〇〇」
『同じ』
「兄弟」
『いない』
「俺も」
『住所』
「○○町四丁目」
『同じ』
「誕生日」
『11月11日』
「一緒」
ぽつり。
ぽつり。
答えを並べる。
その度に一致していく。
「血液型」
『AB型』
「好きな食べ物」
『唐揚げ』
「……同じ」
『嫌いな食べ物』
「トマト」
『俺も』
思わず笑った。
「そこまで一緒かよ」
『俺だからな』
「それもそうだ」
『じゃあ次』
頭の中の俺が言う。
『好きな教科』
「国語」
『一緒』
「嫌いな教科」
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『数学』
「うわ」
『同じか』
「同じだ」
また笑う。
さっきまで死ぬほど混乱していたのに。
今はクイズ大会みたいだ。
『……変なの』
「何が」
『自分と話してるだけなのにさ』
少しの空白が挟まれる。
『めちゃくちゃ話しやすい』
「……」
なんか、それは、
少しだけ分かるような気がした。
気を遣わなくていい。
言い訳もしなくていい。
何考えてるか何となく分かる。
『こんな友達いたら楽しそう』
「友達じゃねぇよ」
『じゃあ何』
「……俺?」
『気持ち悪』
「それはそう」
机の上のスマホを手に取る。
「そうだ」
『ん?』
「ロック番号」
『あ』
『分かるかも』
「せーので言う?」
『言うか』
小さく息を吸う。
「「0918」」
沈黙。
俺はゆっくりとそれを入力する。
ピッ。
ロックが解除された。
「……」
『……』
「開いた」
『開いたわ』
「怖」
『怖ぇ』
また重なる。
「お前」
『ん?』
「やっぱ俺だわ」
『だから最初から言ってる』
そう言って笑う声は、
俺が笑う時の声と全く同じだった。
なのに。
その笑い方を聞いていると。
ふと、一つだけ思ってしまう。
「……なぁ」
『何』
「お前さ」
『うん』
「友達、いなかったん?」
数秒。
沈黙が落ちた。
さっきまで軽かった空気が、
少しだけ止まる。
『……いないね』
その返事は。
思っていたよりずっと静かだった。
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