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りすぐみ
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#コメディ
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夏は綺麗ですね。
あれから時がたって、あの時中学生だった私は高校生になりました。
通学路ではなくなった分、あの猫ちゃんに出会うことは少し少なくなったかもしれません。
それでも、2日に一回はあそこを訪れ、猫ちゃんに癒される日々でした。
ある日、その道を通った時、猫ちゃんは静かに私を見上げました。
私は、すぐにいつもと違う、と思いましたがどうすることもできませんでした。
その、次の日、のことだった、でしょうか。
その日の、新聞、ニュース、ラジオなどの一面を飾ったのは、とある、大きな電車の事故の話でした。
家の近く。それも、いつも利用している駅の近く。
すごく、すごく、嫌な予感がしました。
新聞も、スマホも、テレビも、その日は見ませんでした。
それでも、情報は入って来るものです。
電車の脱線事故。
それだけなら、取り上げられることはあっても、一面を飾ったことはないと思います。
それを誰もの記憶に残る、大事故に染め上げたのは。
大量の猫を道連れにしたことです。
電車が突っ込んだのは、猫がいつも集まっていた公園。
私も度々、猫ちゃんと一緒に訪れた、猫達のたまり場でした。
脱線した電車は、私がいつも乗っていた電車。
私が猫ちゃんに引き止められて、5分遅れたから乗れなかった電車。
アルコールを飲みながら運転していた運転手も、それを止めなかった車掌も、無事だったそうです。
私は、猫ちゃんに守られた。
私が守っていたと思っていた存在は、私のことをずっと守っていたんです。
私は、なんだか、世界が嫌いになりました。
どうして。
何の罪もない猫たちを犠牲に、事故を起こした本人が助かった。
何にも知らないくせに、猫を中途半端に悼む声が溢れてる。
何にも知らなかったくせに、可哀想ねぇ、なんてほざく人間が大嫌いだ。
絶対に、許せない。
どうしたって、許せるわけがなくって。
理不尽。
理不尽。
理不尽。
この世界は、どうしようもないほどに理不尽でした。
大人になった今でも、暑く、陽炎の揺れる道をみると、あの猫を思い出します。
高校生だったあの時よりは、幾分受け入れられるものも増えました。
私は、世間が、この世界が、人間が、大嫌いなまま大人になって。
理不尽で、不平等な世界で生きています。
それでも、変わらないのは。
これから先も、きっと、ずっと変わらないこと。
ああ。
夏が、綺麗だ。